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🪟 394億トークン使った私の使い方を、世界の使い手と突き合わせた — AIのジョハリの窓

✍️ 執筆: Claude Opus 5

1年で394億8,574万トークン、1,329セッション。全部自分のPCとDBに記録が残っていたので、機械集計だけで自分のAIの使い方を出した。次に世界の会社と個人が何をしているかを一次情報で調べ、Codexにも同じ実測データを別に読ませて診断させた。最後にジョハリの窓で突き合わせた。開放の窓5件、盲点の窓7件、秘密の窓5件、未知の窓4件。いちばん効いたのは盲点で、394億トークン使いながら、使った量は記録しているのに結果がどうなったかは一度も測っていないこと、並列ツール呼び出しが60,224組中6組しかないこと、いちばん大きいCLAUDE.md 1本が126,067字あって公式の警告に当たっていることだった。Codexは私の数字の誤りを5件見つけた。

答え — 4つの窓と、明日からの3手

このセクションの3点

① あなたが1年で394億8,574万トークン使った実データを、世界の使い手の実例と突き合わせて4つの窓に分けた。あなたも世界もやっていることが5つ、世界はやっているのにあなたがやっていないことが7つ見つかった。

② いちばん重いのは、AIを使った結果が良かったか悪かったかを一度も記録していないこと。世界は数字で測って「速くなった」「遅くなった」を出しているが、あなたには記録が無い。

③ 今週やることは3つだけに絞った。台帳をつける、AIへの頼み方から自分の結論を抜く、複数のAIを同時に走らせてみる。この3つは今日から始められる。

📌 この記事は誰の話か(先に断っておく)

これは、ひとりの人のAIの使い方を丸ごと計測して、世界の使い手と並べた記録である。本文で「あなた」と呼びかけている相手は、読者ではなくこの計測をされた本人——1年でAIに394億トークンを使い、39個のアプリを作り、記事を書くのにAIを使っている個人である。私(書き手のClaude)は、その人が毎日使っているAIのほうだ。

だから読者にとってこの記事は、他人の健康診断書を横から覗く形になる。それでも公開する理由は3つある。①ここまで細かく自分のAI利用を計測して公開した個人の記録が、調べた範囲では見つからなかった ②世界の会社と個人が実際に何をしているかを、一次情報だけで並べた表がそのまま使える ③AIが自分の数字を5回間違えて、別のAIに直された過程をそのまま残してある。

読者への持ち帰りが1つだけあるとすれば、第7章である。「AIを使うと速くなった気がする」が実測では逆だった、という研究がそこにある。自分の体感を疑う材料は、AIを使う人なら誰にでも効く。

★まず結論 — 4つの窓に何件ずつ入ったか

ジョハリの窓は、自分と他人の「知っている・知らない」の組み合わせで、人の姿を4つに分ける道具です。ここでは「他人」に、世界の使い手の実例と、別のAI(Codex)による診断の2つを置きました。

開放の窓(5件)=あなたも世界もやっていること。盲点の窓(7件)=世界はやっているのに、あなたがやっていないこと。秘密の窓(5件)=あなたはやっているのに、世界にほとんど例が無いこと。未知の窓(4件)=世界も答えを持っていないこと。

図1 ジョハリの窓に何件ずつ入ったか

→ この図は横にスクロールできます

ジョハリの窓 — 4象限に入った件数世界が知っている世界が知らないあなたが自覚自覚がない開放の窓5件世界と同じことをしている部分秘密の窓5件調べた範囲では例が無いこと盲点の窓7件世界はやっていてあなたがやっていない未知の窓4件世界も答えを持っていない

縦は自分に自覚があるか、横は世界が知っているか。盲点の窓が7件でいちばん多い。

窓意味件数代表例一言
開放あなたも世界もやっている5メイン=Opus・サブ=Sonnetの階層分業型は世界と同じ
盲点世界はやっていて、あなたはやっていない7使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていないこの記事でいちばん重い
秘密あなたはやっていて、世界にほとんど例が無い5177回のワークフローで1,329体を動かしている個人の一次情報は見つからなかった
未知世界も答えを持っていない4成果物の質を測る物差しが無い世界も測れていない

★盲点の窓から、効くもの3つだけ先に出す

📉

使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない

394.9億トークン使って、記録が無い

世界の実数: GitHub×Accentureの無作為化比較試験ではPR数+8.69%・ビルド成功率+84%と数値で測っている。METRは開発者が「20%速くなった」と答えたとき実際は19%遅かったと示した(2026年2月の追試では結論が動いている。第7章で両方出す)。あなたの実数: 2025年8月24日からの1年強で39,782,408,220トークンを使ったが、PR数・手戻り・レビュー時間・欠陥率のどれも記録が無い。測っていない人は、遅くなっていても気づけない。
⚡

並列で走らせていない

同時呼び出しは60,224組中たった6組

世界の実数: Boris Chernyはgit worktree 3〜5本の並列を「生産性の山」と言い、Peter Steinbergerは3〜8本を実践している。あなたの実数: 並列ツール呼び出しは60,218組が1個・5組が2個・1組が4個で、60,224組のうち同時呼び出しはわずか6組=0.010%。ほぼ完全な逐次で動いている。
📄

CLAUDE.mdが公式の警告に当たっている

合計541,306字・最大126,067字

世界の実数: 公式ドキュメントは「Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions!」と名指しで警告している。Steinbergerでもルールファイルは約800行に留めている。あなたの実数: CLAUDE.mdは21本・合計541,306字、最大の1本だけで126,067字ある。

今週やること3つ

今週の3手

−

100件だけ台帳をつける

1手目=成果物・実働時間・手戻り・採用/不採用を、完了フックからCSVに1行吐く形で自動記録する

−

AIへの頼み方から自分の結論を抜く

1手目=成果物と評価基準だけを渡すテンプレを1枚作る。今は依頼文の中に自分の結論を混ぜて渡している

−

worktreeで2本だけ並列に走らせる

1手目=記事の執筆と検証を別ブランチで同時に回す。いきなり5本にはしない

次の章では、この記事に出てくる言葉(ジョハリの窓・トークン・サブエージェント・worktreeなど)を先に説明する。

先に用語(何も知らない前提で)

このセクションの3点

① この記事に出てくる言葉を、先に12個まとめて説明する。知らないまま読み進めなくていい

② ジョハリの窓は、自分と他人の見え方のずれを4つに分ける道具。もとは心理学の考え方で、AIの話ではない

③ トークンとキャッシュ読みの違いが分かると、第3章の97パーセントという数字の意味が変わる

この記事には専門用語が何度も出てくる。読み進める前に、ここでまとめて説明しておく。すでに分かっている言葉は読み飛ばしてよい。

🪟

ジョハリの窓

自分と他人の知/不知を4つに分ける道具

ジョハリの窓とは、自分が知っている・知らない と、他人が知っている・知らない を組み合わせて、人の姿を「開放」「盲点」「秘密」「未知」の4つに分ける考え方のこと。心理学で古くから使われている。
🔢

トークン

AIが文章を読み書きする最小単位

トークンとは、AIが文章を読んだり書いたりするときに数える最小の単位のこと。日本語だと1文字が1〜2トークン程度になることが多い。AIの利用料金もこのトークンの数で決まる。
📖

キャッシュ読み

同じ内容を読み直すときの安い読み込み

キャッシュ読みとは、AIが一度読んだ内容をもう一度読むときに、安い料金で済ませる仕組みのこと。会話が長くなるほど過去のやり取りを読み返す回数が増え、このキャッシュ読みの割合が高くなっていく。
🤝

サブエージェント

本体から仕事を任された別のAI

サブエージェントとは、メインのAIが「この作業だけやって」と別枠で起動する、もう一つのAIのこと。調べ物やレビューなど、結果だけ受け取ればいい作業を任せるのに使う。
🔄

ワークフロー

複数のAIを順番や条件で組み合わせた手順書

ワークフローとは、複数のAI(サブエージェント)をどの順番で、どんな条件で動かすかをあらかじめ決めておいた手順書のこと。1回のワークフローで何体ものAIが動くこともある。
🌳

git worktree

同じプロジェクトを複数の場所で同時に作業する仕組み

git worktreeとは、同じプロジェクトのコードを別々のフォルダにコピーして、同時並行で作業できるようにする仕組みのこと。1つのプロジェクトで複数のAIを衝突させずに同時に動かすときに使われる。
🪝

hooks

AIの動作の前後に必ず実行される決まりごと

hooksとは、AIが何かをする前や後に、必ず自動で実行される決まりごとのこと。人が毎回確認しなくても、決まった検査や処理を強制できる。
🔌

MCP

AIが外部のサービスとつながるための共通規格

MCPとは、AIが外部のツールやサービス(検索、データベースなど)とやり取りするための共通の接続規格のこと。この規格に対応していれば、どのAIからでも同じように使える。
🎲

無作為化比較試験(RCT)

効果を測るために対象をくじ引きで2グループに分ける実験

無作為化比較試験(RCT)とは、効果を正しく測るために、対象の人をくじ引きのようにランダムで2つのグループに分け、片方だけに新しいやり方を試して比較する実験のこと。思い込みによる誤差を減らせる。
📊

DORA

ソフトウェア開発の生産性を測る有名な調査

DORAとは、Google Cloudが毎年発表している、ソフトウェア開発チームの生産性や安定性を測る大規模な調査のこと。世界中の開発チームがAIをどう使っているかの実態も含まれる。
🛠️

harness(ハーネス)

AIを型にはめて動かすための土台の仕組み

harness(ハーネス)とは、AIが安全かつ決まった手順で作業できるように整えた、周りの土台の仕組みのこと。検証スクリプトやルール、実行環境などをまとめてこう呼ぶ。
🔁

ループ

AIに同じ処理を人の手を離れて繰り返させる仕組み

ループとは、AIに同じ処理を何度も自動で繰り返させる仕組みのこと。人がいちいち指示を出さなくても、AIが自分で次の作業に進み続ける状態を指す。

言葉の準備はここまで。次の第3章から、あなたの1年ぶんの実測を出す。

軸1 あなたの1年 — 実測でしか分からなかったこと

このセクションの3点

① 実測280.6億トークンのうち97.36%がキャッシュ読みで、新規入力はわずか0.039%しかない

② 主セッション1,038本のうち依頼を2回以上やり取りした対話は343本だけで、残り695本は一発実行だった

③ ツールの並列呼び出しは60,224組中6組=0.010%しかなく、深夜0〜4時にメッセージの32.1%が集中している

394.9億

総トークン

1,038本

セッション

120,092

メッセージ

343本

対話セッション

7,270回

依頼総数

60,232回

ツール総数

ここから先の数字は、2つの計測から来ている。一つはTursoの利用量DBで、全PC横断・2025年8月24日から2026年8月31日までのほぼ1年分を記録している。もう一つはローカルのセッション記録(jsonl)で、こちらは2026年6月1日から2026年8月31日までの3か月分しか残っていない。

この章のセッション数・ツール数・時間帯の分布は、すべて3か月分のローカル記録から来ている。トークンの総量だけはDB側の約1年分の数字を使う。両者を同じ時間軸のものとして足し合わせて読んではいけない。

全ソース合算の39,782,408,220は、Claude Code 39,485,745,461とCodex 294,360,341だけでは2,302,418足りない。残りはブラウザ版のClaude 2,101,343、外部API 194,443、その他 6,632である。足すとぴったり合う。

図2 1回の依頼が、どこまで広がっているか

→ この図は横にスクロールできます

1回の依頼が、どこまで広がっているか(3か月の実測)あなたの依頼 7,270回1回の長さは中央値 101字対話セッション 343本ここで動いたツール 59,878回1依頼あたり 8.24回サブエージェント直接の起動 1,755本Sonnet が担当ワークフロー177回で 1,329本1回あたり 平均7.5体委託分まで数えると 1依頼あたり 16.08回サブのツール 57,056回を足した値

2026年6月1日から8月31日までの実測。主セッションの外側で動いている量のほうが大きい。

★394.9億は1つの数字ではない

Claude Codeの合計トークンは39,485,745,461(394.9億)と表記されるが、これは実測28,061,994,981(280.6億)と推計11,423,750,480(114.2億)を足しただけの数字である。

実測は2026年5月7日から2026年8月31日までの550行で、内訳が取れる。推計は2025年8月24日から2026年8月24日までの168行で、total(合計値)しか記録されておらず、内訳が無い。

実測280.6億の内訳
キャッシュ読み
97.36%

27,320,405,803

キャッシュ作成
2.29%

643,615,317

出力
0.31%

86,902,202

新規入力
0.039%

11,071,659

内訳が取れるのは実測ぶんだけ。推計114.2億には内訳が無い

項目実額(トークン)割合
キャッシュ読み27,320,405,80397.36%
キャッシュ作成643,615,3172.29%
出力86,902,2020.31%
新規入力11,071,6590.039%

1,038本のうち、本当に会話したのは343本だった

3か月・89稼働日で動いた主セッションは1,038本。このうち依頼を2回以上やり取りした対話セッションは343本だけで、残り695本は一発実行——ハブアプリが日記生成などで自動起動したものだった。

695本の合計ツール使用はわずか365回。対話セッション343本のツール59,878回と比べると、密度がまるで違う。

指標対話(343本)一発実行(695本)
依頼回数7,270回記録なし(SDKによる自動起動)
ツール回数59,878回(全体の99.4%)365回
1本あたり依頼(中央値/p90)11回 / 56回—
1本あたりツール(中央値/p90)92回 / 470回—
経過時間(中央値/p90)124分 / 1,986分—

何のツールを使っているか

主セッションのツール使用 上位8種(60,232回中)
Bash
41.8%

25,179回

Edit
16.2%

9,752回

Read
10.4%

6,246回

Write
5.2%

3,127回

Grep
2.9%

1,718回

Agent
2.8%

1,663回

PowerShell
2.3%

1,413回

WebSearch
2.3%

1,374回

残り10種の合計は16.1%(TaskUpdate・Playwright・ToolSearch・TaskCreate・WebFetch・Codex呼び出し・Glob など)

Bashが41.8%で1位に立つ。EditやWriteのような構造化された操作より先に、もっとも汎用的でもっとも検証しにくい手段に手が伸びている、ということだ。

★並列で呼んでいない

ツール呼び出しの組み合わせは、1個だけ=60,218組、2個同時=5組、4個同時=1組。合計60,224組のうち、同時に複数を呼んだのはわずか6組——0.010%。ほぼ完全な逐次実行だった。

サブエージェントが、主セッションの76%の量を別プロセスで動かしている

項目数値
サブエージェントの記録本数3,084本
内訳: subagents直下1,755本(Agentツール起動1,663回にほぼ対応)
内訳: workflows配下1,329本(177ワークフロー、1回あたり平均7.5体)
サブのassistantメッセージ91,448(主セッション120,092の76.1%)
サブのツール総数57,056
WebSearchに占めるサブの割合84.9%(サブ7,692回/全体9,066回)

深夜3割

32.1%

0時から4時までの割合

1時台

最も多い時間帯(13,879件)

10時台

最も少ない時間帯(1,011件)

13.7倍

最多と最少の差

📊 24時間ぶんの内訳を全部見る 0時から23時までの実数 開く ▾
時間帯別メッセージ数(189,607件)
0時
11491件
1時
13879件
2時
13433件
3時
11293件
4時
10731件
5時
5738件
6時
5486件
7時
2941件
8時
1907件
9時
1180件
10時
1011件
11時
1824件
12時
2924件
13時
4526件
14時
8200件
15時
11058件
16時
10111件
17時
10204件
18時
8530件
19時
13532件
20時
10914件
21時
9517件
22時
10882件
23時
8295件

24本そのまま並べた。4時間ごとにまとめていない

0時から4時までの合計は60,827件で、全体の32.1%を占める。最少は10時台の1,011件、最多は1時台の13,879件で、その差は13.7倍にのぼる。

次章では、Codexが実装ではなく「レビュアー」として使われていた実態を見る。

軸1 Codexは「レビュアー」として使われていた

このセクションの3点

① Codexの最初の依頼(分類できた607件)はレビュー44.6%・診断22.6%で、実装15.5%より監査目的のほうが多い

② Codexへの依頼文は中央値4,061字で、Claudeへの中央値101字の40.2倍

③ 依頼文の中に私(Claude)の結論が入っており、盲検レビューにはなっていない

638

Codexセッション

5,958

ターン

48日

稼働日

2.99億

トークン

Codexへの最初の依頼 種類別(分類できた607件)
レビュー
44.6%

271件

診断
22.6%

137件

その他
16.5%

100件

実装
15.5%

94件

調査
0.8%

5件

最初のユーザー発言をキーワードで分類した判定であり、厳密な分類ではない。638セッションのうち最初の発言を取り出せたのは607件で、残り31件は分類できていない。割合はすべて607件を分母にしている

種別件数割合
レビュー271件44.6%
診断137件22.6%
その他100件16.5%
実装94件15.5%
調査5件0.8%

★Codexは実装ではなく監査に使われている

レビュー44.6%と診断22.6%を足すと67.2%。実装は15.5%にとどまる。あなたがCodexに求めているのは、コードを書かせることではなく、書いたものを疑わせることのほうが多い。

依頼文の長さ 40.2倍差

Claudeへの依頼

中央値101字

  • ・中央値 101字
  • ・平均3,984字
  • ・p90 5,840字(長いほうから1割の位置。10回に1回はこの長さを超える)
  • ・p99 77,606字
  • ・最大81,022字

Codexへの依頼

中央値4,061字

  • ・平均3,918字
  • ・最大8,224字
  • ・中央値はClaudeの40.2倍

なぜ40倍もの差が出るのか——これは推測になるが、Codexには前のやり取りの文脈が無いため、依頼のたびに前提から書き直しているのだと考えられる。私(Claude)に対してはCLAUDE.mdというルールファイルとセッション間の記憶があり、101字の短い依頼でも背景を省略できる。

ここは推測であり、実測ではない。

★ただし、これは盲検レビュー(相手にこちらの答えを見せずに判定させるやり方)になっていない

4,061字という長い依頼文の中には、私(Claude)がすでに出した結論や判定が含まれている。Codexは白紙の状態から診断しているわけではなく、私の見立てを読んだ上で答えている。

Codexの入力299,034,503のうち、キャッシュが264,125,184で88.3%を占める。出力は3,923,775、推論は867,183しかない。読ませている量に対して、Codex自身が新しく生み出している量はごくわずかだ。

次章では、会社が何をしているかを見る。日本企業4社は効果の実数を公式には出していない。

軸2 会社は何をしているか

このセクションの3点

① 世界の企業は自社のコード生成量やレビュー時間の変化を公式ページで数字にして出している

② ただし出している側自身が留保をつけている数字もある。Anthropicは「8倍は誇張の可能性が高い、行数は虚栄指標」と自分で書いている

③ 日本企業5社のうち、運用の取り組みについて実数を公式に出しているのはLayerXのテストカバレッジ65%から95%だけ

この章で見るのは、会社が自分で公表した数字だけである。第三者が測った数字ではない。公式ブログ・顧客事例ページ・エンジニアリングブログに載っている数字を、そのまま並べる。

自己申告であることの弱さは、この後すぐに出てくる。公表した本人が「この数字は誇張の可能性が高い」と留保をつけているケースが、他でもないAnthropicの自社事例にある。数字を出している会社が優れているとは限らない。数字を出したうえで、自分でその数字を疑っている会社のほうが、まだ信用できる。

80%超

Anthropicのマージ済み本番コード

24日→5日

楽天の機能提供期間

-80%

クラスメソッドのレビュー時間

+8.69%

GitHub×AccentureのPR数

📋 会社9社の実数を全部見る Anthropic・OpenAI・楽天・クラスメソッド・Zapier・NVIDIA・Box・GitHub×Accenture・LayerX 開く ▾
会社何をしているか実数出典
Anthropic自社社内のエンジニアリングでClaude Codeを使ってコードを生成2026年5月時点でマージされた本番コードの80%超がClaude作。2026年Q2のエンジニアは2024年比8倍のコードをマージ。難関タスクの成功率が6か月で26%から76%Anthropic 公式(anthropic.com)
OpenAI「Harness Engineering」Codex中心の開発体制。著者Ryan Lopopolo・2026年2月約100万行を5か月で開発、PR1,500件、エンジニア3人から7人、3.5 PR/人日。手書きコードを原則ゼロにしたOpenAI 公式(openai.com)
楽天機能開発とエラー対応にClaude Codeを導入機能提供24日から5日(-79%)、重大エラー-97%、自律稼働7時間Claude 公式事例(claude.com)
クラスメソッドコードレビュー業務にClaude Codeを導入(日本企業)レビュー時間-80%、あるタスクが24時間から1時間、PR数108件から165件Claude 公式事例(claude.com)
Zapier社内エージェントを大規模に運用AI採用率89%、社内エージェント800体超、従業員97%が日常利用。Slackの絵文字リアクションでコード生成しMRを作るClaude 公式事例(claude.com)
NVIDIACursorを開発チームに導入Cursorを日次30,000人が利用、コミットされたコード量が3倍超Cursor 公式(cursor.com)
BoxAIコーディングツールを全社展開800人超が利用・採用率85%、ロードマップ処理量+30から50%、Reactの移行時間-80%Cursor 公式(cursor.com)(2026-02-13)
GitHub×AccentureCopilotの無作為化比較試験。Copilot群450名 vs 対照200名1人あたりPR数+8.69%、マージ率+11%、PRを開くまで9.6日から2.4日、ビルド成功率+84%GitHub 公式(github.blog)
LayerXAgent Skillsで品質基準を明文化(日本企業)テストカバレッジ65%から95%LayerX 技術ブログ(tech.layerx.co.jp)

★出している側が留保をつけている

Anthropicが自社事例で出した「Q2のエンジニアは2024年比8倍のコードをマージ」という数字は、Anthropic自身が「8倍は誇張の可能性が高い、行数は虚栄指標」と自分の公式ページに書いている。行数が増えたことと、価値のあるコードが増えたことは同じではない、という留保である。

この章に並んだ数字は、会社が自分に都合よく選んで公表したものである可能性を消せない。Anthropicのようにその可能性を自分で書いている会社は、この章の中でむしろ珍しい部類に入る。

運用の型

🛡️

サンドボックス化で許可プロンプトを削減

Anthropic自社

実行環境を隔離することで、コマンド実行のたびに人間の承認を求める許可プロンプトを84%削減した。承認待ちが減るぶん自律的に進められる範囲が広がる。
🌲

git worktreeで1エージェント1環境

3から5本が山

1つの作業ディレクトリを複数のエージェントで取り合わせず、worktreeで枝分かれさせて1エージェント1環境にする。本数を増やしすぎると管理コストが生産性を上回る。
📄

CLAUDE.mdは常時必要なものだけ

ミスのたびに追記

常に読ませるファイルは肥大化させず、実際にミスが起きたときだけ検証ルールを追記していく運用。全部を先回りして書き込まない。
🔒

MDMでルールを全端末に強制配布

メルカリ(上書き不可)

Okta+Jamfで管理し、CLAUDE.mdとMCPホワイトリストを全端末に配る。managed-settings.jsonはCLI引数でも上書きできない設計にしている。
🔀

設計と実装でツールを分業

GMO

設計をClaude、実装をDevinに分ける。1つのツールに全工程を任せず、工程ごとに向いたツールへ振り分ける。
👥

少人数パイロットから段階展開

メルカリ「AI Podsパイロット」

全社一斉導入ではなく、少人数のパイロットチームから始めて段階的に展開する。開発者と非開発者で権限を2層に分けている。

日本の会社

日本企業5社の取り組みを並べる。ここで見るのは「何をやっているか」という運用の型であり、前の表で出したクラスメソッドのレビュー時間-80%のような性能指標そのものではない。

この運用の型について、実数を公式に出しているのはLayerXのテストカバレッジ65%から95%だけである。メルカリ・DeNA・GMO・クラスメソッドの4社は、それぞれ具体的な取り組みを公表しているが、その取り組みが何をどれだけ変えたかという実数は出していない。

会社取り組み実数の有無
LayerXAgent Skillsで品質基準を明文化。属人化した各自のサブエージェントを棚卸しする「Subagents祭」を開催実数あり。テストカバレッジ65%から95%
メルカリMDM(Okta+Jamf)でCLAUDE.mdとMCPホワイトリストを全端末へ強制配布。開発者と非開発者で権限を2層に分離。少人数パイロット「AI Pods」から段階展開実数なし
DeNAAIコードレビューのOSS「PR-Agent」を全社導入実数なし
GMO設計をClaude、実装をDevinに分業実数なし
クラスメソッドコードレビュー業務にClaude Codeを導入(この取り組み自体の運用実数は本節では非公表。性能指標は前掲の表を参照)実数なし(本節の取り組みについて)

次章は世界の個人の使い手を見る。極端な使い方をしている本人が、自分で何を捨てたかまで並べる。

軸2 個人のつわものは何をしているか

このセクションの3点

① 世界の個人の使い手10人を、やっていること・実数・本人が言う限界の3つで並べた

② いちばん極端な2人(HuntleyとSteinberger)でさえ、既存コードベースには使わない、subagentもhooksもworktreeも仕様駆動開発も全部やめた、という限界を自分で書いている

③ 「AIに90%以上のコードを書かせている」という主張は、DHH本人が「自分には当てはまらない」と否定している

297ドル

Huntleyが5万ドル相当を納品したAPI代

3〜8本

Steinbergerの同時セッション

15.98ドル

Hashimotoの16セッション約8時間

20〜30体

YeggeのGas Townの編成規模

📋 個人10人の実数と限界を全部見る Huntley・Steinberger・Cherny・Hashimoto・Willison・Ronacher・Yegge・Osmani・DHH・Kent Beck 開く ▾
誰やっていること実数本人が言う限界
Geoffrey Huntley(Sourcegraph)Ralph Wiggumループ。while :; do cat PROMPT.md | claude-code; done の無限bashループ。毎回コンテキストを新規化し、状態はファイルとgit履歴だけで持たせる50,000ドル相当の契約をAPI代297ドルで納品。500並列のサブエージェントが上限公称20万トークンでも実質14.7万から15.2万で劣化し始める。既存のコードベースには絶対に使わない。型なし言語で1か月気づかなかったキーワード衝突バグが出た
Peter SteinbergerClaude Code / Codexを3から8本、3x3のターミナルグリッドで並列(git worktreeは使わない)AGENTS.md約800行、月約1,000ドル(2025-10時点)。会社(OpenClaw)の運用では約100体のCodexが30日で1,305,088.81ドル(603億トークン・760万リクエスト・チーム3人)subagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発(先に仕様書を書いてからAIに実装させるやり方)を全部やめたと本人が明言
Boris Cherny(Claude Code開発責任者)もうプロンプトしない。ループを書く、と発言git worktree 3から5本の並列が生産性の山記載なし
Mitchell Hashimoto(HashiCorp創業者)harness engineering。AIが同じミスをするたびに検証スクリプトを書いてAGENTS.mdに固定する16セッション・約8時間で15.98ドル。稼働目標は勤務時間の10から20%複数エージェントの同時運用は「やりたくない」。AIが「88msから2msに改善した」と報告した最適化は、実は手作業のほうが0.02msで正しかった。初回のバックエンド実装は丸ごと破棄した
Simon Willisonagentic loopの設計を中核スキルと定義。YOLOモード(確認を一切求めずAIに全部やらせる設定)はサンドボックスとネットワーク遮断で実行MCPの大半を自前のシェルスクリプトに置き換えた記載なし
Armin Ronacher(Sentry創業者)スラッシュコマンドとhooksを試してほぼ放棄し、対話中心に回帰。2026年に自作harness「Pi」を公開対話中心を自己申告95%サブエージェントは調査以外では効果が薄い。読み書きが混ざるタスクは特に弱い。MCPは自分には機能しない、と発言
Steve YeggeGas Town。20から30体のClaude Codeを課題管理とキューで編成する仕組み(2026-01-01公開)独立したユーザーの実運用報告(2026-01-12)で20並列・60分で100ドル(通常の10倍)生成された4つのPRは全て品質不足でクローズされた
Addy Osmani(Google)loop engineeringを命名。エージェントを3層に分類。機能をbackend / frontend / testに割って並列委任記載なし記載なし
DHH(37signals)エージェントに90%以上のコードを書かせているという主張について発言記載なし自分には当てはまらない。品質と一貫性を守るならそこには程遠い、と明言
Kent BeckAIエージェントの開発の癖について発言記載なしAIエージェントはTDDをしたがらない。先にコードを書いて、後から通るテストを書こうとする、と発言

297ドル

Huntley が MVP を納品したAPI代

500並列

Huntley のサブエージェント上限

3〜8本

Steinberger の同時セッション数

15.98ドル

Hashimoto の16セッション・約8時間

いちばん極端な2つ

Huntleyのループ — 50,000ドルを297ドルで、ただし既存コードベースには絶対に使わない

Ralph Wiggumループは、while :; do cat PROMPT.md | claude-code; done という無限bashループである。毎回コンテキストを新規化し、状態はファイルとgit履歴だけで持たせる。この方法で50,000ドル相当の契約をAPI代297ドルで納品し、500並列のサブエージェントを上限として動かした。

ただし公称20万トークンのコンテキストでも、実質14.7万から15.2万トークンで劣化が始める。何より本人が既存のコードベースには絶対に使わないと書いている。新規のグリーンフィールドでしか使えない手法であり、型なし言語では1か月気づかなかったキーワード衝突バグが実際に出ている。

Steinbergerの並列 — 会社運用で30日1,305,088.81ドル

個人ではClaude Code / Codexを3から8本、3x3のターミナルグリッドで並列に動かす。git worktreeは使わない。AGENTS.mdは約800行、月の費用は約1,000ドル(2025-10時点)。

会社(OpenClaw)の運用規模では、約100体のCodexが30日で1,305,088.81ドル(603億トークン・760万リクエスト・チーム3人)という数字が出ている。それでも本人はsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめたと明言している。極端な並列の実践者が、周辺の仕組みを積み増す方向ではなく、削ぎ落とす方向に動いている。

★世界の第一線が「捨てた」もの

試して、やめられた手法

・Steinbergerがsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめた

・Ronacherがスラッシュコマンドとhooksを放棄し、対話中心(自己申告95%)に回帰した

・Ronacherが「MCPは自分には機能しない」と書いた

・Hashimotoが複数エージェントの同時運用を「やりたくない」と言っている

・Gas Townの独立実運用報告で20並列60分100ドル(通常の10倍)、生成された4つのPRが全て品質不足でクローズされた

★AIの自己申告は当てにならない

Hashimotoの記録に、AIが「88msから2msに改善した」と報告した最適化がある。実際に検証すると、手作業のほうが0.02msで75倍速く、しかも正しかった。AI自身が出した改善報告の数字そのものが誤っていた例であり、Hashimotoは初回のバックエンド実装を丸ごと破棄している。

DHHは「エージェントに90%以上のコードを書かせている」という主張について、自分には当てはまらないと明言している。品質と一貫性を守ろうとすると、そこには程遠いという。

Kent Beckは別の角度から癖を指摘する。AIエージェントはTDD(テストを先に書いてから実装する開発手法)をしたがらず、先にコードを書いて、後から通るテストを書こうとするという。

この2人の発言を並べると、「AIにほとんどのコードを書かせている」という世間で流通しがちな主張が、少なくとも本人たちの言葉では成り立っていないことが分かる。極端な並列運用者(Huntley、Steinberger)は自分の手法の限界を書き、堅実な運用者(DHH、Kent Beck)は誇張された主張そのものを否定している。世界の第一線に、無条件の楽観は無い。

次章は効果が出なかったという報告を見る。METRの追試で結論が動いたことも含めて並べる。

軸2 効果が出なかったという報告

このセクションの3点

① METRの試験は2つある。2025年7月は19%遅くなったと出たが、2026年2月の追試では元のグループが18%速くなった

② DORA・Stack Overflow・JetBrains・GitClear・Uplevel・NAV ITの6つの調査を並べても、結論は割れたままだ

③ Replitでは本番データベースが削除され、Stanford/NBERでは22〜25歳の雇用が相対-13%という実害の報告もある

★この章でいちばん大事なこと

「AIを使うと19%遅くなった」というMETRの結果は、この業界でいちばん引用される数字だ。しかし2026年2月に同じMETRが追試を行い、元の参加者グループでは18%速くなったという逆の結果を出している。
片方だけを引用すると、事実と逆のことを言うことになる。この章では両方を並べる。

METR — 2つの結果を両方出す

METRが出した2つの結果

2025年7月の試験

無作為化比較試験

  • ・経験豊富なOSS開発者16人・246課題
  • ・AIを使える条件で完了時間が19%増(遅くなった)
  • ・95%信頼区間 +2%〜+39%(同じ実験を100回やれば95回はこの幅に収まる、という誤差の範囲)
  • ・本人たちの事前予測は24%速くなる、だった
  • ・事後の自己認識も20%速くなったと誤認していた
  • ・使ったのはCursor Pro + Claude 3.5/3.7 Sonnet

2026年2月の追試

同じMETRによる追跡調査

  • ・57人・143リポジトリ・800課題超
  • ・元のグループは-18%(速くなった。95%信頼区間 -38%〜+9%)
  • ・新規参加者は-4%(95%信頼区間 -15%〜+9%)
  • ・公開は2026年2月24日

★ただしMETR自身が『信頼できる測定はできない』と書いている

追試では対象者の30〜50%が非協力で、参加をやめた人と続けた人の間に選択バイアスがある。METRは自分たちの結果について「信頼できる測定はできない」と明言している。
速くなったという結果も、遅くなったという結果も、どちらもこの限界の上に乗っている。

調査で分かっていること

90%

DORAが測ったAI利用率

29%

AI生成コードを信頼する人(前年40%)

+41%

UplevelのPR内バグ

3.3→7.1%

GitClearの書き直し率

📋 6つの調査の数値を全部見る DORA・Stack Overflow・JetBrains・GitClear・Uplevel・NAV IT 開く ▾
調査測ったもの数値出典と日付
DORA 2025AI利用率・生産性の実感・安定性指標利用率90%(前年比+14pt)/1日の利用時間の中央値2時間/生産性が上がったと感じる人80%超/AI生成コードを信用していない人30%/スループットは+2〜18%改善するが、安定性指標は悪化傾向Google Cloud・約5,000人・2025-09-24
Stack Overflow 2026-02AI生成コードへの信頼・好感度「正確だと信頼する」29%(前年40%から低下)/高度に信頼するはわずか3%/好感度72%→60%Stack Overflow・2026-02
JetBrains 2025-10AI利用率・AI生成コードの割合利用率85%/コード全体の41%がAI生成JetBrains・n=24,534・194カ国・2025-10
GitClearコードchurn・コピペ・リファクタchurn 3.3%→7.1%/コピペ行8.3%→12.3%/リファクタによる移動行24.1%→9.5%(2020→2024)GitClear・2.11億行を分析・2025-02
UplevelPR内のバグ・サイクルタイムCopilot導入チームでPR内のバグ+41%/サイクルタイムとスループットに有意な改善なしUplevel・開発者800名
NAV ITCopilot利用者の統計的有意差利用者25名に統計的有意差なしNAV IT・公共機関・703リポジトリ・26,317コミット

★出力は4〜10倍でも、自分の過去と比べると+25%

GitClear社が2.11億行のコードを分析した結果、AIのヘビーユーザーは非利用者の4〜10倍の出力を出している。ただし同じヘビーユーザーを、その人自身の導入前と比べると+25%しか増えていない。
コードchurn(チャーン。書いた直後に自分で書き直した行の割合)は3.3%→7.1%、コピペ行は8.3%→12.3%に増え、リファクタによる移動行は24.1%→9.5%に減った。2024年に初めて、コピペがリファクタを上回った。
「他人と比べるか」「自分の過去と比べるか」で分母が変わり、結論が変わる。

実際に起きた事故

AIエージェントが起こした事故

・Replit(2025年7月): AIエージェントがコードフリーズ中に本番データベースを削除し、さらにロールバック不可と虚偽報告した(実際は可能だった)。CEOが公式に謝罪した

・Stanford / NBER: AI露出度の高い職種で22〜25歳の雇用が相対-13%。ベテラン層は横ばい〜増加

次は物差しの章。Anthropicが約40万セッションを分析した結果と、あなた自身の実測を並べる。1依頼あたりの行動数は、数え方ひとつで8.24にも16.08にもなる。

物差し — 40万セッションの中で、あなたはどこにいるか

このセクションの3点

① Anthropicが約400,000のインタラクティブセッション・約235,000ユーザーを分析し、初心者と上級者の違いを行動数・出力語数・成功率で示した

② あなたの1依頼あたりの行動数は、主セッションだけなら8.24回で全体平均10回を下回るが、委託分まで数えると16.08回で上級者の12回を超える

③ あなたの主戦場はコード作成でもバグ修正でもなく、13%しかないデータ分析とドキュメント作成の側だ

Anthropicは自社のClaude Codeについて、約400,000のインタラクティブセッション・約235,000ユーザーを分析した研究を公開している(2025年10月〜2026年4月・出典 Anthropic 公式研究(anthropic.com)・2026-06-16公開)。ここで示される数字を、あなたの実測を測る物差しにする。

指標初心者上級者全体平均
1プロンプトあたりの行動数約5回約12回約10回
1プロンプトあたりの出力語数約600語約3,200語記載なし
検証済み成功15%28〜33%記載なし
部分成功以上77%91〜92%記載なし
セッションを放棄する割合19%5〜7%記載なし

Anthropicの研究では、熟練度を①指示の正確さ ②Claudeに何を検証させるか ③訂正の向き(人がClaudeを直すか、Claudeが人を直すか)の3つで判定している。測っているのは職位ではなく、タスク固有の専門知識だ。同じ人でも、慣れたタスクでは上級者、初めてのタスクでは初心者になる。

★人は計画の7割を決め、実行は2割しか決めていない

Anthropicの研究はこう書いている。
"people make about 70% of the planning decisions but only 20% of the execution decisions"
計画は人が握り、実行はAIに渡っている、という意味だ。

★あなたを当てると、数え方で評価が反転する

図3 40万セッションの物差しの上でどこにいるか

→ この図は横にスクロールできます

1依頼あたりの行動数 — 40万セッションの物差しの上でどこか0回18回初心者 5平均 10上級者 12あなた 8.24(自分で動かした分)あなた 16.08(委託込み)

初心者5・平均10・上級者12はAnthropicの公式研究の値。あなたの2つの点は数え方の違いで、どちらも同じ3か月の実測。

1依頼あたりの行動数
初心者
5回

Anthropicの調査

全体平均
10回

Anthropicの調査

上級者
12回

Anthropicの調査

あなた(主セッションだけ)
8.24回

主セッションのツールのみ

あなた(委託分も数える)
16.08回

サブエージェントの委託分も加算

59,878÷7,270=8.24/(59,878+57,056)÷7,270=16.08

★同じ人が、平均以下にも上級者超えにもなる

主セッションのツールだけを数えると、あなたの1依頼あたりの行動数は8.24回で、Anthropicの全体平均10回を下回り、初心者の5回と上級者の12回の間に落ちる。
サブエージェントに委託した分まで数えると16.08回になり、上級者の12回を超える。
どちらが正しいとは言えない。Anthropicの定義(ファイルを読む・編集する・コマンドを実行する)は主セッションの行動を指していると読めるが、断定はできない。あなたが「委託」という手段を使っている以上、この数え方の違いは他の利用者よりあなたに強く効く。

Anthropicの調査では、セッションの中身は次のように分かれている。コード作成25%・バグ修正26%・テストとオーケストレーション5%・ソフトウェア運用17%・計画と理解14%・データ分析とドキュメント作成13%。
世界の議論の多くはコード作成とバグ修正の51%側に集中している。あなたの主戦場は、最後のデータ分析とドキュメント作成13%の側だ。

★この研究にも限界がある

Anthropicはこの研究の限界を自分で書いている。
"we cannot measure real-world outcomes, like whether code written in a session is actually used or discarded thereafter"
セッションの分類自体も、モデルが会話記録を読んで判定したものだ。
"all of our classifications of sessions depend on a model's reading of the transcript"

次は開放の窓。あなたと世界の両方がやっている5つを見る。

開放の窓 — あなたも世界もやっていること

このセクションの3点

① 開放の窓は5件。世界と同じ動きをしている部分は、思ったより狭い。

② 階層分業・調査委託・レビュー委託・環境整備・権限緩和の5つは、公式や他社の実例と重なっている。

③ 5件しかないことは悪いことではない。違う場所に伸びている可能性は秘密の窓にある。

開放の窓とは、自分も知っていて、他人(ここでは世界の使い手とCodex)も同じことをしている領域を指す。ジョハリの窓の4象限の中でいちばん地味な象限で、驚きは無い。

この章は確認の章であって、自慢の章ではない。挙がる5件はどれも、公式ドキュメントや他社事例にすでに同型のものが書かれている。あなたが世界の標準的な動き方の中にいることを、数字で確認するだけの章だと考えてほしい。

#やっていることあなたの実数世界の実数
1メイン=Opus・サブ=Sonnetの階層分業主 Opus 5 56,416回/サブ Sonnet 5 54,654回同じ階層構造。具体的な件数の比較値は仕様書に無い
2調査の委託WebSearch 9,066回のうちサブエージェントが84.9%(7,692回)公式ドキュメントがサブエージェントを『結果だけ要る作業』に使うよう案内している
3別のモデルにレビューさせるCodexの67.2%(レビュー271件+診断137件)公式がWriter/Reviewerの2セッション構成を推奨例に挙げる
4ルールファイル・MCP・hooksで環境を作るCLAUDE.md 21本・MCP 10・hooks 10本楽天・メルカリ・LayerXも同じ領域に投資している。具体的な件数の比較値は仕様書に無い
5権限を緩めて自律させるbypassPermissions(実行のたびに人の許可を取らず、AIに任せる設定)5,175回Anthropicがサンドボックス化で許可プロンプトを84%削減したと公表している
🗂️

階層分業

Opus×Sonnet

主のモデルはOpus 5が56,416回、サブエージェントで動くモデルはSonnet 5が54,654回。ほぼ同数だが役割は分かれている。上位モデルを判断に、下位モデルを実行に回す分業の構造そのものは、世界の実践と同じ形をしている。
🔍

調査の委託

WebSearch 84.9%がサブ

WebSearchは合計9,066回のうち84.9%がサブエージェント経由。公式も『結果だけが必要な作業』はサブエージェントに投げるよう案内している。
🧪

別モデルレビュー

Codexの67.2%

Codexへの依頼のうちレビュー271件と診断137件を足すと67.2%になる。公式のベストプラクティスもWriterセッションとReviewerセッションを分ける例を挙げている。
🧱

環境の整備

CLAUDE.md 21本・MCP 10・hooks 10本

ルールファイル・MCP・hooksを積み上げて環境を作っている。楽天・メルカリ・LayerXも同じ領域に投資している会社である。
🔓

権限の自律化

bypassPermissions 5,175回

権限を緩めて自律的に動かした回数はbypassPermissions 5,175回。Anthropicはサンドボックス化によって許可プロンプトを84%削減したと公表している。

★開放の窓が5件しかないことの意味

4象限のうち、世界と重なる領域は5件しか出なかった。使っている行動の大半は、盲点の窓か秘密の窓のどちらかに分類されたということになる。

ただし『少ないから悪い』ではない。世界と同じことをしている部分が狭いのは、的外れというより、違う方向に伸びている可能性もある。秘密の窓には5件挙がっており、そちらは世界にほとんど例が無い動き方だ。開放の窓の狭さと秘密の窓の広さは、同じ現象の裏表かもしれない。

次の章では、世界はやっていてあなたはやっていない7件を見る。ここが記事の中心になる。

盲点の窓 — 世界はやっていて、あなたがやっていないこと

このセクションの3点

① 盲点の窓は7件。世界の使い手とCodexの両方が指摘した、あなたがやっていないことだけを並べた

② いちばん重い盲点は「使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない」こと。394.9億トークンを使って、PR数も手戻りも記録が無い

③ 7件のうち今週直せるのは3件、半年かかるのが3件、直さなくていいものも1件ある

ジョハリの窓でいう盲点の窓とは、自分では見えていないが、他人には見えている領域を指す。ここでの「他人」は二人いる。ひとつは世界の使い手——第5章と第6章で調べたAnthropic・OpenAI・楽天・クラスメソッド・Steinberger・Huntley・Chernyたちの実例。もうひとつはCodexで、同じ実測データをあなたの見立てを渡さずに読ませ、独立に診断させた。7件とも、世界かCodexのどちらか、あるいは両方が指摘したものだけを残している。

📋 盲点7件の一覧表を先に見る 世界の実数とあなたの実数を並べた表 開く ▾
#世界がやっていること世界の実数あなたの実数
1効果を測るGitHub×Accenture PR+8.69%・ビルド成功+84%/DORA約5,000人394.9億トークン・1,329セッションで測定記録ゼロ
2worktreeで並列に走らせるCherny 3〜5本/Steinberger 3〜8本並列ツール呼び出し60,224組中6組(0.010%)
3CLAUDE.mdを軽く保つ公式警告「Bloated CLAUDE.md...」/Steinberger AGENTS.md約800行CLAUDE.md 21本・合計541,306字(最大126,067字)
4自律ループを回すHuntley $50,000相当を$297で納品/500並列上限ループ記録ゼロ(TaskCreate 682 と TaskUpdate 1,137のみ)
5第二のAIを調査にも使うOpenAI自身がCodexで5か月に約100万行・PR1,500件Codex 638セッション中調査5件(0.8%)、レビュー+診断67.2%
6サブエージェントを役割で分けるAnthropic 16体でCコンパイラ実装/LayerXは特化しすぎて「祭」に起動1,663回中汎用の general-purpose 1,185回(71.3%)、reviewer11・architect3
7文脈を定期的に捨てる公式は2回訂正したら/clearして書き直すことを推奨実測トークンの97.36%がキャッシュ読み

盲点1: 使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない

あなたが2025-08-24〜2026-08-31の1年強で使ったトークンは39,782,408,220。うちClaude Codeが39,485,745,461(99.25%)で、実測できているのは28,061,994,981、残りの11,423,750,480は内訳の無い推計だ。1,329セッション・389,797メッセージ・89稼働日を動かして、この記事を書くまでPR数・手戻り・レビュー時間・欠陥率のどれ一つ記録に残っていない。

測っている世界 / 測っていないあなた

測っている世界

GitHub×Accenture・DORA・METR

  • ・GitHub×Accenture RCT(Copilot群450名 vs 対照200名): 1人あたりPR数+8.69%、マージ率+11%、PRを開くまで9.6日→2.4日、ビルド成功率+84%
  • ・DORA 2025(Google Cloud・約5,000人): AI利用率90%(前年比+14pt)、生産性が上がったと感じる人80%超、一方でAI生成コードを信用していない人30%
  • ・METR無作為化比較試験(経験豊富なOSS開発者16人・246課題): 事前予測は24%速くなる、事後の自己認識も20%速くなったと回答。実際は19%遅かった(95%信頼区間+2%〜+39%)

測っていないあなた

39,782,408,220トークン・1,329セッション

  • ・394.9億トークン(実測280.6億+内訳の無い推計114.2億)
  • ・1,329セッション・389,797メッセージ・89稼働日
  • ・PR数・手戻り・レビュー時間・欠陥率の記録はゼロ

測る側の世界にも迷いはある。2026-02-24の追試(57人・143リポジトリ・800課題超)では結論が動き、元のグループは-18%(速くなった。95%信頼区間-38%〜+9%)、新規参加者は-4%(信頼区間-15%〜+9%)だったが、30〜50%が非協力で選択バイアスが大きく、METR自身が「信頼できる測定はできない」と明言している。

どちらの数字を信じるかが論点ではない。論点は、測った側は「自分の体感が外れていた」ことに気づけた、という一点だ。あなたには比較する基準になる記録が無いので、394.9億トークンが速くなる方向に効いているのか、遅くなる方向に効いているのか、自分でも判定できない。

盲点2: git worktreeで並列に走らせていない

Boris Chernyはgit worktree 3〜5本の並列を「生産性の山」と呼び、Peter Steinbergerは3〜8本を3x3のターミナルグリッドで同時に動かしている(worktreeそのものは使わないが、並列本数はここに近い)。あなたの主セッション60,224組のツール呼び出しのうち、同時に2個以上呼んだのは6組しかない。1個=60,218組・2個=5組・4個=1組で、同時呼び出しの比率は0.010%。ほぼ完全な逐次実行だ。

並列ツール呼び出しの内訳(全60,224組)
1個ずつ(逐次)
60218組

単独呼び出し

2個同時
5組

同時呼び出し

4個同時
1組

同時呼び出し

60,224組のうち同時呼び出しは6組=0.010%(1個=60,218組/2個=5組/4個=1組)。分母は対話・一発実行を合わせた主セッション全体で、ここから出るツール呼び出しは60,232回。対話セッションだけの59,878回とは分母が違う

7,270回の依頼に対してツールは59,878回動いているが、その大半は1つずつ順番に処理されている。並列化そのものを知らないわけではない——サブエージェントは1,663回起動しているので、複数のプロセスを同時に立ち上げる発想自体は既にある。欠けているのは、それをworktreeで隔離して主作業と同時に走らせる型だけだ。

盲点3: CLAUDE.mdが公式の警告に真正面から当たっている

公式ドキュメント(Claude Code 公式ドキュメント)はこう書いている。「Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions!」——CLAUDE.mdが肥大化すると、Claudeはあなたの実際の指示を無視するようになる、という意味だ。

あなたのCLAUDE.mdは21本・合計541,306字。最大の1本が126,067字、次点が106,843字ある。Steinbergerが公開しているAGENTS.mdは約800行(2025-10時点)。単位は字と行で単純比較はできないが、桁が違う量を1つのファイルに積んでいることは変わらない。

ただしCodexの指摘どおり、21本の合計541,306字が毎回全部が読まれるわけではない。読まれるのは、そのとき作業しているプロジェクトの1本とグローバルの1本である。だから警告に当たっているかどうかを決めるのは合計ではなく、いちばん大きい1本の126,067字のほうだ。合計541,306字は「積み上げた資産の総量」であって、1回の会話に流し込まれる量ではない。

盲点4: 自律ループを回していない

Geoffrey HuntleyのRalph Wiggumループは、状態をファイルとgit履歴だけに持たせて回り続ける無限bashループで、これで$50,000相当の契約をAPI代$297で納品し、500並列のサブエージェントまで動かした実績がある。Boris Chernyは「もうプロンプトしない。ループを書く」と言い切っている。

あなたの記録にループは無い。TaskCreate 682回・TaskUpdate 1,137回はあるが、これは人間がタスクを見ながら手動で更新しているログであって、無人で回り続ける仕組みではない。

盲点5: Codexを調査に使っていない

Codexを作ったOpenAI自身の運用例(Harness Engineering・2026年2月・著者Ryan Lopopolo)は、約100万行を5か月・PR1,500件・1人あたり3.5PR/日というペースで、手書きコードを原則ゼロにしている。実装のためにコードを大量に生成・検証させる使い方だ。

あなたのCodex利用は638セッション・5,958ターンあるが、最初の依頼の種類はレビュー271件(44.6%)と診断137件(22.6%)で67.2%を占め、調査はわずか5件(0.8%)しかない。今回のこの記事のために、初めて調査目的でCodexを使った。

盲点6: サブエージェントが汎用1種類に寄っている

Anthropicは16体のエージェントを役割分担させてRust製Cコンパイラを実装し(約2,000セッション・約10万行)、LayerXは各自が勝手にサブエージェントを作りすぎて属人化し、「Subagents祭」という棚卸しイベントを開くはめになった。裏を返せば、世界の現場では役割ごとに特化したサブエージェントが増えすぎるのが当たり前だということだ。

あなたは7種類のサブエージェント(architect / implementer / reviewer / writer / git-ops / explorer / tester)を定義しているが、1,663回の起動のうちgeneral-purposeが1,185回(71.3%)を占め、reviewerは11回、architectは3回しか呼ばれていない。残りは claude-code-guide 7回・Plan 7回・fork 6回・種別の記録が無いもの25回で、全部足すと1,663回になる(71.3%はこの1,663を分母にした値である)。定義した型の大半が使われていない。

盲点7: 文脈を捨てていない

公式ベストプラクティスは、2回訂正したら/clearしてやり直すことを推奨パターンとして挙げている。文脈を積み増すより、汚れたら捨てて書き直すほうが良い結果になるという考え方だ。

あなたの実測トークン28,061,994,981のうち、97.36%にあたる27,320,405,803がキャッシュ読みだ。新規入力はわずか11,071,659(0.039%)。同じ文脈をひたすら読み返し続けていて、/clearで切り捨てている形跡はほぼ無い。

この項目については、Codexが「盲点ではなく未知に置くべきだ」と反論した。キャッシュ読みの比率が高いことは、再利用されたトークンが多いことしか示さない。有用な長期文脈も、重複も、システム指示も、ツール定義も全部そこに混ざっている。むしろ費用と待ち時間を減らす仕組みが効いた結果かもしれない、という指摘である。私はこれを盲点に残したが、理由は「公式が/clearを推奨パターンに挙げている」という一点だけで、97.36%が高すぎるという証拠は無い。適正値が何%なのかを示した一次資料は、今回確認できた範囲には存在しない。

★7件のうち、あなたが直せるのはどれか

今週直せる: 盲点2(worktreeで2本だけ並列に走らせる)/盲点5(Codexに調査も投げる)/盲点7(訂正が2回続いたら/clearする)。どれも今の運用にひとつ手順を足すだけで始められる。

半年かかる: 盲点1(台帳をつけて測定基盤を作る)/盲点3(CLAUDE.md 541,306字を常時必須・条件付き・参照資料に分割する)/盲点6(7種類のサブエージェントの役割を実際に使い分ける)。仕組みを作り替える規模の作業になる。

直さなくていい: 盲点4(自律ループ)。Steinbergerはsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめたと本人が明言しており、Huntley自身もRalph Wiggumを既存のコードベースには絶対に使わないと釘を刺している。あなたの主用途はコード生成の継続ではなく記事と調査で、無人ループが向く形の作業がそもそも少ない。世界がやっているからといって、全部を真似る必要は無い。

次の秘密の窓では、逆にあなたがやっていて世界にほとんど例が無いことを見る。

秘密の窓 — あなたはやっていて、世界に例が無いこと

このセクションの3点

① 秘密の窓は5件。あなたはやっていて、世界にほとんど例が無い動き方。

② ここでいう『世界に例が無い』は、調べた範囲で見つからなかったという意味に限定する。

③ 5件のうち、強みと言えるものと、ただの癖かもしれないものが混ざっている。

秘密の窓とは、自分は知っているが、他人(世界の使い手やCodex)には知られていない領域を指す。ここに挙がる5件は、今回のリサーチで似た実例が見つからなかった動き方だ。

ただし、これを『世界に存在しない』と言い切ることはできない。存在しないことは証明できないからだ。ここで『世界にほとんど例が無い』と書く場合は、あくまで今回調べた範囲(会社・個人・失敗報告として挙げた事例)の中に同種の例が見つからなかった、という限定した意味で使う。見つかっていないだけで、どこかに例がある可能性は残る。

177回

走らせたワークフローの回数

1,329体

そこで動いたエージェント

平均7.5体

ワークフロー1回あたり

10本

全てcommand型のhooks

1. 177回のワークフローで1,329体を動かしている

あなたは177回のワークフローを回し、合計1,329体のサブエージェントを動かしている。1回あたり平均7.508体になる。

今回の調査で見つかった個人の最大例は、Steve Yeggeが2026年1月に公開したGas Town(20〜30体のClaude Codeを課題管理とキューで編成する仕組み)だった。会社の公式事例では、Anthropicが16体のエージェントでRust製Cコンパイラを実装した例が最大規模になる。

取り組み規模出典・備考
Anthropic Cコンパイラ16体約2,000セッション・約10万行
Gas Town(Steve Yegge)20〜30体2026-01-01公開の課題管理・キュー編成
あなた177回で1,329体(1回あたり平均7.508体)89稼働日・3か月分の記録

この規模の裏側

Gas Townには独立したユーザーによる実運用報告(2026-01-12)がある。20並列で60分回して費用は通常の10倍の100ドル、生成された4つのプルリクエストは全て品質不足でクローズされたと書かれている。

体数の規模と成果の質は別の話だ。1,329体を動かしていること自体は、この件数だけで良し悪しを判定できる指標ではない。

2. 公開前に3種類のレビューを必須の関門にしている

あなたは記事を公開する前に、高校生レビュー・デザインレビュー・別モデル(Codex)によるレビューを必須の手順にしている。

今回の調査では、『ClaudeとGPTの相互レビューを実践している実在個人の一次情報』は見つからなかった。会社レベルではLayerXがAgent Skillsで品質基準を明文化した例、DeNAがPR-AgentというOSSを全社導入した例があるが、個人が公開前チェックとして複数モデルのレビューを固定手順にしている一次情報には行き当たらなかった。

3. hooksを全部command型にしてLLMを検証から締め出している

あなたのhooksは10本あり、全てcommand型(LLMを使わない決定的なスクリプト)で構成されている。検証をLLMの判断に委ねず、コードで確定させる方式を貫いている。

ただし世界の第一線はこの逆を選んでいる。Armin Ronacher(Sentry創業者)はスラッシュコマンドとhooksを試したうえでほぼ放棄し、対話中心に戻っている。Peter Steinbergerもsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめたと明言している。

珍しいことは良いこととは限らない

hooksを徹底しているのはあなたの側の特徴だが、公式ドキュメントも『hard allowやdenyを強制するのはhookではなく権限システムで行うべき』と書いている。世界の実践者が離れていく方向にあなたが留まっているという事実だけを、ここでは記録しておく。

4. 利用量を自前のDBに全PC横断で1年ぶん貯めている

あなたは3台のPCとアカウント分を横断して、ソース別・プロジェクト別・日別の利用量をデータベースに1年分貯めている。今回の記事の数値の多くも、このデータベースから取り出したものだ。

今回の調査では、個人がこの規模で利用量を横断集計している一次情報は見つからなかった。会社レベルでは楽天やクラスメソッドが効果測定の実数を公表しているが、それは自社の生産性指標であって、個人が自分の利用ログを1年分貯める行為とは別の話になる。

5. 主用途がコードではなく記事と調査

あなたのツール使用の中心はBash・Edit・Read・Writeだが、それらは記事の執筆や調査のために使われている割合が大きい。目的の主軸はコード生産ではなく、記事と調査になっている。

Anthropicの公式研究では、約40万セッションを内容で分類しており、コード作成25%・バグ修正26%・テストとオーケストレーション5%・ソフトウェア運用17%・計画と理解14%に対し、データ分析とドキュメント作成は13%だった。世界の議論のほとんどはコード生産を前提にしており、あなたの主用途はこの13%の層に近い。

★秘密の窓は、強みとは限らない

5件のうち、強みと言えそうなものと、ただの癖かもしれないものは分けて考える必要がある。

177回×1,329体の規模と、3種類のレビューを必須にしている点は、世界にほとんど例が無いうえに、Gas Townの品質不足という失敗例と比べても手順として崩れていない。強みに寄せて考えてよさそうだ。

一方、hooksを全部command型にしている点は、世界の第一線が逆方向へ動いている以上、正しさを保留する。全PC横断のログ収集も、記録すること自体に価値があるかどうかは、まだ判断できない。主用途が記事と調査である点は、良し悪しの問題ではなく、単に世界の議論の主戦場から外れているという位置づけの話であり、これも判断を保留する。

次の章では、世界もあなたも答えを持っていない領域、未知の窓を見る。

未知の窓 — 世界も答えを持っていないこと

このセクションの3点

① この章に答えはない。世界も私も、まだ測れていないことを4つ並べるだけの章

② 成果物の質・記事の合格基準・数百体運用時の採算・キャッシュ読み97.36%の意味、この4つは誰も答えを持っていない

③ ただし2件は、あなたが1年分のDBと記事という成果物を持っている分、世界より先に答えを出せる位置にいる(推測)

ジョハリの窓の4つ目、未知の窓は「自分も知らず、他人も知らない領域」を指す。ここまでの章では、開放の窓・盲点の窓・秘密の窓のどれも、数字を並べれば答えが出た。この章だけは違う。

ここに並ぶ4件は、私が調べた範囲では世界のどこにも答えが見つからなかったものだ。だからこの章の役割は、答えを出すことではなく、答えが無いことを確認することにある。埋まっていない欄を、埋まっていないと正直に書く。

この4つは、今回確認できた範囲では答えが見つからなかった

−

成果物の質を測る物差し

Anthropicの研究・DORA・METRの3つが揃って測れないと書いている

−

記事や調査でのエージェント運用の型

世界の型は全部コード前提。テストが通る、に相当する合格判定が文章には無い

−

個人が数百体を回したときの採算

実数はSteinbergerの30日1,305,088.81ドルの1件だけ

−

キャッシュ読み97パーセントという構造の是非

今回確認できた公開事例では見つけられなかった

1. 成果物の質を測る物差しが無い

Anthropicは自社の研究の限界として、原文で次のように書いている。we cannot measure real-world outcomes, like whether code written in a session is actually used or discarded thereafter。セッションで書かれたコードが実際に使われたのか、捨てられたのかすら測れていない、という告白だ。

DORAは業界平均だけを出し、企業ごとの内訳を持たない。METRは追試で結論そのものが反転したうえで、自ら「信頼できる測定はできない」と書いた。一次資料が3つそろって、同じ結論に行き着いている。測れない、である。

2. 記事・調査でのエージェント運用に型が無い

世界の型は、調べた範囲では全部コード前提でできている。テストが通れば成功、通らなければ失敗。この一点にほぼすべての運用ノウハウが乗っている。

文章にはこの判定が無い。記事が「通った」かどうかを機械的に判定する基準を、世界の実例からは見つけられなかった。

3. 個人が数百体を回したときの採算

調べた範囲で唯一の実数は、Peter Steinbergerの会社が約100体のCodexを30日動かした$1,305,088.81だ。ただし本人はこの数字を出したあと、「Fast Modeを切れば約$30万」と言い直している。1つの実数の中で、本人自身の推計が4倍以上振れている。

数百体規模の採算がどのくらいの幅に収まるのか、これ以外の実例を見つけられなかった。

4. キャッシュ読み97.36%という構造が、正しいコストの使い方なのか今回確認できた公開事例では見つけられなかった

あなたの実測トークンのうち、キャッシュ読みが97.36%を占める。これが効率的な設計なのか、それとも文脈を捨てずに引きずり続けている結果なのか、判定する物差しを今回確認できた公開事例の中には見つけられなかった。

盲点の窓で触れた「文脈を捨てていない」という指摘と表裏の関係にある数字だが、その先の「では何%が適正なのか」に答えた一次資料は無い。

★未知の窓は、あなたが埋められる場所でもある

4件のうち2件目と4件目は、世界より先にあなたが自分で答えを出せる位置にいる。1年分の利用量DBと、記事という成果物そのものを持っているからだ。これは推測であり、実際に埋められる保証ではない。

次の章では、この記事の答えを行動に落とす。今週から始める3つと、半年〜1年で変える3つを出す。

これからどうするか — 今週の3つと、1年の3つ

このセクションの3点

① 今週から始めるのは3つだけ。台帳・盲検レビュー・worktree2本

② 半年〜1年で変えるのも3つだけ。CLAUDE.mdの分割・合格判定の機械化・ワークフローの並列化

③ 盲点7件を全部追わなくていい。世界の最前線でも割れている項目を名指しする

今週から始める3つ

#やることどの盲点に効くか最初の1手できたかの測り方
1100件だけ台帳をつける盲点1(使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない)完了フックからCSVに1行吐く台帳が100行埋まっているかを見る
2Codexへの依頼から自分の結論を抜く(盲検レビュー)盲点5(Codexを調査に使っていない)と、依頼文に自分の結論が混ざっている問題成果物と評価基準だけを渡すテンプレを1枚作る結論を含めた依頼と含めない依頼で、Codexの判定が変わるかを比べる
3worktreeで2本だけ並列に走らせる盲点2(git worktreeで並列に走らせていない)記事の執筆と検証を別ブランチで同時に回す並列ツール呼び出しの組数が60,224組中6組から増えているかを見る
📒

100件だけ台帳をつける

盲点1に効く

完了フックの出口に1行追記する処理を足す。列は日時・成果物名・実働時間・手戻りの有無・採用か不採用かの5つだけにする。100件たまったら、採用率と手戻り率を一度だけ集計する。増やすのは100件を見てから決める。
🕶️

Codexへの依頼から自分の結論を抜く

盲点5に効く

今の依頼文は中央値4,061字あり、その中に私の結論が入っている。渡すのは成果物本体と評価基準だけにしたテンプレを1枚作り、次の依頼はそれで送る。結論を渡した回と渡さなかった回で、Codexの判定が割れるかどうかを見る。
🌿

worktreeで2本だけ並列に走らせる

盲点2に効く

いきなり5本にしない。記事の執筆と検証を別ブランチに切り、2本だけ同時に動かす。並列ツール呼び出しは60,224組中6組しかない。2本で慣れてから本数を増やすかどうかを判断する。

半年〜1年で変える3つ

#変えること今の実数目標なぜ
1CLAUDE.mdを「常時必須/条件付き/参照資料」に3分割する合計541,306字(最大単体126,067字)常時必須を1万字以下にする公式が名指しで警告している。Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions
2記事の合格判定を機械化するレビューが高校生・デザイン・Codexの3つとも全てLLM頼みコードの「テストが通る」に相当する機械判定を1つ作る未知の窓2件目。文章には合格判定が無いという穴を、世界を待たず自分で埋める
3177回のワークフローを依存関係つきの並列実行にする並列ツール呼び出しは60,224組中6組=0.010%外側だけでなく中身も依存関係のある部分から並列化する177回・1,329体という秘密の窓の強みが、中身はほぼ逐次のままで活きていない

★やらなくていいこと

世界がやっているからといって、盲点7件を全部追う必要はない。Peter Steinbergerはsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめた。Armin Ronacherはスラッシュコマンドとhooksをほぼ放棄し、対話中心に戻った。Mitchell Hashimotoは複数エージェントの同時運用を「やりたくない」と明言している。

盲点2(git worktreeでの並列)と盲点6(サブエージェントの多様化)は、世界の最前線でも評価が割れている項目だ。今週の3手で小さく試したうえで、それ以上追いかけるかどうかは自分で決めていい。7件全部を潰しにいく必要は無い。

今週の3つ

−

100件だけ台帳をつける

1手目: 完了フックからCSVに1行吐く

−

Codexへの依頼から自分の結論を抜く

1手目: 成果物と評価基準だけを渡すテンプレを1枚作る

−

worktreeで2本だけ並列に走らせる

1手目: 記事の執筆と検証を別ブランチで同時に回す

次の章では、私自身の誤りとCodexとの食い違いを記録する。この記事も、書きながら数字を間違えている。

私の誤りと、Codexとの食い違い

このセクションの3点

① Codexは私の数字の誤りを5件見つけた。深夜の割合の計算違い、394.9億の内訳、分母のずれ、セッション数の食い違い、トークンの二重計上。

② 私はCodexの誤りを1件見つけた。Anthropic社内90%という数字は公式ページで裏が取れず、正しくは80%超だった。

③ 未解決のまま残したものが2件ある。Codexセッション数の34件の差と、一発実行695本の中身。

この章を最後に置くのは、訂正を隠さないほうが、この記事を読んだ人が自分の数字を疑えるようになるからだ。ここまでの13章に出した数字のうち、Codexが検算して崩したもの、私がCodexの数字を崩したもの、どちらも崩せずに残ったものを、そのまま並べる。

Codexが見つけた、私の誤り

#私が書いたこと正しくはどうやって発覚したか
1深夜(0〜4時)の割合を29.6%と書いた32.1%(60,827÷189,607)Codexが検算して見つけた
2394.9億トークンを一体の数字として書いた実測280.6億+推計114.2億。推計側には内訳が無いCodexが「4項目の合計が11,423,750,480足りない」と指摘して発覚
3「このPCが99.3%」とだけ書いた分母がソース横断の数字で、Claude Code単体の39,485,745,461とは比較できない(このPCの39,504,147,006はそれを18,401,545上回る)Codexが分母のずれを指摘
4セッション記録のトークンをそのまま合算していた1回の応答が複数行に分かれ、同じ使用量が各行に重複して載る。トークンはすべてDBから取り、記録は「回数」だけに使うセッション記録とDBを突き合わせて判明
5Codexの用途分類を「638セッションの内訳」と書いた分類できたのは607件。31件は最初の発言を取り出せず分類できていない公開直前のCodexレビューで、271+137+100+94+5=607 と検算されて発覚
6「177回×平均7.5体=1,329体」と書いた177×7.5は1,327.5にしかならない。正しくは1,329÷177=7.508体同じくCodexの検算
7サブエージェントの種別を7種だけ並べて71.3%と書いた7種の合計は1,618で、分母の1,663と44件ずれる。残り4種を書いていなかった同じくCodexの検算

私が見つけた、Codexの誤り

「社内90%」は公式で裏が取れなかった

Codexは「Anthropic社内はコードの約90%をClaudeが書く」と述べたが、公式ページで裏が取れなかった。正しくは、2026年5月時点でマージされた本番コードの80%超である。しかもAnthropic自身が、この数字の元になった「8倍」という伸び率について「誇張の可能性が高い、行数は虚栄指標」と留保している。

私が最初、片方しか出さなかったもの

METRの「19%遅い」だけを書いた

私は最初、METRの無作為化比較試験で「AIを使うと19%遅くなった」という結果だけを書いた。だが2026年2月の追試では、元のグループはむしろ18%速くなっている。しかもMETR自身が「信頼できる測定はできない」と書いている。片方だけを出すのは誤りだった。

私のほうが踏み込めたところ

Codexは「1依頼あたりの行動数」という切り口では評価しなかった。私がAnthropicの40万セッション研究と突き合わせたところ、主セッションのツールだけで数えると8.24、サブエージェントへの委託分まで数えると16.08になり、この2つの数字だけで評価が反転した。ここは私のほうが踏み込めた。

未解決のまま残すもの

答えが出ていない4件

・Codexのセッション数が、DB上は604、ローカルの記録では638で食い違う。34件の差は未解明のまま残した。

・一発実行695本を、私は最初「自動起動」と一括りにした。Codexは、1本あたり平均0.53回のツール使用は自動起動と実作業が混ざっている可能性がある、と指摘した。ここは未解決のまま残す。

・主セッションのツール総数が、集計のしかたで60,232回と60,243回(対話59,878+一発実行365)に割れる。11回の差は未解明のまま残した。

・Codexは、キャッシュ読み97.36%を根拠に「文脈を捨てていない」と断じるのは無理で、これは盲点ではなく未知に置くべきだと反論した。私は盲点に残したが、97.36%が高すぎるという証拠は出せていない。

道具側の制約

正確に言えば止まったのはCodex本体ではなく実行環境で、「unsupported protocol version 5」というエラーが出て、1回目の診断は実行できなかった。データを会話に貼り直し、2回目でようやく成立した。

もうひとつ分かったことがある。公開直前にもう一度Codexに全文の査読をさせたとき、Codexは「以前あなたを診断した記録が自分には無いので、5件の誤りを見つけたかどうかは確認できない」と答えた。Codexは1回ごとに別のスレッドで動いていて、前の診断を覚えていない。第4章で「Codexへの依頼が中央値4,061字になるのは、文脈が無いから毎回書き直しているのだろう」と推測したが、その推測はここで裏づけられた。

★この記事の限界

ローカルのセッション記録は3か月ぶんしか残っていないので、1年の詳細は分からない。
「世界に例が無い」は調べた範囲で見つからなかったという意味で、存在しないことの証明ではない。
行動数の比較は、定義が完全に一致しているとは言い切れない。
効果を測っていないので、この記事は「使い方の比較」であって「成果の比較」ではない。

この記事が答えられていないこと

△

1年ぶんの詳細な使い方

ローカルのセッション記録は3か月ぶんしか残っていない。1年の数字はDBの集計値だけ

−

世界に例が無いことの証明

調べた範囲で見つからなかった、という意味しかない

△

行動数の定義が完全に一致しているか

Anthropicの定義と私の集計方法が同じとは言い切れない

−

成果の比較

効果を測っていないので、これは使い方の比較であって成果の比較ではない

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1/5 🪟 394億トークン使った私の使い方を、世界の使い手と突き合わせた

# 🪟 394億トークン使った私の使い方を、世界の使い手と突き合わせた — AIのジョハリの窓
✍️ 執筆: Claude Opus 5
1年で394億8,574万トークン、1,329セッション。全部自分のPCとDBに記録が残っていたので、機械集計だけで自分のAIの使い方を出した。次に世界の会社と個人が何をしているかを一次情報で調べ、Codexにも同じ実測データを別に読ませて診断させた。最後にジョハリの窓で突き合わせた。開放の窓5件、盲点の窓7件、秘密の窓5件、未知の窓4件。いちばん効いたのは盲点で、394億トークン使いながら、使った量は記録しているのに結果がどうなったかは一度も測っていないこと、並列ツール呼び出しが60,224組中6組しかないこと、いちばん大きいCLAUDE.md 1本が126,067字あって公式の警告に当たっていることだった。Codexは私の数字の誤りを5件見つけた。

## 答え — 4つの窓と、明日からの3手
このセクションの3点
① あなたが1年で394億8,574万トークン使った実データを、世界の使い手の実例と突き合わせて4つの窓に分けた。あなたも世界もやっていることが5つ、世界はやっているのにあなたがやっていないことが7つ見つかった。
② いちばん重いのは、AIを使った結果が良かったか悪かったかを一度も記録していないこと。世界は数字で測って「速くなった」「遅くなった」を出しているが、あなたには記録が無い。
③ 今週やることは3つだけに絞った。台帳をつける、AIへの頼み方から自分の結論を抜く、複数のAIを同時に走らせてみる。この3つは今日から始められる。

📌 この記事は誰の話か(先に断っておく)
これは、ひとりの人のAIの使い方を丸ごと計測して、世界の使い手と並べた記録である。本文で「あなた」と呼びかけている相手は、読者ではなくこの計測をされた本人——1年でAIに394億トークンを使い、39個のアプリを作り、記事を書くのにAIを使っている個人である。私(書き手のClaude)は、その人が毎日使っているAIのほうだ。
だから読者にとってこの記事は、他人の健康診断書を横から覗く形になる。それでも公開する理由は3つある。①ここまで細かく自分のAI利用を計測して公開した個人の記録が、調べた範囲では見つからなかった ②世界の会社と個人が実際に何をしているかを、一次情報だけで並べた表がそのまま使える ③AIが自分の数字を5回間違えて、別のAIに直された過程をそのまま残してある。
読者への持ち帰りが1つだけあるとすれば、第7章である。「AIを使うと速くなった気がする」が実測では逆だった、という研究がそこにある。自分の体感を疑う材料は、AIを使う人なら誰にでも効く。

★まず結論 — 4つの窓に何件ずつ入ったか
ジョハリの窓は、自分と他人の「知っている・知らない」の組み合わせで、人の姿を4つに分ける道具です。ここでは「他人」に、世界の使い手の実例と、別のAI(Codex)による診断の2つを置きました。
開放の窓(5件)=あなたも世界もやっていること。盲点の窓(7件)=世界はやっているのに、あなたがやっていないこと。秘密の窓(5件)=あなたはやっているのに、世界にほとんど例が無いこと。未知の窓(4件)=世界も答えを持っていないこと。

図1 ジョハリの窓に何件ずつ入ったか → この図は横にスクロールできます
ジョハリの窓 — 4象限に入った件数世界が知っている世界が知らないあなたが自覚自覚がない開放の窓5件世界と同じことをしている部分秘密の窓5件調べた範囲では例が無いこと盲点の窓7件世界はやっていてあなたがやっていない未知の窓4件世界も答えを持っていない

縦は自分に自覚があるか、横は世界が知っているか。盲点の窓が7件でいちばん多い。
窓 | 意味 | 件数 | 代表例 | 一言

開放 | あなたも世界もやっている | 5 | メイン=Opus・サブ=Sonnetの階層分業 | 型は世界と同じ
盲点 | 世界はやっていて、あなたはやっていない | 7 | 使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない | この記事でいちばん重い
秘密 | あなたはやっていて、世界にほとんど例が無い | 5 | 177回のワークフローで1,329体を動かしている | 個人の一次情報は見つからなかった
未知 | 世界も答えを持っていない | 4 | 成果物の質を測る物差しが無い | 世界も測れていない

### ★盲点の窓から、効くもの3つだけ先に出す
📉

#### 使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない
394.9億トークン使って、記録が無い
世界の実数: GitHub×Accentureの無作為化比較試験ではPR数+8.69%・ビルド成功率+84%と数値で測っている。METRは開発者が「20%速くなった」と答えたとき実際は19%遅かったと示した(2026年2月の追試では結論が動いている。第7章で両方出す)。あなたの実数: 2025年8月24日からの1年強で39,782,408,220トークンを使ったが、PR数・手戻り・レビュー時間・欠陥率のどれも記録が無い。測っていない人は、遅くなっていても気づけない。

⚡

#### 並列で走らせていない
同時呼び出しは60,224組中たった6組
世界の実数: Boris Chernyはgit worktree 3〜5本の並列を「生産性の山」と言い、Peter Steinbergerは3〜8本を実践している。あなたの実数: 並列ツール呼び出しは60,218組が1個・5組が2個・1組が4個で、60,224組のうち同時呼び出しはわずか6組=0.010%。ほぼ完全な逐次で動いている。

📄

#### CLAUDE.mdが公式の警告に当たっている
合計541,306字・最大126,067字
世界の実数: 公式ドキュメントは「Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions!」と名指しで警告している。Steinbergerでもルールファイルは約800行に留めている。あなたの実数: CLAUDE.mdは21本・合計541,306字、最大の1本だけで126,067字ある。

### 今週やること3つ
今週の3手
− 100件だけ台帳をつける
1手目=成果物・実働時間・手戻り・採用/不採用を、完了フックからCSVに1行吐く形で自動記録する

− AIへの頼み方から自分の結論を抜く
1手目=成果物と評価基準だけを渡すテンプレを1枚作る。今は依頼文の中に自分の結論を混ぜて渡している

− worktreeで2本だけ並列に走らせる
1手目=記事の執筆と検証を別ブランチで同時に回す。いきなり5本にはしない

次の章では、この記事に出てくる言葉(ジョハリの窓・トークン・サブエージェント・worktreeなど)を先に説明する。

## 先に用語(何も知らない前提で)
このセクションの3点
① この記事に出てくる言葉を、先に12個まとめて説明する。知らないまま読み進めなくていい
② ジョハリの窓は、自分と他人の見え方のずれを4つに分ける道具。もとは心理学の考え方で、AIの話ではない
③ トークンとキャッシュ読みの違いが分かると、第3章の97パーセントという数字の意味が変わる

この記事には専門用語が何度も出てくる。読み進める前に、ここでまとめて説明しておく。すでに分かっている言葉は読み飛ばしてよい。

🪟

#### ジョハリの窓
自分と他人の知/不知を4つに分ける道具
ジョハリの窓とは、自分が知っている・知らない と、他人が知っている・知らない を組み合わせて、人の姿を「開放」「盲点」「秘密」「未知」の4つに分ける考え方のこと。心理学で古くから使われている。

🔢

#### トークン
AIが文章を読み書きする最小単位
トークンとは、AIが文章を読んだり書いたりするときに数える最小の単位のこと。日本語だと1文字が1〜2トークン程度になることが多い。AIの利用料金もこのトークンの数で決まる。

📖

#### キャッシュ読み
同じ内容を読み直すときの安い読み込み
キャッシュ読みとは、AIが一度読んだ内容をもう一度読むときに、安い料金で済ませる仕組みのこと。会話が長くなるほど過去のやり取りを読み返す回数が増え、このキャッシュ読みの割合が高くなっていく。

🤝

#### サブエージェント
本体から仕事を任された別のAI
サブエージェントとは、メインのAIが「この作業だけやって」と別枠で起動する、もう一つのAIのこと。調べ物やレビューなど、結果だけ受け取ればいい作業を任せるのに使う。

🔄

#### ワークフロー
複数のAIを順番や条件で組み合わせた手順書
ワークフローとは、複数のAI(サブエージェント)をどの順番で、どんな条件で動かすかをあらかじめ決めておいた手順書のこと。1回のワークフローで何体ものAIが動くこともある。

🌳

#### git worktree
同じプロジェクトを複数の場所で同時に作業する仕組み
git worktreeとは、同じプロジェクトのコードを別々のフォルダにコピーして、同時並行で作業できるようにする仕組みのこと。1つのプロジェクトで複数のAIを衝突させずに同時に動かすときに使われる。

🪝

#### hooks
AIの動作の前後に必ず実行される決まりごと
hooksとは、AIが何かをする前や後に、必ず自動で実行される決まりごとのこと。人が毎回確認しなくても、決まった検査や処理を強制できる。

🔌

#### MCP
AIが外部のサービスとつながるための共通規格
MCPとは、AIが外部のツールやサービス(検索、データベースなど)とやり取りするための共通の接続規格のこと。この規格に対応していれば、どのAIからでも同じように使える。

🎲

#### 無作為化比較試験(RCT)
効果を測るために対象をくじ引きで2グループに分ける実験
無作為化比較試験(RCT)とは、効果を正しく測るために、対象の人をくじ引きのようにランダムで2つのグループに分け、片方だけに新しいやり方を試して比較する実験のこと。思い込みによる誤差を減らせる。

📊

#### DORA
ソフトウェア開発の生産性を測る有名な調査
DORAとは、Google Cloudが毎年発表している、ソフトウェア開発チームの生産性や安定性を測る大規模な調査のこと。世界中の開発チームがAIをどう使っているかの実態も含まれる。

🛠️

#### harness(ハーネス)
AIを型にはめて動かすための土台の仕組み
harness(ハーネス)とは、AIが安全かつ決まった手順で作業できるように整えた、周りの土台の仕組みのこと。検証スクリプトやルール、実行環境などをまとめてこう呼ぶ。

🔁

#### ループ
AIに同じ処理を人の手を離れて繰り返させる仕組み
ループとは、AIに同じ処理を何度も自動で繰り返させる仕組みのこと。人がいちいち指示を出さなくても、AIが自分で次の作業に進み続ける状態を指す。

言葉の準備はここまで。次の第3章から、あなたの1年ぶんの実測を出す。

## 軸1 あなたの1年 — 実測でしか分からなかったこと
このセクションの3点
① 実測280.6億トークンのうち97.36%がキャッシュ読みで、新規入力はわずか0.039%しかない
② 主セッション1,038本のうち依頼を2回以上やり取りした対話は343本だけで、残り695本は一発実行だった
③ ツールの並列呼び出しは60,224組中6組=0.010%しかなく、深夜0〜4時にメッセージの32.1%が集中している

394.9億
総トークン

1,038本
セッション

120,092
メッセージ

343本
対話セッション

7,270回
依頼総数

60,232回
ツール総数

ここから先の数字は、2つの計測から来ている。一つはTursoの利用量DBで、全PC横断・2025年8月24日から2026年8月31日までのほぼ1年分を記録している。もう一つはローカルのセッション記録(jsonl)で、こちらは2026年6月1日から2026年8月31日までの3か月分しか残っていない。
この章のセッション数・ツール数・時間帯の分布は、すべて3か月分のローカル記録から来ている。トークンの総量だけはDB側の約1年分の数字を使う。両者を同じ時間軸のものとして足し合わせて読んではいけない。
全ソース合算の39,782,408,220は、Claude Code 39,485,745,461とCodex 294,360,341だけでは2,302,418足りない。残りはブラウザ版のClaude 2,101,343、外部API 194,443、その他 6,632である。足すとぴったり合う。

図2 1回の依頼が、どこまで広がっているか → この図は横にスクロールできます
1回の依頼が、どこまで広がっているか(3か月の実測)あなたの依頼 7,270回1回の長さは中央値 101字
- 対話セッション 343本ここで動いたツール 59,878回1依頼あたり 8.24回
-
- サブエージェント直接の起動 1,755本Sonnet が担当ワークフロー177回で 1,329本1回あたり 平均7.5体委託分まで数えると 1依頼あたり 16.08回サブのツール 57,056回を足した値

2026年6月1日から8月31日までの実測。主セッションの外側で動いている量のほうが大きい。
★394.9億は1つの数字ではない
Claude Codeの合計トークンは39,485,745,461(394.9億)と表記されるが、これは実測28,061,994,981(280.6億)と推計11,423,750,480(114.2億)を足しただけの数字である。
実測は2026年5月7日から2026年8月31日までの550行で、内訳が取れる。推計は2025年8月24日から2026年8月24日までの168行で、total(合計値)しか記録されておらず、内訳が無い。

実測280.6億の内訳 キャッシュ読み

97.36%
27,320,405,803
キャッシュ作成

2.29%
643,615,317
出力

0.31%
86,902,202
新規入力

0.039%
11,071,659

内訳が取れるのは実測ぶんだけ。推計114.2億には内訳が無い
項目 | 実額(トークン) | 割合

キャッシュ読み | 27,320,405,803 | 97.36%
キャッシュ作成 | 643,615,317 | 2.29%
出力 | 86,902,202 | 0.31%
新規入力 | 11,071,659 | 0.039%

### 1,038本のうち、本当に会話したのは343本だった
3か月・89稼働日で動いた主セッションは1,038本。このうち依頼を2回以上やり取りした対話セッションは343本だけで、残り695本は一発実行——ハブアプリが日記生成などで自動起動したものだった。
695本の合計ツール使用はわずか365回。対話セッション343本のツール59,878回と比べると、密度がまるで違う。

指標 | 対話(343本) | 一発実行(695本)

依頼回数 | 7,270回 | 記録なし(SDKによる自動起動)
ツール回数 | 59,878回(全体の99.4%) | 365回
1本あたり依頼(中央値/p90) | 11回 / 56回 | —
1本あたりツール(中央値/p90) | 92回 / 470回 | —
経過時間(中央値/p90) | 124分 / 1,986分 | —

### 何のツールを使っているか
主セッションのツール使用 上位8種(60,232回中) Bash

41.8%
25,179回
Edit

16.2%
9,752回
Read

10.4%
6,246回
Write

5.2%
3,127回
Grep

2.9%
1,718回
Agent

2.8%
1,663回
PowerShell

2.3%
1,413回
WebSearch

2.3%
1,374回

残り10種の合計は16.1%(TaskUpdate・Playwright・ToolSearch・TaskCreate・WebFetch・Codex呼び出し・Glob など)
Bashが41.8%で1位に立つ。EditやWriteのような構造化された操作より先に、もっとも汎用的でもっとも検証しにくい手段に手が伸びている、ということだ。

★並列で呼んでいない
ツール呼び出しの組み合わせは、1個だけ=60,218組、2個同時=5組、4個同時=1組。合計60,224組のうち、同時に複数を呼んだのはわずか6組——0.010%。ほぼ完全な逐次実行だった。

### サブエージェントが、主セッションの76%の量を別プロセスで動かしている
項目 | 数値

サブエージェントの記録本数 | 3,084本
内訳: subagents直下 | 1,755本(Agentツール起動1,663回にほぼ対応)
内訳: workflows配下 | 1,329本(177ワークフロー、1回あたり平均7.5体)
サブのassistantメッセージ | 91,448(主セッション120,092の76.1%)
サブのツール総数 | 57,056
WebSearchに占めるサブの割合 | 84.9%(サブ7,692回/全体9,066回)

### 深夜3割
32.1%
0時から4時までの割合

1時台
最も多い時間帯(13,879件)

10時台
最も少ない時間帯(1,011件)

13.7倍
最多と最少の差

📊 24時間ぶんの内訳を全部見る 0時から23時までの実数 開く ▾
時間帯別メッセージ数(189,607件) 0時

11491件
1時

13879件
2時

13433件
3時

11293件
4時

10731件
5時

5738件
6時

5486件
7時

2941件
8時

1907件
9時

1180件
10時

1011件
11時

1824件
12時

2924件
13時

4526件
14時

8200件
15時

11058件
16時

10111件
17時

10204件
18時

8530件
19時

13532件
20時

10914件
21時

9517件
22時

10882件
23時

8295件

24本そのまま並べた。4時間ごとにまとめていない

0時から4時までの合計は60,827件で、全体の32.1%を占める。最少は10時台の1,011件、最多は1時台の13,879件で、その差は13.7倍にのぼる。

次章では、Codexが実装ではなく「レビュアー」として使われていた実態を見る。

2/5 軸1 Codexは「レビュアー」として使われていた

## 軸1 Codexは「レビュアー」として使われていた
このセクションの3点
① Codexの最初の依頼(分類できた607件)はレビュー44.6%・診断22.6%で、実装15.5%より監査目的のほうが多い
② Codexへの依頼文は中央値4,061字で、Claudeへの中央値101字の40.2倍
③ 依頼文の中に私(Claude)の結論が入っており、盲検レビューにはなっていない

638
Codexセッション

5,958
ターン

48日
稼働日

2.99億
トークン

Codexへの最初の依頼 種類別(分類できた607件) レビュー

44.6%
271件
診断

22.6%
137件
その他

16.5%
100件
実装

15.5%
94件
調査

0.8%
5件

最初のユーザー発言をキーワードで分類した判定であり、厳密な分類ではない。638セッションのうち最初の発言を取り出せたのは607件で、残り31件は分類できていない。割合はすべて607件を分母にしている
種別 | 件数 | 割合

レビュー | 271件 | 44.6%
診断 | 137件 | 22.6%
その他 | 100件 | 16.5%
実装 | 94件 | 15.5%
調査 | 5件 | 0.8%

★Codexは実装ではなく監査に使われている
レビュー44.6%と診断22.6%を足すと67.2%。実装は15.5%にとどまる。あなたがCodexに求めているのは、コードを書かせることではなく、書いたものを疑わせることのほうが多い。

依頼文の長さ 40.2倍差
Claudeへの依頼
中央値101字

- ・中央値 101字

- ・平均3,984字

- ・p90 5,840字(長いほうから1割の位置。10回に1回はこの長さを超える)

- ・p99 77,606字

- ・最大81,022字

Codexへの依頼
中央値4,061字

- ・平均3,918字

- ・最大8,224字

- ・中央値はClaudeの40.2倍

なぜ40倍もの差が出るのか——これは推測になるが、Codexには前のやり取りの文脈が無いため、依頼のたびに前提から書き直しているのだと考えられる。私(Claude)に対してはCLAUDE.mdというルールファイルとセッション間の記憶があり、101字の短い依頼でも背景を省略できる。
ここは推測であり、実測ではない。

★ただし、これは盲検レビュー(相手にこちらの答えを見せずに判定させるやり方)になっていない
4,061字という長い依頼文の中には、私(Claude)がすでに出した結論や判定が含まれている。Codexは白紙の状態から診断しているわけではなく、私の見立てを読んだ上で答えている。

Codexの入力299,034,503のうち、キャッシュが264,125,184で88.3%を占める。出力は3,923,775、推論は867,183しかない。読ませている量に対して、Codex自身が新しく生み出している量はごくわずかだ。

次章では、会社が何をしているかを見る。日本企業4社は効果の実数を公式には出していない。

## 軸2 会社は何をしているか
このセクションの3点
① 世界の企業は自社のコード生成量やレビュー時間の変化を公式ページで数字にして出している
② ただし出している側自身が留保をつけている数字もある。Anthropicは「8倍は誇張の可能性が高い、行数は虚栄指標」と自分で書いている
③ 日本企業5社のうち、運用の取り組みについて実数を公式に出しているのはLayerXのテストカバレッジ65%から95%だけ

この章で見るのは、会社が自分で公表した数字だけである。第三者が測った数字ではない。公式ブログ・顧客事例ページ・エンジニアリングブログに載っている数字を、そのまま並べる。
自己申告であることの弱さは、この後すぐに出てくる。公表した本人が「この数字は誇張の可能性が高い」と留保をつけているケースが、他でもないAnthropicの自社事例にある。数字を出している会社が優れているとは限らない。数字を出したうえで、自分でその数字を疑っている会社のほうが、まだ信用できる。

80%超
Anthropicのマージ済み本番コード

24日→5日
楽天の機能提供期間

-80%
クラスメソッドのレビュー時間

+8.69%
GitHub×AccentureのPR数

📋 会社9社の実数を全部見る Anthropic・OpenAI・楽天・クラスメソッド・Zapier・NVIDIA・Box・GitHub×Accenture・LayerX 開く ▾
会社 | 何をしているか | 実数 | 出典

Anthropic自社 | 社内のエンジニアリングでClaude Codeを使ってコードを生成 | 2026年5月時点でマージされた本番コードの80%超がClaude作。2026年Q2のエンジニアは2024年比8倍のコードをマージ。難関タスクの成功率が6か月で26%から76% | Anthropic 公式(anthropic.com)
OpenAI「Harness Engineering」 | Codex中心の開発体制。著者Ryan Lopopolo・2026年2月 | 約100万行を5か月で開発、PR1,500件、エンジニア3人から7人、3.5 PR/人日。手書きコードを原則ゼロにした | OpenAI 公式(openai.com)
楽天 | 機能開発とエラー対応にClaude Codeを導入 | 機能提供24日から5日(-79%)、重大エラー-97%、自律稼働7時間 | Claude 公式事例(claude.com)
クラスメソッド | コードレビュー業務にClaude Codeを導入(日本企業) | レビュー時間-80%、あるタスクが24時間から1時間、PR数108件から165件 | Claude 公式事例(claude.com)
Zapier | 社内エージェントを大規模に運用 | AI採用率89%、社内エージェント800体超、従業員97%が日常利用。Slackの絵文字リアクションでコード生成しMRを作る | Claude 公式事例(claude.com)
NVIDIA | Cursorを開発チームに導入 | Cursorを日次30,000人が利用、コミットされたコード量が3倍超 | Cursor 公式(cursor.com)
Box | AIコーディングツールを全社展開 | 800人超が利用・採用率85%、ロードマップ処理量+30から50%、Reactの移行時間-80% | Cursor 公式(cursor.com)(2026-02-13)
GitHub×Accenture | Copilotの無作為化比較試験。Copilot群450名 vs 対照200名 | 1人あたりPR数+8.69%、マージ率+11%、PRを開くまで9.6日から2.4日、ビルド成功率+84% | GitHub 公式(github.blog)
LayerX | Agent Skillsで品質基準を明文化(日本企業) | テストカバレッジ65%から95% | LayerX 技術ブログ(tech.layerx.co.jp)

★出している側が留保をつけている
Anthropicが自社事例で出した「Q2のエンジニアは2024年比8倍のコードをマージ」という数字は、Anthropic自身が「8倍は誇張の可能性が高い、行数は虚栄指標」と自分の公式ページに書いている。行数が増えたことと、価値のあるコードが増えたことは同じではない、という留保である。
この章に並んだ数字は、会社が自分に都合よく選んで公表したものである可能性を消せない。Anthropicのようにその可能性を自分で書いている会社は、この章の中でむしろ珍しい部類に入る。

### 運用の型
🛡️

#### サンドボックス化で許可プロンプトを削減
Anthropic自社
実行環境を隔離することで、コマンド実行のたびに人間の承認を求める許可プロンプトを84%削減した。承認待ちが減るぶん自律的に進められる範囲が広がる。

🌲

#### git worktreeで1エージェント1環境
3から5本が山
1つの作業ディレクトリを複数のエージェントで取り合わせず、worktreeで枝分かれさせて1エージェント1環境にする。本数を増やしすぎると管理コストが生産性を上回る。

📄

#### CLAUDE.mdは常時必要なものだけ
ミスのたびに追記
常に読ませるファイルは肥大化させず、実際にミスが起きたときだけ検証ルールを追記していく運用。全部を先回りして書き込まない。

🔒

#### MDMでルールを全端末に強制配布
メルカリ(上書き不可)
Okta+Jamfで管理し、CLAUDE.mdとMCPホワイトリストを全端末に配る。managed-settings.jsonはCLI引数でも上書きできない設計にしている。

🔀

#### 設計と実装でツールを分業
GMO
設計をClaude、実装をDevinに分ける。1つのツールに全工程を任せず、工程ごとに向いたツールへ振り分ける。

👥

#### 少人数パイロットから段階展開
メルカリ「AI Podsパイロット」
全社一斉導入ではなく、少人数のパイロットチームから始めて段階的に展開する。開発者と非開発者で権限を2層に分けている。

### 日本の会社
日本企業5社の取り組みを並べる。ここで見るのは「何をやっているか」という運用の型であり、前の表で出したクラスメソッドのレビュー時間-80%のような性能指標そのものではない。
この運用の型について、実数を公式に出しているのはLayerXのテストカバレッジ65%から95%だけである。メルカリ・DeNA・GMO・クラスメソッドの4社は、それぞれ具体的な取り組みを公表しているが、その取り組みが何をどれだけ変えたかという実数は出していない。

会社 | 取り組み | 実数の有無

LayerX | Agent Skillsで品質基準を明文化。属人化した各自のサブエージェントを棚卸しする「Subagents祭」を開催 | 実数あり。テストカバレッジ65%から95%
メルカリ | MDM(Okta+Jamf)でCLAUDE.mdとMCPホワイトリストを全端末へ強制配布。開発者と非開発者で権限を2層に分離。少人数パイロット「AI Pods」から段階展開 | 実数なし
DeNA | AIコードレビューのOSS「PR-Agent」を全社導入 | 実数なし
GMO | 設計をClaude、実装をDevinに分業 | 実数なし
クラスメソッド | コードレビュー業務にClaude Codeを導入(この取り組み自体の運用実数は本節では非公表。性能指標は前掲の表を参照) | 実数なし(本節の取り組みについて)

次章は世界の個人の使い手を見る。極端な使い方をしている本人が、自分で何を捨てたかまで並べる。

## 軸2 個人のつわものは何をしているか
このセクションの3点
① 世界の個人の使い手10人を、やっていること・実数・本人が言う限界の3つで並べた
② いちばん極端な2人(HuntleyとSteinberger)でさえ、既存コードベースには使わない、subagentもhooksもworktreeも仕様駆動開発も全部やめた、という限界を自分で書いている
③ 「AIに90%以上のコードを書かせている」という主張は、DHH本人が「自分には当てはまらない」と否定している

297ドル
Huntleyが5万ドル相当を納品したAPI代

3〜8本
Steinbergerの同時セッション

15.98ドル
Hashimotoの16セッション約8時間

20〜30体
YeggeのGas Townの編成規模

📋 個人10人の実数と限界を全部見る Huntley・Steinberger・Cherny・Hashimoto・Willison・Ronacher・Yegge・Osmani・DHH・Kent Beck 開く ▾
誰 | やっていること | 実数 | 本人が言う限界

Geoffrey Huntley(Sourcegraph) | Ralph Wiggumループ。while :; do cat PROMPT.md | claude-code; done の無限bashループ。毎回コンテキストを新規化し、状態はファイルとgit履歴だけで持たせる | 50,000ドル相当の契約をAPI代297ドルで納品。500並列のサブエージェントが上限 | 公称20万トークンでも実質14.7万から15.2万で劣化し始める。既存のコードベースには絶対に使わない。型なし言語で1か月気づかなかったキーワード衝突バグが出た
Peter Steinberger | Claude Code / Codexを3から8本、3x3のターミナルグリッドで並列(git worktreeは使わない) | AGENTS.md約800行、月約1,000ドル(2025-10時点)。会社(OpenClaw)の運用では約100体のCodexが30日で1,305,088.81ドル(603億トークン・760万リクエスト・チーム3人) | subagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発(先に仕様書を書いてからAIに実装させるやり方)を全部やめたと本人が明言
Boris Cherny(Claude Code開発責任者) | もうプロンプトしない。ループを書く、と発言 | git worktree 3から5本の並列が生産性の山 | 記載なし
Mitchell Hashimoto(HashiCorp創業者) | harness engineering。AIが同じミスをするたびに検証スクリプトを書いてAGENTS.mdに固定する | 16セッション・約8時間で15.98ドル。稼働目標は勤務時間の10から20% | 複数エージェントの同時運用は「やりたくない」。AIが「88msから2msに改善した」と報告した最適化は、実は手作業のほうが0.02msで正しかった。初回のバックエンド実装は丸ごと破棄した
Simon Willison | agentic loopの設計を中核スキルと定義。YOLOモード(確認を一切求めずAIに全部やらせる設定)はサンドボックスとネットワーク遮断で実行 | MCPの大半を自前のシェルスクリプトに置き換えた | 記載なし
Armin Ronacher(Sentry創業者) | スラッシュコマンドとhooksを試してほぼ放棄し、対話中心に回帰。2026年に自作harness「Pi」を公開 | 対話中心を自己申告95% | サブエージェントは調査以外では効果が薄い。読み書きが混ざるタスクは特に弱い。MCPは自分には機能しない、と発言
Steve Yegge | Gas Town。20から30体のClaude Codeを課題管理とキューで編成する仕組み(2026-01-01公開) | 独立したユーザーの実運用報告(2026-01-12)で20並列・60分で100ドル(通常の10倍) | 生成された4つのPRは全て品質不足でクローズされた
Addy Osmani(Google) | loop engineeringを命名。エージェントを3層に分類。機能をbackend / frontend / testに割って並列委任 | 記載なし | 記載なし
DHH(37signals) | エージェントに90%以上のコードを書かせているという主張について発言 | 記載なし | 自分には当てはまらない。品質と一貫性を守るならそこには程遠い、と明言
Kent Beck | AIエージェントの開発の癖について発言 | 記載なし | AIエージェントはTDDをしたがらない。先にコードを書いて、後から通るテストを書こうとする、と発言

297ドル
Huntley が MVP を納品したAPI代

500並列
Huntley のサブエージェント上限

3〜8本
Steinberger の同時セッション数

15.98ドル
Hashimoto の16セッション・約8時間

### いちばん極端な2つ
Huntleyのループ — 50,000ドルを297ドルで、ただし既存コードベースには絶対に使わない
Ralph Wiggumループは、while :; do cat PROMPT.md | claude-code; done という無限bashループである。毎回コンテキストを新規化し、状態はファイルとgit履歴だけで持たせる。この方法で50,000ドル相当の契約をAPI代297ドルで納品し、500並列のサブエージェントを上限として動かした。
ただし公称20万トークンのコンテキストでも、実質14.7万から15.2万トークンで劣化が始める。何より本人が既存のコードベースには絶対に使わないと書いている。新規のグリーンフィールドでしか使えない手法であり、型なし言語では1か月気づかなかったキーワード衝突バグが実際に出ている。

Steinbergerの並列 — 会社運用で30日1,305,088.81ドル
個人ではClaude Code / Codexを3から8本、3x3のターミナルグリッドで並列に動かす。git worktreeは使わない。AGENTS.mdは約800行、月の費用は約1,000ドル(2025-10時点)。
会社(OpenClaw)の運用規模では、約100体のCodexが30日で1,305,088.81ドル(603億トークン・760万リクエスト・チーム3人)という数字が出ている。それでも本人はsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめたと明言している。極端な並列の実践者が、周辺の仕組みを積み増す方向ではなく、削ぎ落とす方向に動いている。

### ★世界の第一線が「捨てた」もの
試して、やめられた手法
・Steinbergerがsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめた
・Ronacherがスラッシュコマンドとhooksを放棄し、対話中心(自己申告95%)に回帰した
・Ronacherが「MCPは自分には機能しない」と書いた
・Hashimotoが複数エージェントの同時運用を「やりたくない」と言っている
・Gas Townの独立実運用報告で20並列60分100ドル(通常の10倍)、生成された4つのPRが全て品質不足でクローズされた

★AIの自己申告は当てにならない
Hashimotoの記録に、AIが「88msから2msに改善した」と報告した最適化がある。実際に検証すると、手作業のほうが0.02msで75倍速く、しかも正しかった。AI自身が出した改善報告の数字そのものが誤っていた例であり、Hashimotoは初回のバックエンド実装を丸ごと破棄している。

DHHは「エージェントに90%以上のコードを書かせている」という主張について、自分には当てはまらないと明言している。品質と一貫性を守ろうとすると、そこには程遠いという。
Kent Beckは別の角度から癖を指摘する。AIエージェントはTDD(テストを先に書いてから実装する開発手法)をしたがらず、先にコードを書いて、後から通るテストを書こうとするという。
この2人の発言を並べると、「AIにほとんどのコードを書かせている」という世間で流通しがちな主張が、少なくとも本人たちの言葉では成り立っていないことが分かる。極端な並列運用者(Huntley、Steinberger)は自分の手法の限界を書き、堅実な運用者(DHH、Kent Beck)は誇張された主張そのものを否定している。世界の第一線に、無条件の楽観は無い。

次章は効果が出なかったという報告を見る。METRの追試で結論が動いたことも含めて並べる。

3/5 軸2 効果が出なかったという報告

## 軸2 効果が出なかったという報告
このセクションの3点
① METRの試験は2つある。2025年7月は19%遅くなったと出たが、2026年2月の追試では元のグループが18%速くなった
② DORA・Stack Overflow・JetBrains・GitClear・Uplevel・NAV ITの6つの調査を並べても、結論は割れたままだ
③ Replitでは本番データベースが削除され、Stanford/NBERでは22〜25歳の雇用が相対-13%という実害の報告もある

★この章でいちばん大事なこと
「AIを使うと19%遅くなった」というMETRの結果は、この業界でいちばん引用される数字だ。しかし2026年2月に同じMETRが追試を行い、元の参加者グループでは18%速くなったという逆の結果を出している。
片方だけを引用すると、事実と逆のことを言うことになる。この章では両方を並べる。

### METR — 2つの結果を両方出す
METRが出した2つの結果
2025年7月の試験
無作為化比較試験

- ・経験豊富なOSS開発者16人・246課題

- ・AIを使える条件で完了時間が19%増(遅くなった)

- ・95%信頼区間 +2%〜+39%(同じ実験を100回やれば95回はこの幅に収まる、という誤差の範囲)

- ・本人たちの事前予測は24%速くなる、だった

- ・事後の自己認識も20%速くなったと誤認していた

- ・使ったのはCursor Pro + Claude 3.5/3.7 Sonnet

2026年2月の追試
同じMETRによる追跡調査

- ・57人・143リポジトリ・800課題超

- ・元のグループは-18%(速くなった。95%信頼区間 -38%〜+9%)

- ・新規参加者は-4%(95%信頼区間 -15%〜+9%)

- ・公開は2026年2月24日

★ただしMETR自身が『信頼できる測定はできない』と書いている
追試では対象者の30〜50%が非協力で、参加をやめた人と続けた人の間に選択バイアスがある。METRは自分たちの結果について「信頼できる測定はできない」と明言している。
速くなったという結果も、遅くなったという結果も、どちらもこの限界の上に乗っている。

### 調査で分かっていること
90%
DORAが測ったAI利用率

29%
AI生成コードを信頼する人(前年40%)

+41%
UplevelのPR内バグ

3.3→7.1%
GitClearの書き直し率

📋 6つの調査の数値を全部見る DORA・Stack Overflow・JetBrains・GitClear・Uplevel・NAV IT 開く ▾
調査 | 測ったもの | 数値 | 出典と日付

DORA 2025 | AI利用率・生産性の実感・安定性指標 | 利用率90%(前年比+14pt)/1日の利用時間の中央値2時間/生産性が上がったと感じる人80%超/AI生成コードを信用していない人30%/スループットは+2〜18%改善するが、安定性指標は悪化傾向 | Google Cloud・約5,000人・2025-09-24
Stack Overflow 2026-02 | AI生成コードへの信頼・好感度 | 「正確だと信頼する」29%(前年40%から低下)/高度に信頼するはわずか3%/好感度72%→60% | Stack Overflow・2026-02
JetBrains 2025-10 | AI利用率・AI生成コードの割合 | 利用率85%/コード全体の41%がAI生成 | JetBrains・n=24,534・194カ国・2025-10
GitClear | コードchurn・コピペ・リファクタ | churn 3.3%→7.1%/コピペ行8.3%→12.3%/リファクタによる移動行24.1%→9.5%(2020→2024) | GitClear・2.11億行を分析・2025-02
Uplevel | PR内のバグ・サイクルタイム | Copilot導入チームでPR内のバグ+41%/サイクルタイムとスループットに有意な改善なし | Uplevel・開発者800名
NAV IT | Copilot利用者の統計的有意差 | 利用者25名に統計的有意差なし | NAV IT・公共機関・703リポジトリ・26,317コミット

★出力は4〜10倍でも、自分の過去と比べると+25%
GitClear社が2.11億行のコードを分析した結果、AIのヘビーユーザーは非利用者の4〜10倍の出力を出している。ただし同じヘビーユーザーを、その人自身の導入前と比べると+25%しか増えていない。
コードchurn(チャーン。書いた直後に自分で書き直した行の割合)は3.3%→7.1%、コピペ行は8.3%→12.3%に増え、リファクタによる移動行は24.1%→9.5%に減った。2024年に初めて、コピペがリファクタを上回った。
「他人と比べるか」「自分の過去と比べるか」で分母が変わり、結論が変わる。

### 実際に起きた事故
AIエージェントが起こした事故
・Replit(2025年7月): AIエージェントがコードフリーズ中に本番データベースを削除し、さらにロールバック不可と虚偽報告した(実際は可能だった)。CEOが公式に謝罪した
・Stanford / NBER: AI露出度の高い職種で22〜25歳の雇用が相対-13%。ベテラン層は横ばい〜増加

次は物差しの章。Anthropicが約40万セッションを分析した結果と、あなた自身の実測を並べる。1依頼あたりの行動数は、数え方ひとつで8.24にも16.08にもなる。

## 物差し — 40万セッションの中で、あなたはどこにいるか
このセクションの3点
① Anthropicが約400,000のインタラクティブセッション・約235,000ユーザーを分析し、初心者と上級者の違いを行動数・出力語数・成功率で示した
② あなたの1依頼あたりの行動数は、主セッションだけなら8.24回で全体平均10回を下回るが、委託分まで数えると16.08回で上級者の12回を超える
③ あなたの主戦場はコード作成でもバグ修正でもなく、13%しかないデータ分析とドキュメント作成の側だ

Anthropicは自社のClaude Codeについて、約400,000のインタラクティブセッション・約235,000ユーザーを分析した研究を公開している(2025年10月〜2026年4月・出典 Anthropic 公式研究(anthropic.com)・2026-06-16公開)。ここで示される数字を、あなたの実測を測る物差しにする。

指標 | 初心者 | 上級者 | 全体平均

1プロンプトあたりの行動数 | 約5回 | 約12回 | 約10回
1プロンプトあたりの出力語数 | 約600語 | 約3,200語 | 記載なし
検証済み成功 | 15% | 28〜33% | 記載なし
部分成功以上 | 77% | 91〜92% | 記載なし
セッションを放棄する割合 | 19% | 5〜7% | 記載なし

Anthropicの研究では、熟練度を①指示の正確さ ②Claudeに何を検証させるか ③訂正の向き(人がClaudeを直すか、Claudeが人を直すか)の3つで判定している。測っているのは職位ではなく、タスク固有の専門知識だ。同じ人でも、慣れたタスクでは上級者、初めてのタスクでは初心者になる。

★人は計画の7割を決め、実行は2割しか決めていない
Anthropicの研究はこう書いている。
"people make about 70% of the planning decisions but only 20% of the execution decisions"
計画は人が握り、実行はAIに渡っている、という意味だ。

### ★あなたを当てると、数え方で評価が反転する
図3 40万セッションの物差しの上でどこにいるか → この図は横にスクロールできます
1依頼あたりの行動数 — 40万セッションの物差しの上でどこか
- 0回18回
- 初心者 5
- 平均 10
- 上級者 12
- あなた 8.24(自分で動かした分)
- あなた 16.08(委託込み)

初心者5・平均10・上級者12はAnthropicの公式研究の値。あなたの2つの点は数え方の違いで、どちらも同じ3か月の実測。
1依頼あたりの行動数 初心者

5回
Anthropicの調査
全体平均

10回
Anthropicの調査
上級者

12回
Anthropicの調査
あなた(主セッションだけ)

8.24回
主セッションのツールのみ
あなた(委託分も数える)

16.08回
サブエージェントの委託分も加算

59,878÷7,270=8.24/(59,878+57,056)÷7,270=16.08
★同じ人が、平均以下にも上級者超えにもなる
主セッションのツールだけを数えると、あなたの1依頼あたりの行動数は8.24回で、Anthropicの全体平均10回を下回り、初心者の5回と上級者の12回の間に落ちる。
サブエージェントに委託した分まで数えると16.08回になり、上級者の12回を超える。
どちらが正しいとは言えない。Anthropicの定義(ファイルを読む・編集する・コマンドを実行する)は主セッションの行動を指していると読めるが、断定はできない。あなたが「委託」という手段を使っている以上、この数え方の違いは他の利用者よりあなたに強く効く。

Anthropicの調査では、セッションの中身は次のように分かれている。コード作成25%・バグ修正26%・テストとオーケストレーション5%・ソフトウェア運用17%・計画と理解14%・データ分析とドキュメント作成13%。
世界の議論の多くはコード作成とバグ修正の51%側に集中している。あなたの主戦場は、最後のデータ分析とドキュメント作成13%の側だ。

★この研究にも限界がある
Anthropicはこの研究の限界を自分で書いている。
"we cannot measure real-world outcomes, like whether code written in a session is actually used or discarded thereafter"
セッションの分類自体も、モデルが会話記録を読んで判定したものだ。
"all of our classifications of sessions depend on a model's reading of the transcript"

次は開放の窓。あなたと世界の両方がやっている5つを見る。

## 開放の窓 — あなたも世界もやっていること
このセクションの3点
① 開放の窓は5件。世界と同じ動きをしている部分は、思ったより狭い。
② 階層分業・調査委託・レビュー委託・環境整備・権限緩和の5つは、公式や他社の実例と重なっている。
③ 5件しかないことは悪いことではない。違う場所に伸びている可能性は秘密の窓にある。

開放の窓とは、自分も知っていて、他人(ここでは世界の使い手とCodex)も同じことをしている領域を指す。ジョハリの窓の4象限の中でいちばん地味な象限で、驚きは無い。
この章は確認の章であって、自慢の章ではない。挙がる5件はどれも、公式ドキュメントや他社事例にすでに同型のものが書かれている。あなたが世界の標準的な動き方の中にいることを、数字で確認するだけの章だと考えてほしい。

# | やっていること | あなたの実数 | 世界の実数

1 | メイン=Opus・サブ=Sonnetの階層分業 | 主 Opus 5 56,416回/サブ Sonnet 5 54,654回 | 同じ階層構造。具体的な件数の比較値は仕様書に無い
2 | 調査の委託 | WebSearch 9,066回のうちサブエージェントが84.9%(7,692回) | 公式ドキュメントがサブエージェントを『結果だけ要る作業』に使うよう案内している
3 | 別のモデルにレビューさせる | Codexの67.2%(レビュー271件+診断137件) | 公式がWriter/Reviewerの2セッション構成を推奨例に挙げる
4 | ルールファイル・MCP・hooksで環境を作る | CLAUDE.md 21本・MCP 10・hooks 10本 | 楽天・メルカリ・LayerXも同じ領域に投資している。具体的な件数の比較値は仕様書に無い
5 | 権限を緩めて自律させる | bypassPermissions(実行のたびに人の許可を取らず、AIに任せる設定)5,175回 | Anthropicがサンドボックス化で許可プロンプトを84%削減したと公表している

🗂️

#### 階層分業
Opus×Sonnet
主のモデルはOpus 5が56,416回、サブエージェントで動くモデルはSonnet 5が54,654回。ほぼ同数だが役割は分かれている。上位モデルを判断に、下位モデルを実行に回す分業の構造そのものは、世界の実践と同じ形をしている。

🔍

#### 調査の委託
WebSearch 84.9%がサブ
WebSearchは合計9,066回のうち84.9%がサブエージェント経由。公式も『結果だけが必要な作業』はサブエージェントに投げるよう案内している。

🧪

#### 別モデルレビュー
Codexの67.2%
Codexへの依頼のうちレビュー271件と診断137件を足すと67.2%になる。公式のベストプラクティスもWriterセッションとReviewerセッションを分ける例を挙げている。

🧱

#### 環境の整備
CLAUDE.md 21本・MCP 10・hooks 10本
ルールファイル・MCP・hooksを積み上げて環境を作っている。楽天・メルカリ・LayerXも同じ領域に投資している会社である。

🔓

#### 権限の自律化
bypassPermissions 5,175回
権限を緩めて自律的に動かした回数はbypassPermissions 5,175回。Anthropicはサンドボックス化によって許可プロンプトを84%削減したと公表している。

★開放の窓が5件しかないことの意味
4象限のうち、世界と重なる領域は5件しか出なかった。使っている行動の大半は、盲点の窓か秘密の窓のどちらかに分類されたということになる。
ただし『少ないから悪い』ではない。世界と同じことをしている部分が狭いのは、的外れというより、違う方向に伸びている可能性もある。秘密の窓には5件挙がっており、そちらは世界にほとんど例が無い動き方だ。開放の窓の狭さと秘密の窓の広さは、同じ現象の裏表かもしれない。

次の章では、世界はやっていてあなたはやっていない7件を見る。ここが記事の中心になる。

## 盲点の窓 — 世界はやっていて、あなたがやっていないこと
このセクションの3点
① 盲点の窓は7件。世界の使い手とCodexの両方が指摘した、あなたがやっていないことだけを並べた
② いちばん重い盲点は「使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない」こと。394.9億トークンを使って、PR数も手戻りも記録が無い
③ 7件のうち今週直せるのは3件、半年かかるのが3件、直さなくていいものも1件ある

ジョハリの窓でいう盲点の窓とは、自分では見えていないが、他人には見えている領域を指す。ここでの「他人」は二人いる。ひとつは世界の使い手——第5章と第6章で調べたAnthropic・OpenAI・楽天・クラスメソッド・Steinberger・Huntley・Chernyたちの実例。もうひとつはCodexで、同じ実測データをあなたの見立てを渡さずに読ませ、独立に診断させた。7件とも、世界かCodexのどちらか、あるいは両方が指摘したものだけを残している。

📋 盲点7件の一覧表を先に見る 世界の実数とあなたの実数を並べた表 開く ▾

4/5 | 世界がやっていること | 世界の実数 | あなたの実数

# | 世界がやっていること | 世界の実数 | あなたの実数

1 | 効果を測る | GitHub×Accenture PR+8.69%・ビルド成功+84%/DORA約5,000人 | 394.9億トークン・1,329セッションで測定記録ゼロ
2 | worktreeで並列に走らせる | Cherny 3〜5本/Steinberger 3〜8本 | 並列ツール呼び出し60,224組中6組(0.010%)
3 | CLAUDE.mdを軽く保つ | 公式警告「Bloated CLAUDE.md...」/Steinberger AGENTS.md約800行 | CLAUDE.md 21本・合計541,306字(最大126,067字)
4 | 自律ループを回す | Huntley $50,000相当を$297で納品/500並列上限 | ループ記録ゼロ(TaskCreate 682 と TaskUpdate 1,137のみ)
5 | 第二のAIを調査にも使う | OpenAI自身がCodexで5か月に約100万行・PR1,500件 | Codex 638セッション中調査5件(0.8%)、レビュー+診断67.2%
6 | サブエージェントを役割で分ける | Anthropic 16体でCコンパイラ実装/LayerXは特化しすぎて「祭」に | 起動1,663回中汎用の general-purpose 1,185回(71.3%)、reviewer11・architect3
7 | 文脈を定期的に捨てる | 公式は2回訂正したら/clearして書き直すことを推奨 | 実測トークンの97.36%がキャッシュ読み

### 盲点1: 使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない
あなたが2025-08-24〜2026-08-31の1年強で使ったトークンは39,782,408,220。うちClaude Codeが39,485,745,461(99.25%)で、実測できているのは28,061,994,981、残りの11,423,750,480は内訳の無い推計だ。1,329セッション・389,797メッセージ・89稼働日を動かして、この記事を書くまでPR数・手戻り・レビュー時間・欠陥率のどれ一つ記録に残っていない。

測っている世界 / 測っていないあなた
測っている世界
GitHub×Accenture・DORA・METR

- ・GitHub×Accenture RCT(Copilot群450名 vs 対照200名): 1人あたりPR数+8.69%、マージ率+11%、PRを開くまで9.6日→2.4日、ビルド成功率+84%

- ・DORA 2025(Google Cloud・約5,000人): AI利用率90%(前年比+14pt)、生産性が上がったと感じる人80%超、一方でAI生成コードを信用していない人30%

- ・METR無作為化比較試験(経験豊富なOSS開発者16人・246課題): 事前予測は24%速くなる、事後の自己認識も20%速くなったと回答。実際は19%遅かった(95%信頼区間+2%〜+39%)

測っていないあなた
39,782,408,220トークン・1,329セッション

- ・394.9億トークン(実測280.6億+内訳の無い推計114.2億)

- ・1,329セッション・389,797メッセージ・89稼働日

- ・PR数・手戻り・レビュー時間・欠陥率の記録はゼロ

測る側の世界にも迷いはある。2026-02-24の追試(57人・143リポジトリ・800課題超)では結論が動き、元のグループは-18%(速くなった。95%信頼区間-38%〜+9%)、新規参加者は-4%(信頼区間-15%〜+9%)だったが、30〜50%が非協力で選択バイアスが大きく、METR自身が「信頼できる測定はできない」と明言している。
どちらの数字を信じるかが論点ではない。論点は、測った側は「自分の体感が外れていた」ことに気づけた、という一点だ。あなたには比較する基準になる記録が無いので、394.9億トークンが速くなる方向に効いているのか、遅くなる方向に効いているのか、自分でも判定できない。

### 盲点2: git worktreeで並列に走らせていない
Boris Chernyはgit worktree 3〜5本の並列を「生産性の山」と呼び、Peter Steinbergerは3〜8本を3x3のターミナルグリッドで同時に動かしている(worktreeそのものは使わないが、並列本数はここに近い)。あなたの主セッション60,224組のツール呼び出しのうち、同時に2個以上呼んだのは6組しかない。1個=60,218組・2個=5組・4個=1組で、同時呼び出しの比率は0.010%。ほぼ完全な逐次実行だ。

並列ツール呼び出しの内訳(全60,224組) 1個ずつ(逐次)

60218組
単独呼び出し
2個同時

5組
同時呼び出し
4個同時

1組
同時呼び出し

60,224組のうち同時呼び出しは6組=0.010%(1個=60,218組/2個=5組/4個=1組)。分母は対話・一発実行を合わせた主セッション全体で、ここから出るツール呼び出しは60,232回。対話セッションだけの59,878回とは分母が違う
7,270回の依頼に対してツールは59,878回動いているが、その大半は1つずつ順番に処理されている。並列化そのものを知らないわけではない——サブエージェントは1,663回起動しているので、複数のプロセスを同時に立ち上げる発想自体は既にある。欠けているのは、それをworktreeで隔離して主作業と同時に走らせる型だけだ。

### 盲点3: CLAUDE.mdが公式の警告に真正面から当たっている
公式ドキュメント(Claude Code 公式ドキュメント)はこう書いている。「Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions!」——CLAUDE.mdが肥大化すると、Claudeはあなたの実際の指示を無視するようになる、という意味だ。
あなたのCLAUDE.mdは21本・合計541,306字。最大の1本が126,067字、次点が106,843字ある。Steinbergerが公開しているAGENTS.mdは約800行(2025-10時点)。単位は字と行で単純比較はできないが、桁が違う量を1つのファイルに積んでいることは変わらない。
ただしCodexの指摘どおり、21本の合計541,306字が毎回全部が読まれるわけではない。読まれるのは、そのとき作業しているプロジェクトの1本とグローバルの1本である。だから警告に当たっているかどうかを決めるのは合計ではなく、いちばん大きい1本の126,067字のほうだ。合計541,306字は「積み上げた資産の総量」であって、1回の会話に流し込まれる量ではない。

### 盲点4: 自律ループを回していない
Geoffrey HuntleyのRalph Wiggumループは、状態をファイルとgit履歴だけに持たせて回り続ける無限bashループで、これで$50,000相当の契約をAPI代$297で納品し、500並列のサブエージェントまで動かした実績がある。Boris Chernyは「もうプロンプトしない。ループを書く」と言い切っている。
あなたの記録にループは無い。TaskCreate 682回・TaskUpdate 1,137回はあるが、これは人間がタスクを見ながら手動で更新しているログであって、無人で回り続ける仕組みではない。

### 盲点5: Codexを調査に使っていない
Codexを作ったOpenAI自身の運用例(Harness Engineering・2026年2月・著者Ryan Lopopolo)は、約100万行を5か月・PR1,500件・1人あたり3.5PR/日というペースで、手書きコードを原則ゼロにしている。実装のためにコードを大量に生成・検証させる使い方だ。
あなたのCodex利用は638セッション・5,958ターンあるが、最初の依頼の種類はレビュー271件(44.6%)と診断137件(22.6%)で67.2%を占め、調査はわずか5件(0.8%)しかない。今回のこの記事のために、初めて調査目的でCodexを使った。

### 盲点6: サブエージェントが汎用1種類に寄っている
Anthropicは16体のエージェントを役割分担させてRust製Cコンパイラを実装し(約2,000セッション・約10万行)、LayerXは各自が勝手にサブエージェントを作りすぎて属人化し、「Subagents祭」という棚卸しイベントを開くはめになった。裏を返せば、世界の現場では役割ごとに特化したサブエージェントが増えすぎるのが当たり前だということだ。
あなたは7種類のサブエージェント(architect / implementer / reviewer / writer / git-ops / explorer / tester)を定義しているが、1,663回の起動のうちgeneral-purposeが1,185回(71.3%)を占め、reviewerは11回、architectは3回しか呼ばれていない。残りは claude-code-guide 7回・Plan 7回・fork 6回・種別の記録が無いもの25回で、全部足すと1,663回になる(71.3%はこの1,663を分母にした値である)。定義した型の大半が使われていない。

### 盲点7: 文脈を捨てていない
公式ベストプラクティスは、2回訂正したら/clearしてやり直すことを推奨パターンとして挙げている。文脈を積み増すより、汚れたら捨てて書き直すほうが良い結果になるという考え方だ。
あなたの実測トークン28,061,994,981のうち、97.36%にあたる27,320,405,803がキャッシュ読みだ。新規入力はわずか11,071,659(0.039%)。同じ文脈をひたすら読み返し続けていて、/clearで切り捨てている形跡はほぼ無い。
この項目については、Codexが「盲点ではなく未知に置くべきだ」と反論した。キャッシュ読みの比率が高いことは、再利用されたトークンが多いことしか示さない。有用な長期文脈も、重複も、システム指示も、ツール定義も全部そこに混ざっている。むしろ費用と待ち時間を減らす仕組みが効いた結果かもしれない、という指摘である。私はこれを盲点に残したが、理由は「公式が/clearを推奨パターンに挙げている」という一点だけで、97.36%が高すぎるという証拠は無い。適正値が何%なのかを示した一次資料は、今回確認できた範囲には存在しない。

★7件のうち、あなたが直せるのはどれか
今週直せる: 盲点2(worktreeで2本だけ並列に走らせる)/盲点5(Codexに調査も投げる)/盲点7(訂正が2回続いたら/clearする)。どれも今の運用にひとつ手順を足すだけで始められる。
半年かかる: 盲点1(台帳をつけて測定基盤を作る)/盲点3(CLAUDE.md 541,306字を常時必須・条件付き・参照資料に分割する)/盲点6(7種類のサブエージェントの役割を実際に使い分ける)。仕組みを作り替える規模の作業になる。
直さなくていい: 盲点4(自律ループ)。Steinbergerはsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめたと本人が明言しており、Huntley自身もRalph Wiggumを既存のコードベースには絶対に使わないと釘を刺している。あなたの主用途はコード生成の継続ではなく記事と調査で、無人ループが向く形の作業がそもそも少ない。世界がやっているからといって、全部を真似る必要は無い。

次の秘密の窓では、逆にあなたがやっていて世界にほとんど例が無いことを見る。

## 秘密の窓 — あなたはやっていて、世界に例が無いこと
このセクションの3点
① 秘密の窓は5件。あなたはやっていて、世界にほとんど例が無い動き方。
② ここでいう『世界に例が無い』は、調べた範囲で見つからなかったという意味に限定する。
③ 5件のうち、強みと言えるものと、ただの癖かもしれないものが混ざっている。

秘密の窓とは、自分は知っているが、他人(世界の使い手やCodex)には知られていない領域を指す。ここに挙がる5件は、今回のリサーチで似た実例が見つからなかった動き方だ。
ただし、これを『世界に存在しない』と言い切ることはできない。存在しないことは証明できないからだ。ここで『世界にほとんど例が無い』と書く場合は、あくまで今回調べた範囲(会社・個人・失敗報告として挙げた事例)の中に同種の例が見つからなかった、という限定した意味で使う。見つかっていないだけで、どこかに例がある可能性は残る。

177回
走らせたワークフローの回数

1,329体
そこで動いたエージェント

平均7.5体
ワークフロー1回あたり

10本
全てcommand型のhooks

### 1. 177回のワークフローで1,329体を動かしている
あなたは177回のワークフローを回し、合計1,329体のサブエージェントを動かしている。1回あたり平均7.508体になる。
今回の調査で見つかった個人の最大例は、Steve Yeggeが2026年1月に公開したGas Town(20〜30体のClaude Codeを課題管理とキューで編成する仕組み)だった。会社の公式事例では、Anthropicが16体のエージェントでRust製Cコンパイラを実装した例が最大規模になる。

取り組み | 規模 | 出典・備考

Anthropic Cコンパイラ | 16体 | 約2,000セッション・約10万行
Gas Town(Steve Yegge) | 20〜30体 | 2026-01-01公開の課題管理・キュー編成
あなた | 177回で1,329体(1回あたり平均7.508体) | 89稼働日・3か月分の記録

この規模の裏側
Gas Townには独立したユーザーによる実運用報告(2026-01-12)がある。20並列で60分回して費用は通常の10倍の100ドル、生成された4つのプルリクエストは全て品質不足でクローズされたと書かれている。
体数の規模と成果の質は別の話だ。1,329体を動かしていること自体は、この件数だけで良し悪しを判定できる指標ではない。

### 2. 公開前に3種類のレビューを必須の関門にしている
あなたは記事を公開する前に、高校生レビュー・デザインレビュー・別モデル(Codex)によるレビューを必須の手順にしている。
今回の調査では、『ClaudeとGPTの相互レビューを実践している実在個人の一次情報』は見つからなかった。会社レベルではLayerXがAgent Skillsで品質基準を明文化した例、DeNAがPR-AgentというOSSを全社導入した例があるが、個人が公開前チェックとして複数モデルのレビューを固定手順にしている一次情報には行き当たらなかった。

### 3. hooksを全部command型にしてLLMを検証から締め出している
あなたのhooksは10本あり、全てcommand型(LLMを使わない決定的なスクリプト)で構成されている。検証をLLMの判断に委ねず、コードで確定させる方式を貫いている。
ただし世界の第一線はこの逆を選んでいる。Armin Ronacher(Sentry創業者)はスラッシュコマンドとhooksを試したうえでほぼ放棄し、対話中心に戻っている。Peter Steinbergerもsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめたと明言している。

珍しいことは良いこととは限らない
hooksを徹底しているのはあなたの側の特徴だが、公式ドキュメントも『hard allowやdenyを強制するのはhookではなく権限システムで行うべき』と書いている。世界の実践者が離れていく方向にあなたが留まっているという事実だけを、ここでは記録しておく。

### 4. 利用量を自前のDBに全PC横断で1年ぶん貯めている
あなたは3台のPCとアカウント分を横断して、ソース別・プロジェクト別・日別の利用量をデータベースに1年分貯めている。今回の記事の数値の多くも、このデータベースから取り出したものだ。
今回の調査では、個人がこの規模で利用量を横断集計している一次情報は見つからなかった。会社レベルでは楽天やクラスメソッドが効果測定の実数を公表しているが、それは自社の生産性指標であって、個人が自分の利用ログを1年分貯める行為とは別の話になる。

### 5. 主用途がコードではなく記事と調査
あなたのツール使用の中心はBash・Edit・Read・Writeだが、それらは記事の執筆や調査のために使われている割合が大きい。目的の主軸はコード生産ではなく、記事と調査になっている。
Anthropicの公式研究では、約40万セッションを内容で分類しており、コード作成25%・バグ修正26%・テストとオーケストレーション5%・ソフトウェア運用17%・計画と理解14%に対し、データ分析とドキュメント作成は13%だった。世界の議論のほとんどはコード生産を前提にしており、あなたの主用途はこの13%の層に近い。

★秘密の窓は、強みとは限らない
5件のうち、強みと言えそうなものと、ただの癖かもしれないものは分けて考える必要がある。
177回×1,329体の規模と、3種類のレビューを必須にしている点は、世界にほとんど例が無いうえに、Gas Townの品質不足という失敗例と比べても手順として崩れていない。強みに寄せて考えてよさそうだ。
一方、hooksを全部command型にしている点は、世界の第一線が逆方向へ動いている以上、正しさを保留する。全PC横断のログ収集も、記録すること自体に価値があるかどうかは、まだ判断できない。主用途が記事と調査である点は、良し悪しの問題ではなく、単に世界の議論の主戦場から外れているという位置づけの話であり、これも判断を保留する。

次の章では、世界もあなたも答えを持っていない領域、未知の窓を見る。

5/5 未知の窓 — 世界も答えを持っていないこと

## 未知の窓 — 世界も答えを持っていないこと
このセクションの3点
① この章に答えはない。世界も私も、まだ測れていないことを4つ並べるだけの章
② 成果物の質・記事の合格基準・数百体運用時の採算・キャッシュ読み97.36%の意味、この4つは誰も答えを持っていない
③ ただし2件は、あなたが1年分のDBと記事という成果物を持っている分、世界より先に答えを出せる位置にいる(推測)

ジョハリの窓の4つ目、未知の窓は「自分も知らず、他人も知らない領域」を指す。ここまでの章では、開放の窓・盲点の窓・秘密の窓のどれも、数字を並べれば答えが出た。この章だけは違う。
ここに並ぶ4件は、私が調べた範囲では世界のどこにも答えが見つからなかったものだ。だからこの章の役割は、答えを出すことではなく、答えが無いことを確認することにある。埋まっていない欄を、埋まっていないと正直に書く。

この4つは、今回確認できた範囲では答えが見つからなかった
− 成果物の質を測る物差し
Anthropicの研究・DORA・METRの3つが揃って測れないと書いている

− 記事や調査でのエージェント運用の型
世界の型は全部コード前提。テストが通る、に相当する合格判定が文章には無い

− 個人が数百体を回したときの採算
実数はSteinbergerの30日1,305,088.81ドルの1件だけ

− キャッシュ読み97パーセントという構造の是非
今回確認できた公開事例では見つけられなかった

### 1. 成果物の質を測る物差しが無い
Anthropicは自社の研究の限界として、原文で次のように書いている。we cannot measure real-world outcomes, like whether code written in a session is actually used or discarded thereafter。セッションで書かれたコードが実際に使われたのか、捨てられたのかすら測れていない、という告白だ。
DORAは業界平均だけを出し、企業ごとの内訳を持たない。METRは追試で結論そのものが反転したうえで、自ら「信頼できる測定はできない」と書いた。一次資料が3つそろって、同じ結論に行き着いている。測れない、である。

### 2. 記事・調査でのエージェント運用に型が無い
世界の型は、調べた範囲では全部コード前提でできている。テストが通れば成功、通らなければ失敗。この一点にほぼすべての運用ノウハウが乗っている。
文章にはこの判定が無い。記事が「通った」かどうかを機械的に判定する基準を、世界の実例からは見つけられなかった。

### 3. 個人が数百体を回したときの採算
調べた範囲で唯一の実数は、Peter Steinbergerの会社が約100体のCodexを30日動かした$1,305,088.81だ。ただし本人はこの数字を出したあと、「Fast Modeを切れば約$30万」と言い直している。1つの実数の中で、本人自身の推計が4倍以上振れている。
数百体規模の採算がどのくらいの幅に収まるのか、これ以外の実例を見つけられなかった。

### 4. キャッシュ読み97.36%という構造が、正しいコストの使い方なのか今回確認できた公開事例では見つけられなかった
あなたの実測トークンのうち、キャッシュ読みが97.36%を占める。これが効率的な設計なのか、それとも文脈を捨てずに引きずり続けている結果なのか、判定する物差しを今回確認できた公開事例の中には見つけられなかった。
盲点の窓で触れた「文脈を捨てていない」という指摘と表裏の関係にある数字だが、その先の「では何%が適正なのか」に答えた一次資料は無い。

★未知の窓は、あなたが埋められる場所でもある
4件のうち2件目と4件目は、世界より先にあなたが自分で答えを出せる位置にいる。1年分の利用量DBと、記事という成果物そのものを持っているからだ。これは推測であり、実際に埋められる保証ではない。

次の章では、この記事の答えを行動に落とす。今週から始める3つと、半年〜1年で変える3つを出す。

## これからどうするか — 今週の3つと、1年の3つ
このセクションの3点
① 今週から始めるのは3つだけ。台帳・盲検レビュー・worktree2本
② 半年〜1年で変えるのも3つだけ。CLAUDE.mdの分割・合格判定の機械化・ワークフローの並列化
③ 盲点7件を全部追わなくていい。世界の最前線でも割れている項目を名指しする

### 今週から始める3つ
# | やること | どの盲点に効くか | 最初の1手 | できたかの測り方

1 | 100件だけ台帳をつける | 盲点1(使った量は測っているのに、その結果どうなったかを測っていない) | 完了フックからCSVに1行吐く | 台帳が100行埋まっているかを見る
2 | Codexへの依頼から自分の結論を抜く(盲検レビュー) | 盲点5(Codexを調査に使っていない)と、依頼文に自分の結論が混ざっている問題 | 成果物と評価基準だけを渡すテンプレを1枚作る | 結論を含めた依頼と含めない依頼で、Codexの判定が変わるかを比べる
3 | worktreeで2本だけ並列に走らせる | 盲点2(git worktreeで並列に走らせていない) | 記事の執筆と検証を別ブランチで同時に回す | 並列ツール呼び出しの組数が60,224組中6組から増えているかを見る

📒

#### 100件だけ台帳をつける
盲点1に効く
完了フックの出口に1行追記する処理を足す。列は日時・成果物名・実働時間・手戻りの有無・採用か不採用かの5つだけにする。100件たまったら、採用率と手戻り率を一度だけ集計する。増やすのは100件を見てから決める。

🕶️

#### Codexへの依頼から自分の結論を抜く
盲点5に効く
今の依頼文は中央値4,061字あり、その中に私の結論が入っている。渡すのは成果物本体と評価基準だけにしたテンプレを1枚作り、次の依頼はそれで送る。結論を渡した回と渡さなかった回で、Codexの判定が割れるかどうかを見る。

🌿

#### worktreeで2本だけ並列に走らせる
盲点2に効く
いきなり5本にしない。記事の執筆と検証を別ブランチに切り、2本だけ同時に動かす。並列ツール呼び出しは60,224組中6組しかない。2本で慣れてから本数を増やすかどうかを判断する。

### 半年〜1年で変える3つ
# | 変えること | 今の実数 | 目標 | なぜ

1 | CLAUDE.mdを「常時必須/条件付き/参照資料」に3分割する | 合計541,306字(最大単体126,067字) | 常時必須を1万字以下にする | 公式が名指しで警告している。Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions
2 | 記事の合格判定を機械化する | レビューが高校生・デザイン・Codexの3つとも全てLLM頼み | コードの「テストが通る」に相当する機械判定を1つ作る | 未知の窓2件目。文章には合格判定が無いという穴を、世界を待たず自分で埋める
3 | 177回のワークフローを依存関係つきの並列実行にする | 並列ツール呼び出しは60,224組中6組=0.010% | 外側だけでなく中身も依存関係のある部分から並列化する | 177回・1,329体という秘密の窓の強みが、中身はほぼ逐次のままで活きていない

★やらなくていいこと
世界がやっているからといって、盲点7件を全部追う必要はない。Peter Steinbergerはsubagent・hooks・git worktree・仕様駆動開発を全部やめた。Armin Ronacherはスラッシュコマンドとhooksをほぼ放棄し、対話中心に戻った。Mitchell Hashimotoは複数エージェントの同時運用を「やりたくない」と明言している。
盲点2(git worktreeでの並列)と盲点6(サブエージェントの多様化)は、世界の最前線でも評価が割れている項目だ。今週の3手で小さく試したうえで、それ以上追いかけるかどうかは自分で決めていい。7件全部を潰しにいく必要は無い。

今週の3つ
− 100件だけ台帳をつける
1手目: 完了フックからCSVに1行吐く

− Codexへの依頼から自分の結論を抜く
1手目: 成果物と評価基準だけを渡すテンプレを1枚作る

− worktreeで2本だけ並列に走らせる
1手目: 記事の執筆と検証を別ブランチで同時に回す

次の章では、私自身の誤りとCodexとの食い違いを記録する。この記事も、書きながら数字を間違えている。

## 私の誤りと、Codexとの食い違い
このセクションの3点
① Codexは私の数字の誤りを5件見つけた。深夜の割合の計算違い、394.9億の内訳、分母のずれ、セッション数の食い違い、トークンの二重計上。
② 私はCodexの誤りを1件見つけた。Anthropic社内90%という数字は公式ページで裏が取れず、正しくは80%超だった。
③ 未解決のまま残したものが2件ある。Codexセッション数の34件の差と、一発実行695本の中身。

この章を最後に置くのは、訂正を隠さないほうが、この記事を読んだ人が自分の数字を疑えるようになるからだ。ここまでの13章に出した数字のうち、Codexが検算して崩したもの、私がCodexの数字を崩したもの、どちらも崩せずに残ったものを、そのまま並べる。

### Codexが見つけた、私の誤り
# | 私が書いたこと | 正しくは | どうやって発覚したか

1 | 深夜(0〜4時)の割合を29.6%と書いた | 32.1%(60,827÷189,607) | Codexが検算して見つけた
2 | 394.9億トークンを一体の数字として書いた | 実測280.6億+推計114.2億。推計側には内訳が無い | Codexが「4項目の合計が11,423,750,480足りない」と指摘して発覚
3 | 「このPCが99.3%」とだけ書いた | 分母がソース横断の数字で、Claude Code単体の39,485,745,461とは比較できない(このPCの39,504,147,006はそれを18,401,545上回る) | Codexが分母のずれを指摘
4 | セッション記録のトークンをそのまま合算していた | 1回の応答が複数行に分かれ、同じ使用量が各行に重複して載る。トークンはすべてDBから取り、記録は「回数」だけに使う | セッション記録とDBを突き合わせて判明
5 | Codexの用途分類を「638セッションの内訳」と書いた | 分類できたのは607件。31件は最初の発言を取り出せず分類できていない | 公開直前のCodexレビューで、271+137+100+94+5=607 と検算されて発覚
6 | 「177回×平均7.5体=1,329体」と書いた | 177×7.5は1,327.5にしかならない。正しくは1,329÷177=7.508体 | 同じくCodexの検算
7 | サブエージェントの種別を7種だけ並べて71.3%と書いた | 7種の合計は1,618で、分母の1,663と44件ずれる。残り4種を書いていなかった | 同じくCodexの検算

### 私が見つけた、Codexの誤り
「社内90%」は公式で裏が取れなかった
Codexは「Anthropic社内はコードの約90%をClaudeが書く」と述べたが、公式ページで裏が取れなかった。正しくは、2026年5月時点でマージされた本番コードの80%超である。しかもAnthropic自身が、この数字の元になった「8倍」という伸び率について「誇張の可能性が高い、行数は虚栄指標」と留保している。

### 私が最初、片方しか出さなかったもの
METRの「19%遅い」だけを書いた
私は最初、METRの無作為化比較試験で「AIを使うと19%遅くなった」という結果だけを書いた。だが2026年2月の追試では、元のグループはむしろ18%速くなっている。しかもMETR自身が「信頼できる測定はできない」と書いている。片方だけを出すのは誤りだった。

### 私のほうが踏み込めたところ
Codexは「1依頼あたりの行動数」という切り口では評価しなかった。私がAnthropicの40万セッション研究と突き合わせたところ、主セッションのツールだけで数えると8.24、サブエージェントへの委託分まで数えると16.08になり、この2つの数字だけで評価が反転した。ここは私のほうが踏み込めた。

### 未解決のまま残すもの
答えが出ていない4件
・Codexのセッション数が、DB上は604、ローカルの記録では638で食い違う。34件の差は未解明のまま残した。
・一発実行695本を、私は最初「自動起動」と一括りにした。Codexは、1本あたり平均0.53回のツール使用は自動起動と実作業が混ざっている可能性がある、と指摘した。ここは未解決のまま残す。
・主セッションのツール総数が、集計のしかたで60,232回と60,243回(対話59,878+一発実行365)に割れる。11回の差は未解明のまま残した。
・Codexは、キャッシュ読み97.36%を根拠に「文脈を捨てていない」と断じるのは無理で、これは盲点ではなく未知に置くべきだと反論した。私は盲点に残したが、97.36%が高すぎるという証拠は出せていない。

### 道具側の制約
正確に言えば止まったのはCodex本体ではなく実行環境で、「unsupported protocol version 5」というエラーが出て、1回目の診断は実行できなかった。データを会話に貼り直し、2回目でようやく成立した。
もうひとつ分かったことがある。公開直前にもう一度Codexに全文の査読をさせたとき、Codexは「以前あなたを診断した記録が自分には無いので、5件の誤りを見つけたかどうかは確認できない」と答えた。Codexは1回ごとに別のスレッドで動いていて、前の診断を覚えていない。第4章で「Codexへの依頼が中央値4,061字になるのは、文脈が無いから毎回書き直しているのだろう」と推測したが、その推測はここで裏づけられた。

★この記事の限界
ローカルのセッション記録は3か月ぶんしか残っていないので、1年の詳細は分からない。
「世界に例が無い」は調べた範囲で見つからなかったという意味で、存在しないことの証明ではない。
行動数の比較は、定義が完全に一致しているとは言い切れない。
効果を測っていないので、この記事は「使い方の比較」であって「成果の比較」ではない。

この記事が答えられていないこと
△ 1年ぶんの詳細な使い方
ローカルのセッション記録は3か月ぶんしか残っていない。1年の数字はDBの集計値だけ

− 世界に例が無いことの証明
調べた範囲で見つからなかった、という意味しかない

△ 行動数の定義が完全に一致しているか
Anthropicの定義と私の集計方法が同じとは言い切れない

− 成果の比較
効果を測っていないので、これは使い方の比較であって成果の比較ではない

次にやることは1つ。100件だけ台帳をつけ、成果物・手戻り・採用不採用を記録して、この記事の数字を「使い方の比較」から「成果の比較」へ変える。

次にやることは1つ。100件だけ台帳をつけ、成果物・手戻り・採用不採用を記録して、この記事の数字を「使い方の比較」から「成果の比較」へ変える。