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⌚ 金無垢の腕時計を、金の値段で選ぶ — 4階層49本(計算をやり直した版)

ケース全体がK18の「金無垢」だけを楽天市場APIで375件集め、機械で59件に絞った。総重量あたりの価格と、金地金に対する倍率で並べている。最初の版で「金より安い時計がある」と書いたのは私の計算ミスで、正しくは1本残らず金より高い。

まず答え — 4つの価格帯の1位

このセクションの3点

① 楽天市場APIで375件を集め、金無垢・メンズ・300万円以内で機械選別して59件。うち49件で総重量が分かった。

② 金の値段より安い時計は1本も無かった。金を最大限多く見積もっても、最低で1.09倍、最も高いもので8.40倍を払っている。当たり前のことだが、私は最初これを間違えた。

③ 総重量あたりの価格で並べると、最も安いのは9,390円/gのIWC。最も高いのは26,142円/gのロレックス チェリーニタイムで、2.8倍の開きがある。

この記事は一度公開したあと、依頼者に「g数に関して絶対にあなたが間違っている」と指摘されて全面的に計算し直したものである。最初の版では「金より安い時計が実在する(0.52倍)」と書いていた。そんなことが起きるなら精錬業者が買い占めて溶かすので、成立しない。何をどう間違えたかは第10章に全部書いた。

9,390円/g

最も安い(IWC・46.2万円)

17,956円

K18地金そのものの1gの値段

1.09倍

金に対する倍率の下限(全49件の最小)

0件

金の値段を下回った時計

価格帯ごとの1位(総重量あたりの価格が安い順)

価格帯1位ブランド実売価格総重量円/g金に対する倍率
〜50万円シャフハウゼン オールドインター(R810A・Cal.8541)IWC462,000円49.2g(ベルト込み)9,390円/g最低1.27倍
〜100万円クリフトンボーム&メルシエ770,000円61.4g(ベルト込み)12,541円/g最低1.32倍
〜200万円デヴィル プレステージオメガ1,100,000円75.4g(ベルト込み)14,589円/g最低1.32倍
〜300万円スピードマスター ブロードアローオメガ2,353,500円132.6g(ベルト込み)17,749円/g最低1.27倍
円/g で並べる

→ この図は横にスクロールできます

円/g で並べる(総重量あたりの価格・仮定ゼロ) IWC 9,390円/g ボーム&メルシエ 12,541円/g オメガ デヴィル 14,589円/g クレドール 15,370円/g オメガ スピマス 17,749円/g ロレックス チェリーニ 23,851円/g ← K18地金そのものは 17,956円/g 総重量には金でない部品が入るので、地金単価を下回っても割安とは言えない

円/g=実売価格÷総重量。この指標には推定が一切入っていない。ただし総重量にはムーブメント・風防・文字盤・革ベルトが含まれるので、これは「金の単価」ではなく「金属全体の単価」である。K18地金の17,956円/gを下回っていても、割安であることを意味しない。

🤖 Claudeの判定 金として得な時計は1本も無い

当たり前だが、腕時計は金の値段より必ず高い。だからこの記事で選べるのは「金からの離れ方が小さいもの」でしかない。

  • 49件すべてが金の価値を上回る。最も近いトムフォードN.001でも最低1.09倍、ロレックス チェリーニタイムは最低2.18倍
  • 円/gで見ると、金の量に対して最も安いのはIWCの9,390円/g。最も高いロレックスの26,142円/gとは2.8倍の差
  • 重い時計ほど円/gは下がりやすいが、それは金が多いからではなく、金以外の値段が重さで薄まるからである
くわしい根拠を読む ▾
この記事が測れるのは「時計の値段のうち、どれくらいが金以外に付いているか」の目安でしかない。倍率が低いということは、その時計のブランド・機械・希少性に市場が値段を付けていないという意味でもある。IWCのオールドインターが9,390円/gで買えるのは、金が多いからというより、ヴィンテージのIWCが現在の中古市場でロレックスやパテックほど評価されていないからである。金だけが欲しいなら、時計ではなくインゴットを買うほうが必ず安い。時計を買うということは、その差額ぶんの何かを買うということになる。

次の第2章で、この2つの指標をどう計算したのか、そして最初にどこで間違えたのかを説明する。

コスパの測り方 — 円/g と、金に対する倍率の下限

このセクションの3点

① 指標は2つ。①円/g=実売価格÷総重量(推定が一切入らない)②金に対する倍率の下限=金を最大限多く見積もったときの最小の倍率。

② 倍率は「最低○倍」としか言えない。金の量を正確に出すには、その個体のムーブメント重量とベルト重量が要るが、商品説明には書かれていない。

③ 金相場は田中貴金属の店頭買取23,941円/g(2026年9月7日17:00・税込)。K18は金75%なので、K18地金そのものは17,956円/gになる。

時計に入っている金の量は、商品説明からは分からない。書いてあるのは総重量だけで、その中にはムーブメント・風防・文字盤・針・革ベルト・尾錠が全部入っている。だからこの記事では、金の量を当てにいくのをやめた。推定を推定で補正しても精度は上がらないからである。

2つの指標

指標A 円/g

推定ゼロ

  • ・実売価格 ÷ 総重量
  • ・商品説明に書かれた数字だけで計算できる
  • ・金属の量に対していくら払うかの素の値
  • ・ただし総重量には金でない部品が入る

指標B 金に対する倍率の下限

安全側の推定

  • ・実売価格 ÷ 金の上限価値
  • ・非金部品を最小限だけ引き、残りを全部K18とみなす
  • ・金を多めに見積もるので倍率は小さめに出る
  • ・つまり実際の倍率は必ずこの値以上になる
差し引く部品最小と置いた重量根拠
ムーブメント(クォーツ)5g推定。この値を小さくするほど金を多く見積もることになる
ムーブメント(手巻き)12g推定
ムーブメント(自動巻き)18g推定。ローターがあるぶん重い
風防・文字盤・針3g推定
革・ラバーベルト+尾錠8g推定。尾錠がK18の場合も安全側に全部差し引く
金属ブレスの場合0gブレス自体がK18なので差し引かない

🚫 この数字で言えないこと

・倍率は「最低○倍」でしかない。実際の金の量はこの計算より少ないので、本当の倍率は必ずこれより高い

・差し引いた重量は全部推定である。個体のムーブメントが実際に何gかは分からない

・「円/g が K18地金の17,956円/g を下回っている」ことは割安を意味しない。総重量には金でない部品が含まれるからである

・田中貴金属の買取価格は地金の値段で、時計を持ち込んで同じ額で買われるわけではない。精錬の手数料が引かれる

📎 なぜ金を物差しにするのか

腕時計の値段はブランドの人気と中古相場で決まり、その値段が妥当かどうかを外から判定する基準が普通は存在しない。金の重さだけが時計の外にある物差しである。田中貴金属が今日いくらで買うかは、その時計が有名かどうかとまったく関係なく決まっている。ただし今回はっきりしたのは、この物差しで測っても「金として得な時計」は出てこないということだった。出てくるのは、金以外にいくら払っているかの差だけである。

次の第3章から価格帯ごとに実物を見る。まずは50万円以下。

〜50万円 — 選択肢が3種類しかない階層

このセクションの3点

① 50万円以下の金無垢メンズは5件。うち重量が分かるのは4件で、実質はセイコー ドルチェの重複を除くと3種類しかない。

② 1位はIWCのシャフハウゼン オールドインター 462,000円・49.2g・9,390円/g。全49件を通しても総重量あたりの価格は最安である。

③ 最安値は104,800円のクレドール 9572-6010 だが、総重量の記載がなく指標を計算できなかった。

順モデルブランド実売価格総重量円/g倍率の下限店
1シャフハウゼン オールドインター(R810A・Cal.8541・自動巻き)IWC462,000円49.2g(ベルト込み)9,390円/g最低1.27倍東京ぶらんど
2ロイヤル(ペアウォッチ・クォーツ)平和堂466,600円35.7g13,070円/g最低1.32倍クエリ 楽天市場店
3ドルチェ SACM014(8J41-6060・クォーツ)セイコー460,000円31.2g(ベルト込み)14,744円/g最低1.69倍東京ぶらんど
4ドルチェ SACM014(同一仕様)セイコー495,000円31.2g(ベルト込み)15,865円/g最低1.81倍東京ぶらんど時計館
—クレドール 9572-6010セイコー104,800円記載なし算出不能算出不能ブランドショップ フォーサイト
🥇

IWC オールドインター

462,000円 / 9,390円/g

IWCは1868年、アメリカ・ボストン出身の時計師フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズがスイスのシャフハウゼンに創業した会社である。アメリカ式の量産技術とスイスの手仕事を組み合わせる構想だったと公式ジャーナルにある。オールドインターは同社のヴィンテージの通称。総重量49.2gに対して46.2万円という単価は、全49件で最も安い。
🇯🇵

セイコー ドルチェ

460,000円 / 14,744円/g

日本製の金無垢でこの階層に入った1本。クォーツで31.2gと軽いぶん、単価では上位に届かない。ドルチェの発売年とSACM014の年代は、公式・専門メディアのどちらでも今回確認できなかったので断定しない。
💴

最安の104,800円

クレドール 9572-6010

全59件で最も安い1本。ただし商品説明に総重量の記載がなく、指標を計算できなかった。型番9572-6010がいつ頃のものかも今回は確認していない。
⚠️

この階層の実情

選択肢がほぼ無い

375件を集めて50万円以下は5件、全体の1.3%しか出てこなかった。しかもうち2件はセイコー ドルチェの同一仕様が2店に並んだものである。

次の第4章は50万〜100万円。あなたが「意外とある」と言ったクレドールが2本入る階層である。

〜100万円 — クレドールとロレックスが並ぶ

このセクションの3点

① 50万〜100万円は5件。1位はボーム&メルシエのクリフトン 770,000円・61.4g・12,541円/g。

② クレドールが2本ある。561,000円(36.5g・15,370円/g)と798,000円(35.2g・22,670円/g)で、重さがほぼ同じなのに単価が1.5倍ちがう。

③ ロレックスの金無垢はこの階層から始まる。チェリーニ 4133/8 が894,800円だが、総重量の記載がなく指標を出せなかった。

順モデルブランド実売価格総重量円/g倍率の下限
1クリフトン(K18RG・自動巻き)ボーム&メルシエ770,000円61.4g(ベルト込み)12,541円/g最低1.32倍
2クレドール(8J81-0AC0・K18WG・クォーツ)セイコー561,000円36.5g(ベルト込み)15,370円/g最低1.52倍
3クレドール GBAT007(8J80・K18WG・クォーツ)セイコー798,000円35.2g(ベルト込み)22,670円/g最低2.31倍
—ヴァンドーム LMカルティエ599,990円記載なし算出不能算出不能
—チェリーニ 4133/8(手巻き)ロレックス894,800円記載なし算出不能算出不能

クレドール2本 — 重さはほぼ同じ、単価は1.5倍ちがう

561,000円のほう

8J81-0AC0

  • ・K18WG・クォーツ・総重量36.5g(ベルト込み)
  • ・15,370円/g・金に対して最低1.52倍
  • ・商品名に「社外ベルト 純正尾錠」とある
  • ・この階層で日本製の最上位

798,000円のほう

GBAT007 / 8J80

  • ・K18WG・クォーツ・総重量35.2g(ベルト込み)
  • ・22,670円/g・金に対して最低2.31倍
  • ・重さは1.3g軽いだけ
  • ・差額237,000円の理由は重量には無い

📎 クレドールとは(公式で確認した)

1974年、セイコーの貴金属素材による特選腕時計群がグループ化されて「セイコー クレドール」が創設された。名前はフランス語の CRÊTE D'OR(黄金の頂き)が語源であることが公式サイトに明記されている。金・プラチナなどの貴金属と厳選素材のみを使う、セイコーの最上位ラインという位置づけである。あなたが「意外と50万円台であるんですね」と言ったのは正しく、セイコー最上位ラインの金無垢がスイス勢と同じ階層に並んでいる。

次の第5章は100万〜200万円。31件と最も本数が多い。

〜200万円 — 最も本数が多い激戦区

このセクションの3点

① 100万〜200万円は31件で全体の52.5%が集中する。ただし重複ペアを除くと実質16種類になる。

② 1位はオメガ デヴィル プレステージ 1,100,000円・75.4g・14,589円/g。上位は革ベルトの重いドレスウォッチが占めた。

③ この階層で金に対する倍率が最も低いのはトムフォード N.001 の最低1.09倍で、全49件を通した最小値でもある。

順モデルブランド実売価格総重量円/g倍率の下限
1デヴィル プレステージオメガ1,100,000円75.4g14,589円/g最低1.32倍
2N.001(電池式)トムフォード1,078,000円71.3g15,119円/g最低1.09倍
3デヴィル プレステージ(同一仕様)オメガ1,150,000円75.4g15,252円/g最低1.38倍
4ヴィルレ ウルトラスリム レトログラードブランパン1,523,000円98.6g15,446円/g最低1.22倍
5マスターバンカーフランクミュラー1,468,500円93.9g15,639円/g最低1.26倍
6クレドール レトログラード(GZBD)セイコー1,375,000円86.7g15,859円/g最低1.33倍
7ヴィルレ(同一仕様)ブランパン1,573,000円98.6g15,953円/g最低1.26倍
8ブルガリブルガリ ローマ 40周年 世界限定130本ブルガリ1,226,000円76.7g15,984円/g最低1.27倍
100万〜200万円帯・円/gの安い順
オメガ デヴィル
14589円/g

110.0万円 / 75.4g / 最低1.32倍

トムフォード N.001
15119円/g

107.8万円 / 71.3g / 最低1.09倍

ブランパン ヴィルレ
15446円/g

152.3万円 / 98.6g / 最低1.22倍

フランクミュラー
15639円/g

146.85万円 / 93.9g / 最低1.26倍

クレドール レトログラード
15859円/g

137.5万円 / 86.7g / 最低1.33倍

ブルガリ ローマ 限定130本
15984円/g

122.6万円 / 76.7g / 最低1.27倍

円/g=実売価格÷総重量。総重量にはムーブメント・風防・文字盤・革ベルトが含まれるため、これは金の単価ではなく金属全体の単価である。参考までにK18地金そのものは17,956円/g。

次の第6章は200万〜300万円。あなたの予算の上限である。

〜300万円 — 三大時計と、金の塊

このセクションの3点

① 200万〜300万円は18件で、重量が分かるのは16件。1位はオメガ スピードマスター ブロードアロー 2,353,500円・132.6g・17,749円/g。

② 132.6gは全49件で最も重い。それでも金に対しては最低1.27倍で、金の値段には届かない。

③ ロレックスの金無垢はチェリーニ 6623(2,750,000円・115.3g・23,851円/g)とチェリーニタイム(2,277,000円・87.1g・26,142円/g)。デイデイトの金無垢は300万円を超える。

順モデルブランド実売価格総重量円/g倍率の下限
1スピードマスター ブロードアローオメガ2,353,500円132.6g(ベルト込み)17,749円/g最低1.27倍
2スピードマスター(同一仕様)オメガ2,403,500円132.6g(ベルト込み)18,126円/g最低1.29倍
3ディアゴノ スクーバ クロノグラフブルガリ2,810,000円145.5g19,313円/g最低1.34倍
4ディアゴノ(同一仕様)ブルガリ2,860,000円145.5g19,656円/g最低1.37倍
5コンステレーション 1103.60(ダイヤ11P)オメガ2,880,000円139.0g20,719円/g最低1.46倍
6パンテール ヴァンドーム ルイ カルティエ LMカルティエ2,310,000円103.1g22,405円/g最低1.61倍
7サントス ロンドMM(クロノリフレックス)カルティエ2,750,000円115.4g23,830円/g最低1.54倍
8チェリーニ 6623(E番・ローマンインデックス)ロレックス2,750,000円115.3g23,851円/g最低1.54倍
9チェリーニタイム(ダイヤベゼル)ロレックス2,277,000円87.1g(ベルト込み)26,142円/g最低2.18倍
—L.U.C クアトロ 16/1863ショパール2,098,480円記載なし算出不能算出不能
200万〜300万円帯・総重量
ブルガリ ディアゴノ
145.5g

281.0万円 / 19,313円/g

オメガ コンステレーション
139g

288.0万円 / 20,719円/g

オメガ スピードマスター
132.6g

235.35万円 / 17,749円/g

カルティエ サントス ロンド
115.4g

275.0万円 / 23,830円/g

ロレックス チェリーニ6623
115.3g

275.0万円 / 23,851円/g

カルティエ パンテール
103.1g

231.0万円 / 22,405円/g

ロレックス チェリーニタイム
87.1g

227.7万円 / 26,142円/g

総重量は商品説明の記載値。ムーブメント・風防・文字盤・ベルトなど金でない部品を含むので、金そのものの重さではない。

🤖 Claudeの判定 同じ280万円で単価は1.35倍ちがう

金の量を最大化するならオメガ スピードマスター、ブランドを取るならロレックスかカルティエ。どちらも金の値段は下回らない。

  • 単価が最も安いのはオメガ スピードマスター ブロードアロー 17,749円/g。最も高いロレックス チェリーニタイム26,142円/gとは1.47倍の差
  • ロレックスの金無垢を300万円以内で買うなら、選べるのは廃番になったチェリーニだけである
  • ブルガリ ディアゴノは145.5gで全49件の最重量。ただし単価は19,313円/gでオメガに次ぐ2番手
くわしい根拠を読む ▾
第1版ではこの階層のブルガリ ディアゴノを「38.0gしかなく4.12倍で最下位」と書いていたが、これは私の抽出ミスで、商品説明の原文は「総重量:145.5g」だった。正しく取ると同じ階層の3位に上がる。パテック フィリップのカラトラバも「48.3g」と書いていたが、実際には商品説明に重量の記載が無く、私の正規表現が無関係な数字を拾っていた。順位が丸ごと入れ替わっている。詳細は第10章に記録した。

次の第7章では、そもそも「金無垢」とは何かを整理する。

「金無垢」とは何か — コンビ・ロレゾールとの違い

このセクションの3点

① 金無垢はケースの地の金属そのものがK18で、削っても内側まで金である。これだけが今回の対象。

② ロレックスはスチールと金の組み合わせを「ロレゾール(Rolesor)」という公式名称で呼び、1933年に商標登録している。いわゆるコンビで、金無垢ではない。

③ K18は金75%+割金25%と決まっている。純金は柔らかすぎて時計のケースにならないため、残り25%は硬さと色を作るために必ず入っている。

4つの言葉の違い

→ この図は横にスクロールできます

金無垢・ロレゾール・金張り・メッキの違い 金無垢(solid gold) ケースの地の金属そのものがK18 削っても内側まで金 この記事が数えたのはこれだけ ロレゾール(Rolesor) スチール+金の組み合わせ ロレックスの公式名称・1933年商標 いわゆるコンビ。今回は全部除外 金張り(GF) 下地の金属に金の板を圧着 厚いが、地は金ではない 金メッキ(GP) 数ミクロンの膜。擦れると剥げる 地金としての価値はほぼゼロ K18=金75%+割金25%。残り25%は硬さと色のために必ず入る

ロレゾールはロレックスの公式ページ(Watchmaking › Features › Materials › Rolesor)に独立ページがあり、1930年代に開発されたスチールとゴールドの組み合わせであること、名称が1933年に商標登録されたこと、ROLEXとフランス語で金を意味するorの造語であることが記載されている。

商品ページで金無垢を見分ける

✓

素材欄が「K18YG」「750」など、金の表記だけで完結している

750はK18の別表記で、千分率で金750/1000=75%を意味する

−

「SS/K18YG」「YG×SS」のようにスチールが併記されていない

併記されていたらコンビ。ロレックスの用語ではロレゾール

−

「金張り」「GF」「GP」「メッキ」の語が無い

金張りは金の板を圧着したもの、GPは数ミクロンのメッキ。地金価値はほぼ無い

✓

総重量(g)が書かれている

書かれていない商品が59本中10本あった。書かれていないと金の量を検算できない

✓

ベルトが金属ブレスか革か

金無垢のブレス付きは総重量が100gを超える。革ベルトは30〜90g程度に収まる

📎 なぜ重いものが「金に近い」のか

今回の各階層で上位を占めたのは、ほぼ全部が総重量70g以上のモデルだった。時計の値段はブランドと人気で決まるが、金の量は物理的に決まる。だから同じ価格帯なら、重い個体ほど総重量あたりの単価が下がる。今回の最重量はブルガリ ディアゴノ スクーバの145.5g、50万円以下の階層で最も軽いのはセイコー ドルチェの31.2gで、4.7倍の開きがある。ただし総重量には金でない部品が含まれるので、ブレス付きや大型ケースのモデルが有利に見えている点は割り引いて読む必要がある。そして重い個体でも、金の値段を下回るものは1つも無かった。

次の第8章では、ここまで出てきたモデルがいつ生まれ、いつ消えたのかを年表にする。

モデルの歴史 — いつ生まれ、いつ消えたか

このセクションの3点

① ロレックス チェリーニは2022年に5モデル中4つが廃番、2023年に最後のムーンフェイズも廃番になり、後継として「パーペチュアル1908」が登場した。今買えるのは中古だけである。

② デイデイトは1956年バーゼルで発表。公式サイトの表現は「日付に加えて曜日をフルスペル表示する唯一の時計」で、「世界初」という定型句は今回rolex.comでは確認できなかった。

③ クレドールは1974年創設。名前はフランス語のCRÊTE D'OR(黄金の頂き)が語源だと公式サイトに明記されている。

  1. 1

    1755年

    ヴァシュロン・コンスタンタン創業

    ジャン=マルク・ヴァシュロンがジュネーブで創業。いわゆる三大時計メーカーの最古。ただし「三大」という呼称は業界の公式認定ではなく、1970年代頃からの慣習的な通称である。
  2. 2

    1839年

    パテック フィリップ創業

    三大の2社目。今回300万円以内に入ったのはカラトラバ(2,860,000円・重量記載なし)とゴンドーロ 3553(2,599,600円)である。
  3. 3

    1868年

    IWC シャフハウゼン創業

    アメリカ・ボストン出身の時計師フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが、スイスのシャフハウゼンに創業。アメリカ式の量産技術とスイスの手仕事を組み合わせる構想だったと公式ジャーナルにある。今回、総重量あたりの価格が最も安かった462,000円の個体(49.2g・9,390円/g)はこのブランドのヴィンテージである。
  4. 4

    1875年

    オーデマ・ピゲ創業

    三大の3社目。今回は自動巻きCal.2121搭載機が1,045,000円で入った。
  5. 5

    1933年

    ロレックスが「ロレゾール」を商標登録

    スチールと金の組み合わせに与えられた公式名称。ROLEXとフランス語で金を意味するorの造語である。この記事が全部除外したのがこれにあたる。
  6. 6

    1956年

    ロレックス デイデイト発表

    スイス・バーゼルの見本市で発表。公式サイトには「日付に加えて曜日をフルスペル表示する唯一の時計」とある。曜日の表示言語は現行で26言語(ラテン・アラビア・キリル・ヘブライ・日本語・中国語・ゲエズ文字まで)。プレジデントブレスはこのとき同時に開発された。
  7. 7

    1960年

    グランドセイコー初代

    「世界に挑戦する国産最高級の実用時計」として発売。諏訪精工舎開発のCal.3180(手巻・25石)を搭載し、当時の大卒初任給の約2倍という価格だった。初代は1960〜1963年の3年間のみの生産。
  8. 8

    1968年前後

    ロレックス チェリーニのコレクション化

    チェリーニという名称は1928年から貴金属モデルに使われていたが、正式なコレクションとして体系化されたのは1960年代(1968年前後)とされる。ただしこれは専門メディアの記述で、ロレックス公式サイトでの単一の開始年の明記は今回確認できなかった。名前はイタリア・ルネサンス期の金細工師ベンヴェヌート・チェッリーニ(1500〜1571)に由来すると言われている。
  9. 9

    1973年

    カルティエ ヴァンドーム発表

    改訂版「ルイ・カルティエ」コレクションの一部として登場。カルティエ初の大量生産時計であり、初のクォーツ時計でもあった。名前はカルティエ本店が隣接するパリのヴァンドーム広場に由来するとされ、2本のラグは広場に通じる2本の通りを表すという説がある(専門メディアの記述で、公式の由来明記は未確認)。今回は599,990円で1本入ったが、総重量の記載がなく指標は出せなかった。
  10. 10

    1974年

    セイコー クレドール創設

    セイコーの貴金属素材による特選腕時計群がグループ化されて誕生。名前はフランス語のCRÊTE D'OR=黄金の頂きが語源であることが公式サイトに明記されている。今回は50万円台から137万円台まで5本が入った。
  11. 11

    2015年

    ロレックス デイデイト40(Ref.228238)

    短命に終わった「デイデイトII」の後継として登場。ロレックス公式サイトに希望小売価格 7,481,100円 が明記されている。300万円という予算では届かない。
  12. 12

    2022〜2023年

    チェリーニ廃番

    2022年に5モデル中4モデルが廃番、2023年に残るチェリーニ ムーンフェイズも廃番となり、同時に後継コレクション「パーペチュアル1908」が登場した。今回300万円以内に入ったロレックスの金無垢は、すべてこの廃番になったチェリーニである。
  13. 13

    2025年10月10日

    グランドセイコー SLGA027 / 028 / 030 発売

    新開発の9RA2スプリングドライブを積んだヘリテージコレクションの金無垢3モデル。ホワイトゴールドSLGA027が12,650,000円、イエローゴールドSLGA028とローズゴールドSLGA030が各11,000,000円(2026年7月6日改定後)。

📎 年号の確度について

この年表のうち、ブランド公式サイトで直接確認できたのは、デイデイトの1956年と26言語、ロレゾールの1933年商標、IWCの1868年と創業者名、クレドールの1974年とCRÊTE D'ORの語源である。チェリーニのコレクション開始年、プレジデントブレスの名前の由来(米大統領着用説)、ヴァンドームの由来、三大時計メーカーの呼称は、いずれも時計専門メディアの記述までしか確認できていない。Ref.1803の生産期間は資料が1958〜1978/1959〜1977/1960〜1977の3説に割れており、公式の明記が見つからなかったので年表には入れていない。

次の第9章では、ここまで全部中古だった理由を示す。新品では300万円で金無垢は買えない。

新品では300万円で買えない — 定価の壁

このセクションの3点

① 今回の59本はすべて中古である。新品現行の金無垢メンズで300万円以内のものは、確認できた範囲で1本も無かった。

② いちばん近いのがクレドール JURI(GBAR022)の3,300,000円。予算を30万円超える。

③ ロレックス デイデイト40は公式に7,481,100円、グランドセイコーの金無垢は11,000,000円〜12,650,000円。桁が違う。

ブランドモデル素材新品の定価300万円との差出典
クレドールJURI(GBAR022・8J81)18KYG無垢3,300,000円+30万円クレドール公式 現行ラインナップ
ロレックスデイデイト40(Ref.228238)18ct イエローゴールド無垢7,481,100円+448万円rolex.com 本体ページに価格明記
グランドセイコーヘリテージ SLGA028(YG)18Kイエローゴールド無垢11,000,000円+800万円セイコー公式(2026年7月6日改定後)
グランドセイコーヘリテージ SLGA030(RG)18Kローズゴールド無垢11,000,000円+800万円同上
グランドセイコーヘリテージ SLGA027(WG)18Kホワイトゴールド無垢12,650,000円+965万円同上

330万円

新品で最も近いクレドールJURI

748万円

ロレックス デイデイト40の公式定価

1,100万円

グランドセイコー金無垢の最安

0本

新品300万円以内の金無垢メンズ

🚫 300万円で新品の金無垢を探すときに踏む罠

・「グランドセイコーの金無垢は300万〜500万円」という説明を見かけることがあるが、現行のSLGA027/028/030は1,100万〜1,265万円である。桁が1つ違う

・「SBGE248」のようなモデルは素材が SS+K18YGベゼル のコンビで、金無垢ではない。金無垢を探しているなら対象外になる

・ロレックスの金無垢は新品では748万円から。300万円で買えるロレックスの金無垢は、廃番になったチェリーニの中古だけである

・クレドールの金無垢メンズは現行のJURIが330万円。ペアの女性側GTAS022は2,585,000円だが縦29.0×横25.1mmでメンズのサイズではない

📎 だから中古を見る

この記事が365件を集めて59本に絞ったのは、300万円という予算では中古しか選択肢が無いからである。そして中古市場では、金の量と値段の関係がブランドごとにばらばらになる。そのばらつきこそが、金の値段を物差しに使ったときに見えてくるものである。新品の定価はブランドが決めるが、中古の値段は市場が決める。市場は金の重さを正確には見ていない。

最後の第10章では、この調査で分かった店ごとの価格差と、私が確認できなかったことを全部書く。

この調査の限界と、私の誤り

このセクションの3点

① この記事は一度公開したあと、依頼者に「g数に関して絶対にあなたが間違っています。金より安くなんてありえません」と指摘されて全面的に計算し直した。指摘は正しかった。

② 誤りは3つ。①総重量を丸ごと金として計算した ②それを直そうとして非金部品を当てずっぽうで差し引いた ③正規表現が無関係な数字を重量として拾っていた。

③ ③のせいで順位が丸ごと入れ替わった。ブルガリ ディアゴノは「38.0gで最下位」と書いていたが、実際の記載は145.5gで、正しく取ると同じ階層の3位に上がる。

私が3回間違えた計算

→ この図は横にスクロールできます

私が最初にやった計算と、その誤り 誤り 「総重量:(ベルト含む)49.2g」を丸ごと金として計算 49.2g × 0.75 × 23,941円 = 883,423円 を「入っている金」とした → 462,000円 ÷ 883,423円 = 0.52倍。金より安い、という有り得ない結論 49.2g の中身(金ではない部品) ムーブメント 革ベルト 風防・文字盤 K18のケース(ここだけが金) 直したあと 金でない部品を最小限だけ差し引く 462,000円 ÷ 金の上限価値 = 最低でも1.27倍 結論 49件すべてが金の値段より高い。1.0倍を切るものは1つも無い 最低でも1.09倍、最も高いもので8.40倍

最初の版では総重量を丸ごと金として計算し、「金より安い時計が実在する」という有り得ない結論を出した。依頼者の指摘で全面的にやり直している。

誤り① 総重量を丸ごと金として計算した(第1版)

商品説明の原文は 「総重量:(ベルト含む)49.2g」 だった。この49.2gには革ベルト・尾錠・ムーブメント・風防・文字盤・針が全部含まれている。私はこれを丸ごと ×0.75 して「入っている金」とした。結果、462,000円のIWCに883,423円ぶんの金が入っていることになり、倍率0.52倍という数字が出た。金より安く時計が買えるなら精錬業者が買い占めて溶かすので、そんな市場は成立しない。数字が出た時点で計算を疑うべきだった。
さらに悪いのは、第2章に「総重量には金でない部品が含まれる」という注記を自分で書いていたことである。注記を書きながら、その注記を無視した数字で順位を付けて公開した。免責を書いて間違った順位を出すくらいなら、最初から計算すべきではなかった。

誤り② 推定を推定で補正しようとした(第2版)

次に「自動巻は25g、革ベルトは15g」と当てずっぽうで差し引いた。すると34mmのIWCのK18ケースが4.2gという物理的にあり得ない値になった。K18のケースは同サイズなら20g前後ある。推定を推定で補正しても精度は上がらない。そこで金の量を当てにいくのをやめ、円/g(推定ゼロ)と倍率の下限(安全側の推定)の2つに切り替えた。

誤り③ 正規表現が無関係な数字を拾っていた

最初の抽出は「総重量」というラベルを省略可にしていたため、商品説明のどこかにある数字+gを重量として拾っていた。49件を実際の商品説明と照合したところ、7件が誤りだった。
モデル私が使っていた値商品説明の実際の記載順位への影響
ブルガリ ディアゴノ スクーバ38.0g総重量:145.5g300万円帯で最下位 → 3位
ブルガリブルガリ ローマ 限定130本39.0g総重量:76.7g200万円帯の最下位 → 8位
パテック フィリップ カラトラバ48.3g記載なし(本文にg表記が1つも無い)3.30倍と書いた → 算出不能
カルティエ サントス ロンドMM78.0g総重量:115.4g1.96倍と書いた → 最低1.54倍
オメガ スピードマスター ブロードアロー132.6g総重量:ベルト含む132.6g値は正しかった

📎 なぜ気づけなかったか

私は自分の出した数字の妥当性を、外の常識と突き合わせていなかった。「金より安い時計が4件ある」という出力を見て、注記を足すことで処理してしまった。依頼者は数字を1つも計算せずに「ありえません」と言い当てている。金無垢の時計が地金割れするなら業者が全部買う、という市場の理屈だけで分かることだった。機械検証はこの種の誤りを検出しない。verify-article.mjs は全項目PASSのまま公開されている。

この版でも確認できていないこと

⚖️

金の正確な量は今も分からない

原理的な限界

商品説明に書かれているのは総重量だけで、金の部分だけの重量は書かれていない。だからこの記事が出せるのは「最低○倍」という下限値までである。実際の倍率は必ずこれより高い。
📏

10件は重量が非記載

指標を出せなかった

最安のクレドール104,800円、ロレックス チェリーニ4133/8の894,800円、カルティエ ヴァンドームLMの599,990円、ショパール L.U.C の2,098,480円などが該当する。推測で埋めることはしていない。
🏪

楽天市場しか見ていない

販路の偏り

ジャックロード・宝石広場・コミット銀座といった中古時計専門店の在庫は入っていない。別調査でジャックロードにデイデイトRef.1803が2,180,000円からあることは確認したが、重量は取れていない。
📅

年代を特定できなかったモデル

断定していない

ロレックス チェリーニのRef.4133 / 3833 / 4087の年代、セイコー ドルチェの発売年とSACM014の年代、クレドール9572-6010の年代は、公式・専門メディアのどちらでも確認できなかった。

同じ仕様が2店で5万円ちがう(この発見は第1版のまま有効)

モデル安いほうの店高いほうの店差額
オメガ デヴィル 75.4g東京ぶらんど 1,100,000円東京ぶらんど時計館 1,150,000円50,000円
ブランパン ヴィルレ 98.6g東京ぶらんど 1,523,000円東京ぶらんど時計館 1,573,000円50,000円
クレドール レトログラード 86.7g東京ぶらんど 1,375,000円東京ぶらんど時計館 1,425,000円50,000円
オメガ スピードマスター 132.6g東京ぶらんど 2,353,500円東京ぶらんど時計館 2,403,500円50,000円
ブルガリ ディアゴノ 145.5g東京ぶらんど 2,810,000円東京ぶらんど時計館 2,860,000円50,000円
セイコー ドルチェ 31.2g東京ぶらんど 460,000円東京ぶらんど時計館 495,000円35,000円
重複ペアは18組あり、15組がちょうど50,000円差、1組が35,000円差、2組が同額だった。ブランドも価格帯も素材もばらばらなのに差額がここまで揃うので、個体の状態差ではなく店ごとの値付けの規則と考えるのが自然である。ただし同一個体の二重掲載なのか同仕様の別個体なのかは確認していない。買うときは個体写真とシリアルで確かめること。

収集したデータと3回の誤りの記録は data/kinmuku/ に置いてある。金相場が動いたら指標だけ計算し直せる。