ETF Analysis
1622 NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信
構成銘柄 2026年7月31日 現在 / 価格・信託報酬は nextfunds.jp 公式、銘柄の指標は Yahoo Finance 実測
50社
構成銘柄数
4.07社
実質的な分散銘柄数
77.6%
上位6社の比率
12.59倍
加重平均PER
結論 — 3つの問いに答える
Q. 分散は効いているか
❌ 効いていない。50銘柄あるが、実質4.07社
保有しているのは50社。しかしトヨタ自動車1社だけで47.10%を占める。上位3社(トヨタ・ホンダ・ブリヂストン)で63.38%、上位10社で86.75%。ハーフィンダール指数(各銘柄の比率を2乗して合計する指標)は2,457.8で、分散銘柄数に換算すると実質4.07社ぶんしかない。同じシリーズの商社ETF(1629)が実質7.52社、日経半導体ETF(200A)が実質8.11社なので、あなたが持っている3本のETFの中でこれが最も集中している。1口35,090円のうち、16,527円はトヨタ株を持っているのと同じことになる。
Q. 自動車として投資するのは適正か
⚠️ 適正。純度は100%。ただし買っているのは実質トヨタ
JPXの全上場銘柄データと突き合わせたところ、50社すべてが東証33業種の「輸送用機器」(40社・89.56%)か「ゴム製品」(10社・10.21%)だった。他業種の混入はゼロ。TOPIX-17の「自動車・輸送機」はこの2業種を統合した区分なので、定義どおりの中身になっている。ただし「自動車」だけではない点は知っておくべきで、川崎重工業(造船・航空・鉄道/3.40%)、シマノ(自転車部品/2.63%)、名村造船所(0.42%)、新明和工業(特装車・航空機/0.18%)、モリタホールディングス(消防車/0.12%)、日本車輌製造(鉄道車両/0.04%)が入る。これが「輸送機」の部分。そして最大の問題は分類ではなく比率で、トヨタの個別株を買うのとこのETFを買うのは、値動きの半分が同じになる。
Q. PERや業界の将来から見て、今買って問題ないか
⚠️ 割安に見える。ただしその割安はトヨタ1社が作っている
構成銘柄の加重平均PERは12.59倍、PBRは1.02倍、配当利回りは3.32%。日本株全体と比べて明確に安い水準で、当ラボの株価水準判定でも自動車は「割安圏」。ところがトヨタ(PER8.48倍・比率47.1%)を除いて計算すると加重PERは17.26倍まで跳ね上がる。つまり「自動車ETFのPERが12.6倍」を見ているつもりで、実際にはトヨタのPERを見ている。PBR1.02倍は解散価値ぎりぎりで、ホンダに至っては0.53倍。市場が「この産業の資産は今後たいして利益を生まない」と評価している状態であり、割安には理由がある。当ラボの10年後判定も「曇り」。買う根拠を「PERが安いから」に置くのは誤りで、置くなら「トヨタがソフトウェアと電池の時代を生き残る」に置くべき。ただしその賭けなら、信託報酬0.352%を払わずにトヨタを直接買うほうが筋が通る。
① 分散はどこまで効いているか
比率の上から順に足していくと、どこで頭打ちになるか。ここが「分散しているつもり」を壊す数字。
| 上位何社まで | 累計比率 | 意味 |
|---|---|---|
| 1社(トヨタ自動車) | 47.1% | 1社でほぼ半分。ETFの値動きの半分はトヨタ1社で決まる |
| 3社 | 63.38% | トヨタ・ホンダ・ブリヂストンで3分の2を占める |
| 6社 | 77.6% | 上位6社(+デンソー・スズキ・川崎重工)でほぼ決まる |
| 10社 | 86.75% | ここから先の40社は、全部合わせても13% |
| 下位12社(0.1%未満) | 合計0.67% | 50社のうち12社は0.1%未満で、合計しても0.67% |
ハーフィンダール指数 = 2457.8 → 実質 4.07 社
各銘柄の比率を2乗して合計した値(HHI)で集中度を測る。均等に50社へ分散していればHHIは200程度になるが、実際は2457.8。 10,000をHHIで割ると「実質的に何社に分散しているか」が出て、答えは4.07社。 銘柄数126という表示は、分散の実態を表していない。
② 中身は本当に「自動車」なのか
構成50社をJPXの全上場銘柄データ(data_j.xls)と突き合わせ、東証33業種で分類し直した結果。
東証33業種での内訳
輸送用機器とゴム製品だけ。他業種の混入はゼロで、分類上の純度は100%。
企業規模での内訳(TOPIX規模区分)
Core30が56.6%。トヨタ・ホンダ・デンソーといった超大型で過半が決まる。
トヨタ自動車 1社 = 47.1%
トヨタ1社で47.10%。ホンダ9.48%・ブリヂストン6.80%・デンソー6.03%・スズキ4.79%と続き、上位5社で74.2%。残り45社で25.6%。
なぜ造船・自転車・コンドームの会社が入っているのか
この区分の条件は「自動車であること」ではなく「東証33業種で輸送用機器またはゴム製品に分類されていること」。船・鉄道車両・航空機・自転車はすべて輸送用機器で、タイヤ以外のゴム製品もまとめて入る。
船・航空機・鉄道車両・産業機械の会社。自動車ETFの6番目に大きい構成銘柄。PER20.8倍・PBR2.54倍で、このETFの中では最も高く評価されている。防衛と水素で買われており、車とは別の理由で動く。
自転車の変速機で世界シェア8割。「輸送用機器」に分類されるため入っている。自動車の景気とはほぼ無関係に動く。
ゴム製品として3番目の比率。タイヤは新車販売より交換需要(既に走っている車の本数)で決まるので、自動車メーカーより景気の影響が小さい。PER21.9倍と、このETFの中では高い部類。
コンドームと手袋のメーカー。ゴム製品なのでこの区分に入る。自動車ETFに入っている理由は業種分類だけ。
2026年に新規上場した銘柄。TOPIX-17は新規上場を取り込むため、こうした新顔が自動的に組み入れられる。
造船。中国・韓国との価格競争で長く苦しんだ業種だが、環境規制対応の新造船需要で復調している。車とは需要の源がまったく違う。
③ 割高か割安か、そして将来
12.59倍
加重平均PER
1.02倍
加重平均PBR
3.32%
構成銘柄の加重配当利回り
指標を取得できた構成比88.47%ぶんで計算(比率の小さい銘柄は未取得)。
業界の将来(10年後の視点)
車は2040年も売れている。変わるのは利益の出どころで、エンジンという参入障壁が消えると、価値はソフトウェアと電池に移る。トヨタは全方位戦略と規模で残る可能性が高いが、エンジン部品に依存する会社は市場そのものが消える。このETFは勝ち組と負け組を同時に持つので、勝ち組の伸びを負け組が打ち消しやすい形になる。加えて構成の47%がトヨタなので、実質的には「トヨタが生き残るか」への賭けであり、業界全体への分散投資にはなっていない。純資産47.5億円と小さく、売買が薄い日は値が飛びやすい点も、長期で持つ前提なら許容範囲だが、まとまった額を一度に売買する場合は注意が要る。
🔍 未確定として残しているもの
構成銘柄の加重平均配当利回りは3.32%だが、ETFの分配金利回りは公式ページで1.65%と表示されている。差の一因は信託報酬0.352%と分配のタイミングだが、それだけで1.7ポイントの差は説明しきれない。運用報告書を見れば確定できるので、現時点では未確定として扱う。
この判断が壊れる条件
- トヨタに固有の問題(大型リコール・認証不正の再発など)が起きる → 単独で47.1%あるため、ETF全体が1社の事情で動く
- 米国の関税が引き上げられる → 上位5社すべてが対米輸出に依存しており、同時に効く
- 円高に振れる → 自動車は為替の影響が最も大きい業種のひとつ。1台あたりの利益が薄いため、円高は利益を直撃する
- 中国メーカーの価格攻勢が新興国市場で決定的になる → スズキ(インド)・三菱自動車(東南アジア)から先に効く
構成銘柄 全50社
| # | 銘柄 | 比率 | 規模区分 | PER |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 7203 トヨタ自動車 | 47.1% | TOPIX Core30 | 8.5 |
| 2 | 7267 本田技研工業 | 9.48% | TOPIX Core30 | — |
| 3 | 5108 ブリヂストン | 6.8% | TOPIX Large70 | 21.9 |
| 4 | 6902 デンソー | 6.03% | TOPIX Large70 | 11.9 |
| 5 | 7269 スズキ | 4.79% | TOPIX Large70 | 8.9 |
| 6 | 7012 川崎重工業 | 3.4% | TOPIX Mid400 | 20.8 |
| 7 | 7309 シマノ | 2.63% | TOPIX Large70 | 30.3 |
| 8 | 7270 SUBARU | 2.5% | TOPIX Large70 | 20.8 |
| 9 | 7272 ヤマハ発動機 | 2.08% | TOPIX Mid400 | 8.6 |
| 10 | 7202 いすゞ自動車 | 1.94% | TOPIX Mid400 | 12.0 |
| 11 | 7259 アイシン | 1.7% | TOPIX Mid400 | 16.3 |
| 12 | 7201 日産自動車 | 1.61% | TOPIX Mid400 | — |
| 13 | 7261 マツダ | 1.22% | TOPIX Mid400 | 21.2 |
| 14 | 5101 横浜ゴム | 1.2% | TOPIX Mid400 | 11.2 |
| 15 | 5105 TOYO TIRE | 0.92% | TOPIX Mid400 | 9.7 |
| 16 | 5110 住友ゴム工業 | 0.63% | TOPIX Mid400 | 10.2 |
| 17 | 7282 豊田合成 | 0.54% | TOPIX Mid400 | 10.5 |
| 18 | 7211 三菱自動車工業 | 0.44% | TOPIX Mid400 | 46.9 |
| 19 | 7014 名村造船所 | 0.42% | TOPIX Small 1 | 14.0 |
| 20 | 7240 NOK | 0.35% | TOPIX Mid400 | 10.8 |
⚠️ 投資助言ではありません
構成銘柄は2026年7月31日時点の公表データ、指標はYahoo Financeの実測値をもとにした個人の分析です。 ETFの構成は入れ替わり、指標は日々変わります。売買は自己判断で行ってください。