ETF Analysis
1629 NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信
構成銘柄 2026年7月31日 現在 / 価格・信託報酬は nextfunds.jp 公式、銘柄の指標は Yahoo Finance 実測
126社
構成銘柄数
7.52社
実質的な分散銘柄数
81.57%
上位6社の比率
18.16倍
加重平均PER
結論 — 3つの問いに答える
Q. 分散は効いているか
⚠️ 効いていない。126銘柄あるが、実質7.5社
銘柄数だけ見ると126社で分散しているように見える。しかし比率を見ると、上位6社で81.6%、上位3社だけで57.0%を占める。集中度を測るハーフィンダール指数(各銘柄の比率を2乗して合計する指標)は1,329.7で、これを分散銘柄数に換算すると実質7.52社ぶんしかない。つまり「126社に分散したETF」ではなく、「総合商社6社を持ち、おまけが120社ついてくるETF」と理解するのが正しい。実際、比率0.1%未満の銘柄が71社あるが、その71社を合計しても3.15%にしかならず、値動きにはほぼ影響しない。
Q. 商社として投資するのは適正か
✅ 適正。むしろ純度は高い
JPXの全上場銘柄データと突き合わせたところ、構成126社すべてが東証33業種の「卸売業」に分類されていた。他業種の混入はゼロ。さらに総合商社7社で82.9%を占めるため、「商社を買う」という目的に対して中身はほぼ一致している。むしろ問題は逆で、純度が高すぎて三菱商事1社に22.2%が乗っている点。三菱商事の個別株を買うのと、このETFを買うのは、値動きの2割が同じ動きになる。分散のつもりで買うと、実際には商社6社への集中投資になる。
Q. PERや業界の将来から見て、今買って問題ないか
✅ 割高ではない。ただし買う理由が「割安」なら誤り
構成銘柄の加重平均PERは18.16倍、PBRは2.03倍、配当利回りは2.39%(数値を取得できた91.1%ぶんで計算)。日本株全体と比べて極端に高くも安くもない水準。ただしこの18倍という数字は、上位6社(PER18.12倍)でほぼ決まっており、下位120社は数字にほとんど寄与していない。つまり「商社ETFのPER」を見ているつもりで、実際には三菱商事・三井物産・伊藤忠のPERを見ている。買う判断の根拠は、指標の割安さではなく「商社という業態が今後も機能するか」に置くべき。
① 分散はどこまで効いているか
比率の上から順に足していくと、どこで頭打ちになるか。ここが「分散しているつもり」を壊す数字。
| 上位何社まで | 累計比率 | 意味 |
|---|---|---|
| 1社(三菱商事) | 22.18% | 1社で5分の1以上。ETFの値動きの2割はこの会社 |
| 3社 | 57% | 三菱・三井・伊藤忠で過半数を超える |
| 6社 | 81.57% | 大手総合商社6社でほぼ決まる |
| 10社 | 86.64% | ここから先は足してもほとんど動かない |
| 下位71社(0.1%未満) | 合計3.15% | 126社のうち71社は、全部合わせても3%台 |
ハーフィンダール指数 = 1329.7 → 実質 7.52 社
各銘柄の比率を2乗して合計した値(HHI)で集中度を測る。均等に126社へ分散していればHHIは79程度になるが、実際は1329.7。 10,000をHHIで割ると「実質的に何社に分散しているか」が出て、答えは7.52社。 銘柄数126という表示は、分散の実態を表していない。
② 中身は本当に「商社」なのか
構成126社をJPXの全上場銘柄データ(data_j.xls)と突き合わせ、東証33業種で分類し直した結果。
東証33業種での内訳
他業種の混入はゼロ。分類上の純度は100%。
企業規模での内訳(TOPIX規模区分)
Core30(超大型30社)だけで過半。中小型は実質的な影響力を持たない。
総合商社7社 = 82.88%
三菱商事・三井物産・伊藤忠・丸紅・住友商事・豊田通商・双日の7社だけで全体の82.9%を占める。残り119社で17.1%。
なぜ喫茶店やキャラクター会社が入っているのか
このETFに入る条件は「商社であること」ではなく「東証33業種で卸売業に分類されていること」。フランチャイズ本部は加盟店へ材料や商品を卸すのが主業なので、外食チェーンでも卸売業になる。
キャラクターのライセンスと商品卸が主業のため、東証33業種では「卸売業」。総合商社を除けば最大の構成銘柄で、PER32.5倍・PBR11.3倍とこのETFの中で突出して評価が高い。
機械部品の通販・流通。製造業に見えるが分類は卸売業。PER24.8倍。
喫茶店チェーンだが、収益の柱が加盟店への材料・資材の卸売なので「卸売業」。飲食チェーンが商社ETFに入る理由はここにある。
コメダと同じ理由。フランチャイズ本部は加盟店への卸売業として分類される。
カー用品店だが、こちらもFC加盟店への商品供給が主のため卸売業。PER14.4倍・配当3.98%と、ETF内では高配当の部類。
業務スーパーの運営会社。小売に見えるが、加盟店への食品卸が本体。PBR3.66倍と成長株として評価されている。
③ 割高か割安か、そして将来
18.16倍
加重平均PER
2.03倍
加重平均PBR
2.39%
構成銘柄の加重配当利回り
指標を取得できた構成比91.13%ぶんで計算(比率の小さい銘柄は未取得)。
業界の将来(10年後の視点)
総合商社は「儲かる事業を買い、儲からなくなったら売る」投資会社型の業態なので、時代が変わっても形が残りやすい。国内人口の減少が直撃しない点でも、日本株の中では守りやすい位置にいる。一方で10年後の焦点は、脱炭素で価値が落ちる化石燃料権益をどこまで手放し、再生可能エネルギー・食料・データセンターへ入れ替えられたか。この入れ替えは各社の経営判断で差がつくため、ETFで7社まとめて持つことは「どの商社が正解か分からない」に対する合理的な答えになる。ただし資源価格が下がる局面では7社が同時に下がるので、下落を和らげる効果は期待できない。
🔍 未確定として残しているもの
構成銘柄の加重平均配当利回りは2.39%だが、ETF自体の分配金利回りは公式ページで0.89%と表示されている(直近分配 2026年7月15日・240円)。この差は分配が年1回であることや、基準価額の上昇、信託報酬0.352%などで説明できる可能性があるが、現時点では確認できていない。運用報告書の分配金実績を見れば確定できるので、そこは未確定として扱う。
この判断が壊れる条件
- 資源価格(鉄鉱石・原油・LNG・銅)が大きく下落する → 上位6社が同時に下がる。ETFの中で逃げ場が無い
- 円高に振れる → 商社の利益は海外事業と外貨建て権益が中心なので、円換算で目減りする
- 三菱商事に固有の問題(大型減損など)が起きる → 単独で22.2%あるため、ETF全体が1社の事情で動く
- 脱炭素の規制が想定より速く進む → 化石燃料権益の減損が複数社で同時に起きる可能性がある
構成銘柄 全126社
| # | 銘柄 | 比率 | 規模区分 | PER |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 8058 三菱商事 | 22.18% | TOPIX Core30 | 23.1 |
| 2 | 8031 三井物産 | 17.7% | TOPIX Core30 | 16.8 |
| 3 | 8001 伊藤忠商事 | 17.12% | TOPIX Core30 | 16.3 |
| 4 | 8002 丸紅 | 10.04% | TOPIX Large70 | 15.0 |
| 5 | 8053 住友商事 | 9.99% | TOPIX Large70 | 14.3 |
| 6 | 8015 豊田通商 | 4.54% | TOPIX Large70 | 21.0 |
| 7 | 8136 サンリオ | 1.6% | TOPIX Mid400 | 32.5 |
| 8 | 9962 ミスミグループ本社 | 1.38% | TOPIX Mid400 | 24.8 |
| 9 | 2768 双日 | 1.31% | TOPIX Mid400 | 11.5 |
| 10 | 7459 メディパルホールディングス | 0.78% | TOPIX Mid400 | 13.6 |
| 11 | 3132 マクニカホールディングス | 0.58% | TOPIX Mid400 | 23.1 |
| 12 | 2784 アルフレッサ ホールディングス | 0.56% | TOPIX Mid400 | 9.6 |
| 13 | 3038 神戸物産 | 0.54% | TOPIX Mid400 | 18.6 |
| 14 | 8088 岩谷産業 | 0.52% | TOPIX Mid400 | 10.7 |
| 15 | 8012 長瀬産業 | 0.49% | TOPIX Mid400 | 15.9 |
| 16 | 8020 兼松 | 0.44% | TOPIX Mid400 | 11.3 |
| 17 | 8060 キヤノンマーケティングジャパン | 0.43% | TOPIX Mid400 | — |
| 18 | 9987 スズケン | 0.43% | TOPIX Mid400 | 8.9 |
| 19 | 9934 因幡電機産業 | 0.38% | TOPIX Mid400 | — |
| 20 | 8078 阪和興業 | 0.36% | TOPIX Small 1 | 9.2 |
⚠️ 投資助言ではありません
構成銘柄は2026年7月31日時点の公表データ、指標はYahoo Financeの実測値をもとにした個人の分析です。 ETFの構成は入れ替わり、指標は日々変わります。売買は自己判断で行ってください。