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決算速報 1ドル株 2026年8月10日(米国時間) 発表 / 2026年12月期 第2四半期(4〜6月)

GPRO GoPro, Inc.

NASDAQ(米国)

2026年8月10日、GoProが第2四半期の決算を発表した。売上は前年同期比31%減の1億493万ドル。だがこの決算の本質は減収ではない。同時に提出された10-Qに「継続企業の前提に重要な疑義」が明記され、7月21日にはナスダックから上場基準の不適合通知を受けていたことが分かった。株価は0.70ドル。この銘柄はもはや「カメラ会社の成長に賭ける株」ではなく、「会社が売れるかどうかに賭けるイベント株」に変わっている。

$0.7002

株価(前日比 -3.53%)

1億2,113万ドル

時価総額

−31.3%

Q2売上(前年同期比)

PER —

赤字のため算出不可

52週安値 $0.59 今ここ:レンジの4% 52週高値 $3.05

1年で高値$3.05から$0.59まで。ほぼ安値圏に張り付いている。

この決算の要点は3つ

📉

ハードが崩れ、サブスクだけが伸びた

カメラ本体の売上は39.9%減。一方サブスクは10.6%増で、売上に占める比率は17%→28%へ。会社の形が変わりつつある。

🔴

継続企業の前提に重要な疑義

10-Qに「going concern に substantial doubt がある」と明記。会社自身が1年以内の存続に疑いがあると開示した状態。

⚠️

ナスダックの上場基準を割った

7月21日に上場規則5450(a)(1)の不適合通知。株価が30営業日連続で1ドル未満。180日の猶予期間中で、株式併合の可能性にも言及。

① Q2の数字(前年同期比)

SEC提出の決算プレスリリース原本(EX-99.1)の数値をそのまま使用。

項目2026年Q22025年Q2増減率
ハードウェア売上$76M$126.4M-39.9%
サブスク・サービス売上$29M$26.2M+10.6%
売上高 合計$104.9M$152.6M-31.3%
営業損失(GAAP)−$39M−$14M178.3%
最終損失(GAAP)−$51M−$16.4M210.6%
調整後EBITDA−$29.5M−$5.7M418.4%
売上総利益率(GAAP)30.2%35.8%−560bp
売上総利益率(非GAAP)30.4%36.0%−560bp
1株当たり損失(GAAP)−$0.30−$0.10損失が3倍
カメラ販売台数(実売)約29.1万台約47万台−38%

粗利率30.2%は実力より良く見えている

この四半期の売上総利益には、関税の還付による1,900万ドルの押し上げが含まれる。一方で部品の購入契約に関する1,500万ドルの費用計上もある。 どちらも一時的な要因なので、通常の商売としての粗利率はこの数字より低いとみるのが妥当。

② 何が起きているのか — 会社の形が変わっている

「31%減収」の一言でまとめると見落とす。中身はハードの崩落と、サブスクの伸長が同時に起きている

小売チャネル(家電量販店など)

−48%

5,800万ドル(全体の56%)

GoPro.com(自社直販・サブスク含む)

+13%

4,700万ドル(全体の44%)

サブスクだけが伸びている

2,898万ドル

サブスク売上 +10.6%

69%

アタッチ率(過去最高)

28%

売上に占める比率(前年17%)

アタッチ率69%とは、カメラを買った人の約7割がサブスクにも入っているということ。ブランドと体験そのものは、まだ機能している。 ARPU(1契約あたりの単価)も前年比+9%。このうち200万ドルは新設のAIコンテンツ・ライセンス事業によるもの。 ユーザーが撮った映像をAIの学習用に売るという、工場も在庫も要らない収益源が立ち上がっているのは、この決算で唯一の新しい話。

③ 体力は残っているか

ここが今回の決算で最も重要な部分。損益より現金を見る。

項目金額見るべき点
現金及び現金同等物2,726万ドル2025年12月末の4,967万ドルから半年で45%減
売掛金6,037万ドル2025年末9,351万ドルから減少(売上減に連動)
在庫8,675万ドル2025年末7,843万ドルから増加。売上が減る中で在庫は増えている
借入(2025年ターム・ローン)4,900万ドル財務制限条項に抵触すると期限の利益を喪失する条項あり
転換社債(ヨークビル)最大5,000万ドル2026年2月27日にYA II PN社と契約。株式に転換されるため既存株主は希薄化する
6ヶ月間の純損失1億3,183万ドル前年同期は6,313万ドル。のれん減損1,860万ドルを含む

現金2,726万ドル / 四半期の調整後EBITDA −2,950万ドル

単純に割ると、手元現金は1四半期ぶんの燃焼額を下回っている。実際には売掛金の回収や在庫の圧縮、借入・増資で時間を稼げるため即座に尽きるわけではないが、 「あと何四半期もつか」を数える段階に入っていることは数字がそのまま示している。

④ 決算より重い3つの事実

いずれもプレスリリースの見出しには出てこないが、同時に提出された10-Qに書かれている。株価を決めるのはこちら。

🔴 継続企業の前提に重要な疑義(going concern)

10-Qの注記に、財務諸表の発行日から1年以内に事業を継続する能力について「重要な疑義(substantial doubt)」を生じさせる状況があると記載されている。これは監査上の最も重い警告のひとつで、会社自身が存続の不確実性を認めたことを意味する。会社は対応として、取締役会の承認のもと外部アドバイザーを起用し、①事業の売却または合併を含む戦略的選択肢の評価、②既存技術を活かした防衛・航空宇宙分野への展開、③非中核資産の売却、を進めていると開示している。

🔴 ナスダックの上場維持基準に不適合

2026年7月21日、ナスダックから上場規則5450(a)(1)への不適合通知を受領。株価が30営業日連続で1ドルを下回ったため。180日の猶予期間があり、その間に10営業日連続で1ドル以上を回復する必要がある。達成できない場合、追加の180日が与えられる可能性はあるが、その際は株式併合(リバース・スプリット)で見かけの株価を上げる手段に言及している。現時点で取引に即時の影響はない。

🔴 転換社債による希薄化が現在進行中

2026年8月3日と4日に、転換にともなって1,185,888株と1,467,783株がそれぞれ新規に発行されている。転換社債は株価が下がるほど多くの株式に転換される設計が一般的で、株価下落と希薄化が互いを加速させる。現在の時価総額1億2,113万ドルに対し、転換枠が最大5,000万ドルある点は無視できない。

⑤ 強気の材料と弱気の材料

強気の材料

  • サブスクは10.6%増で、売上比率が17%→28%へ上昇。粗利率の高い収益が残り続ければ、規模が縮んでも収支が合う可能性がある
  • アタッチ率69%は過去最高。カメラを買った人の7割がサブスクに入っている=ブランドと体験は依然として機能している
  • GoPro.comの直販は+13%と増加。中間業者を外した分だけ利益率は高い
  • AIコンテンツ・ライセンスで200万ドル。ユーザーが撮った映像をAI学習用に売るという、在庫も工場も要らない新しい収益源
  • 取締役会が会社売却を含む戦略的選択肢を評価中。買い手がつけば、現在の株価に対してプレミアムがつく可能性がある
  • AGVと共同開発中のバイク用ヘルメットがECE 22.06認証を取得。ハード以外の展開が実際に前進している

弱気の材料

  • カメラ販売台数が38%減。ブランドが好きな人が減っているのではなく、そもそも売れる台数が減っている
  • 調整後EBITDAが四半期で−2,950万ドル。手元現金2,726万ドルに対し、単純計算では1四半期ぶんの体力しかない
  • 売上が31%減る中で在庫は増えている。売れ残りが積み上がると、将来の評価損につながりやすい
  • 借入4,900万ドルに財務制限条項があり、抵触すればクロスデフォルトの連鎖リスクがある
  • 粗利率30.2%は関税還付1,900万ドルの押し上げを含む。これは一時的な要因で、実力はさらに低い
  • 「防衛・航空宇宙への展開」は現時点で計画であり、売上として計上されているものではない

⑥ これは何に賭ける株なのか

業績の回復に賭ける株ではない。売上は3割減り、台数は4割近く減り、会社自身が存続に疑義があると開示している。それでも株価がゼロにならないのは、①ブランドに買い手がつく可能性、②サブスクという高粗利の塊が残っている、という2点に期待が乗っているから。つまり、この銘柄を持つということは「四半期の業績」ではなく「売却交渉の結果」に賭けることを意味する。買い手がつけばプレミアムが乗り、つかなければ希薄化と資金枯渇が進む。中間の結末が少なく、上と下の振れ幅が極端に大きい。分散投資の一部として持つ対象ではなく、失っても構わない金額でイベントの結果を待つ性質の株。

次の決算で、この5行だけ見ればいい

  1. 1

    180日の猶予期間内に株価が1ドルを回復するか。しなければ株式併合で見かけを整える可能性が高い

  2. 2

    次の四半期で現金がいくら残るか。2,726万ドルからどれだけ減ったかが最も重要な1行

  3. 3

    サブスク売上が2,900万ドル台を維持できるか。ハードが売れなければ新規のサブスク加入も細る

  4. 4

    売却プロセスに具体的な進展(意向表明・入札・契約)が開示されるか

  5. 5

    在庫8,675万ドルが減っているか。増え続けるなら評価損が近い

出典(すべて一次情報)

株価・時価総額・52週レンジは Yahoo Finance 実測(2026-08-11 時点)。決算数値はSEC提出書類の原本から転記。

⚠️ 投資助言ではありません

継続企業の前提に疑義がある銘柄です。株式の価値がゼロになる可能性を含みます。本ページは公開情報にもとづく個人の分析であり、購入を推奨するものではありません。