Toushi Lab / Column
商社ETFと個別 — セールではなかった
商社ETF(1629)と個別6社(三菱商事・三井物産・伊藤忠・住友商事・丸紅・豊田通商)の株価・利回り・配当の変化を実測しました。
2026-09-03 時点 / Yahoo Finance 実測 + nextfunds.jp 公式値
もともとは「セール中の金融商品」を調べる過程で、番外編として商社も測ってみました。ところが実測してみると、商社はセールではありませんでした。 7本すべてが過去10年の最高値から0〜13.7%以内にいて、住友商事と豊田通商にいたってはちょうど最高値です。「セール」の記事にセールでないものを入れておくのは筋が悪いので、この記事として切り出しました。
まず結論
① 商社はセールではない。7本とも最高値から14.3%以内。住友商事と豊田通商は最高値そのもの。
② ETFと個別で利回りが2.6倍違う。信託報酬・実質コストで説明できるのは0.40ポイントぶんだけ。
③ 配当利回りを取るなら個別、分散と手軽さを取るならETF。どちらを重く見るかで決まります。
一覧 — ETF1本 + 個別6社
水色の行がETF(1629 NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信)。実測利回りと総10年(分配金込みの10年トータルリターン)を大きく出しています。
| コード | 名前 | 現在値 | 実測利回り | 最高値から | 価格1年 | 価格5年 | 総10年 | 配当の変化(2019→2025) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1629 | NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信 ETF | ¥281 | +0.85% | -4.2% | +39.8% | +250.6% | +620.7% | 判定不可(年1回分配) |
| 8058 | 三菱商事 | ¥5,059 | +2.17% | -4.9% | +43.3% | +329.2% | +846.4% | +148.0% |
| 8031 | 三井物産 | ¥5,253 | +2.19% | -11.8% | +42.7% | +326.4% | +917.4% | +162.5% |
| 8001 | 伊藤忠商事 | ¥2,212 | +1.90% | -2.6% | +31.3% | +237.5% | +1021.6% | +126.0% |
| 8053 | 住友商事 | ¥1,842 | +2.04% | +0.0% | +71.8% | +365.9% | +822.4% | +62.7% |
| 8002 | 丸紅 | ¥5,201 | +2.07% | -14.3% | +40.6% | +457.3% | +1277.3% | +189.9% |
| 8015 | 豊田通商 | ¥7,673 | +1.56% | +0.0% | +87.1% | +384.1% | +1138.7% | +208.2% |
| 1306 | TOPIX(比較用) | ¥427 | +1.85% | -1.5% | +30.1% | +102.0% | +266.2% | 判定不可(年1回分配) |
最終行はTOPIX(1306)で、比較用の参考行です。
セールではない
7本すべてが最高値から14.3%以内にいます。住友商事と豊田通商はちょうど最高値です。この記事の元になった「セール中の金融商品」に並んでいた債券・JREITとは正反対の位置にいます。
10年のトータルリターン(分配金込み)は9.2倍〜13.8倍になりました(TOPIXの総10年 +266.2% に対し、商社個別6社は総10年 +822.4%〜+1277.3%)。配当も2019年→2025年で+62.7%〜+208.2%増えています(丸紅+189.9%、豊田通商+208.2%)。
発見
ETFと個別で利回りが2.6倍違う
1629は実測+0.85%(公式0.89%)。個別6社は+1.56%〜+2.19%です。
1629の信託報酬0.352%・実質コスト0.40%で説明できるのは、そのうち0.40ポイントぶんだけです。残りの差は構成銘柄の違いによる可能性が高いと考えています(商社を1本でまとめて持てる唯一のETF。ただし東証33業種の「卸売業」区分なので、商社以外の卸売企業も含む。)。
ただし本記事は1629の構成銘柄を確認していません。信託報酬0.40ptを超える差がどこから来ているかは、本記事の範囲では特定できていません。
★私が間違えた話
1629の配当の増減は判定できない
1629は年1回分配で、金額が0.99円〜5.67円までブレます。
当初この記事は「ETFの配当は5年で−40.7%減った」と書きかけましたが、これは直近12か月という窓の取り方による誤りでした。年1回・金額が違う分配を「直近12か月」で切り取ると、たまたま少ない支払いの年に当たっただけで「減った」と誤判定します。
暦年ベースに直したら、正しい答えは「判定不可」でした。だから1629の配当の変化は本記事では出していません。この経緯を消さずに残します。
買う前に必ず読む注意
10年で9.2倍〜13.8倍(分配金込み)になった後である
すでに大きく上がった後に見ています。ここからの10年が同じペースで続く根拠は、この記事にはありません。
配当が増え続ける根拠はこの記事に無い
2019年→2025年の実績を記録しただけで、今後も同じペースで増配する保証はありません。
資源価格と為替の影響は調べていない
商社は資源価格・為替に強く影響される事業ですが、この記事はその感応度を調べていません。
1629の構成銘柄は未確認
ETFと個別の利回り差のうち0.40ポイントを超える部分がどこから来ているか、構成銘柄までは確認していません。
結論
配当利回りを取るなら個別、分散と手軽さ(最低投資額2,710円)を取るならETFです。利回りは2.6倍違い、ETFを選べば利回りを約1.3ポイント差し出すことになります。
どちらを重く見るかで決まります。いま買うのは「安いから」ではなく「これからも伸びると思うから」です。この記事にその根拠はありません。
出典
Yahoo Finance 実測(株価・調整後終値)+ nextfunds.jp 公式値(信託報酬・純資産・公式利回り)。2026-09-03 時点。