Toushi Lab / Barbell
待機資金は迷いではなかった
AIバブルの調整を待って、TQQQ・SOXLに入れるための弾。過去15年の下落5局面を実測して、この戦略がどこで効いてどこで死ぬかを数字にしました。
Yahoo Finance 日次終値 2026-08-10 時点 / 期間 2011-08-11〜2026-08-10
本人の言い分(2026-08-11)
PERなどを見て、AIバブルははじけると思っています。ここ数年でAI銘柄だけを見ても3倍くらい、それも直立と言っていい速さで上がっていて、これがずっと続いた例はほぼありません。だから調整が来たときにTQQQ・SOXLへ入れるために現金を取ってあります。ただし上がってもいいように投資もしている、というのが私の精神的な部分です。
現金1,320,784円
調整待ちの弾。TQQQ・SOXL用
リスク資産937,063円
上がり続けた場合に置いていかれないための保険
使わないもの
信用取引。レバレッジは3倍ETFの側で取る
これはバーベル戦略です
安全な現金を厚く持ち、リスクを取る部分は少額で極端に取る。中間(普通の株を平均的な比率で持つ)を薄くする形で、ナシーム・タレブがバーベル戦略と呼んだ構造そのものです。私が前に「判断が止まっている資金」と書いたのは誤りでした。役割は最初から決まっていて、決まっていなかったのは引き金の位置だけです。
その読みは、データで裏が取れるか
「AI銘柄だけ見ても3倍くらい上がった」
事実半導体ETFのSMHは3年で+280%(3.8倍)、5年で+331%。3倍レバレッジのSOXLは3年で+470%。一方でS&P500のVOOは3年で+73%です。上げが半導体に集中しているという読みは、そのとおりです。
+280%
SMH(半導体)3年
+96%
QQQ(NASDAQ100)3年
+73%
VOO(S&P500)3年
「PERで見て割高」
おおむね事実。ただし2000年ほどではないSMHのPERは40.4倍、SOXXは42.5倍、QQQは30.8倍。ブロードコムは71.5倍で、エヌビディアは34.3倍・PBR27.0倍です。過去平均より明確に高い水準ですが、2000年のドットコムではNASDAQの主力が利益ゼロのまま数百倍まで買われました。今のエヌビディアやブロードコムは実際に巨額の利益を出しています。「利益の実体がないバブル」ではなく「利益は出ているが、その成長がずっと続く前提で買われている」状態です。
PER 42.5
SOXX(半導体)
PER 30.8
QQQ
PER 71.5
AVGO
PER 34.3 / PBR 27.0
NVDA
「この速さがずっと続いた例はほぼない」
事実この15年でQQQは高値から15%以上下げる局面を5回経験しています(2015・2018・2020・2021-22・2025)。平均すると3年に1回。直近の2025年2月からの局面ではQQQが−22.9%、SOXLは−73.8%まで下げました。上げが続いた後に何も起きなかった期間のほうが例外です。
「だから調整を待つ」
待ち方しだいで結果が正反対になるこれが最も重要な検証結果です。2021年11月からの局面で、高値から−10%の時点でTQQQを買っていたら、底までさらに−74%、指数が高値を回復した時点でもまだ−20%でした。同じ局面で−30%まで待って買っていたら、回復時点で+113%。待つかどうかではなく、どこまで待つかで133ポイントの差が出ています。
この15年で、調整は5回あった
QQQが高値から15%以上下げた局面。3倍ETFがそのとき何%下げたかを並べます。
| 高値 | 底 | QQQ | TQQQ | SOXL | 高値回復 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2015-12-01 | 2016-02-09 | -16.4% | -43.4% | -46.0% | 2016-07-29 |
| 2018-08-29 | 2018-12-24 | -23.2% | -58.1% | -60.5% | 2019-04-17 |
| 2020-02-19 | 2020-03-16 | -28.6% | -68.4% | -75.5% | 2020-06-05 |
| 2021-11-19 | 2022-12-28 | -35.6% | -81.8% | -87.1% | 2023-12-15 |
| 2025-02-19 | 2025-04-08 | -22.9% | -57.0% | -73.8% | 2025-06-24 |
平均すると3年に1回。「上げが続いた後に何も起きない」ほうが例外だという読みは、この表のとおりです。
この検証でいちばん重要な結果
待つかどうかではなく、どこまで待つかで結果が正反対になる
2021年11月からの局面で、高値から−10%でTQQQを買っていたら、指数が高値を回復した時点でもまだ−20%でした。同じ局面で−30%まで待っていたら+113%。同じ「調整を待つ」でも、引き金の位置だけで133ポイントの差が出ています。
2015-12-01 からの局面
| 買う条件 | その日 | TQQQ 底まで | TQQQ 回復時 | SOXL 底まで | SOXL 回復時 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高値から −10% | 2016-01-13 | -17% | 38% | -13% | 103% |
2018-08-29 からの局面
| 買う条件 | その日 | TQQQ 底まで | TQQQ 回復時 | SOXL 底まで | SOXL 回復時 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高値から −10% | 2018-10-24 | -38% | 30% | -24% | 115% |
| 高値から −20% | 2018-12-21 | -7% | 94% | -9% | 157% |
2020-02-19 からの局面
| 買う条件 | その日 | TQQQ 底まで | TQQQ 回復時 | SOXL 底まで | SOXL 回復時 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高値から −10% | 2020-02-27 | -51% | 19% | -58% | 2% |
| 高値から −20% | 2020-03-12 | -17% | 101% | -22% | 90% |
2021-11-19 からの局面
| 買う条件 | その日 | TQQQ 底まで | TQQQ 回復時 | SOXL 底まで | SOXL 回復時 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高値から −10% | 2022-01-20 | -74% | -20% | -81% | -34% |
| 高値から −20% | 2022-03-14 | -59% | 24% | -68% | 10% |
| 高値から −30% | 2022-06-13 | -30% | 113% | -43% | 97% |
2025-02-19 からの局面
| 買う条件 | その日 | TQQQ 底まで | TQQQ 回復時 | SOXL 底まで | SOXL 回復時 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高値から −10% | 2025-03-10 | -35% | 31% | -54% | 33% |
| 高値から −20% | 2025-04-04 | -5% | 90% | -5% | 174% |
「底まで」=買った日から、その局面の最安値までにどれだけ下げたか。「回復時」=QQQが元の高値に戻った日の損益。−20%以降で買えば、5局面すべてで回復時にプラスでした。
最悪のとき、どれだけ下げて、戻るのに何年かかったか
3倍ETFは借金にならない代わりに、−90%は現実に起きています。SOXLが2021年12月の高値を取り戻したのは、わずか4ヶ月前です。
SOXL(半導体3倍)
-90.5%
2021-12-27 から下落。2026-04-10 に高値回復(1565日 = 4.3年)
TQQQ(NASDAQ3倍)
-81.8%
2021-11-19 から下落。2024-12-11 に高値回復(1118日 = 3.1年)
SMH(半導体)
-45.3%
2021-12-27 から下落。2023-07-17 に高値回復(567日 = 1.6年)
QQQ(NASDAQ100)
-35.6%
2021-11-19 から下落。2023-12-15 に高値回復(756日 = 2.1年)
3倍ETFは「3倍」にならない
3倍ETFは「毎日」3倍にリバランスします。そのため上下に振れるだけで価値が減ります。減り方は年あたりおよそ 3σ²(σは原資産の年率リスク)。QQQのσは20.8%なので年13.0%、SMHのσは29.9%なので年26.8%が、単純な3倍から差し引かれる計算になります。
| 3倍ETF | 実績(年率) | 原資産 | 単純3倍なら | 消えた分 | 年率リスク | 経費率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TQQQ | 43.4% | QQQ 19.0% | 56.9% | −13.5pt | 21% → 62% | 0.82% |
| SOXL | 45.4% | SMH 27.5% | 82.6% | −37.3pt | 30% → 93% | 0.75% |
実際、この15年でTQQQは年43.4%増えましたが、QQQの3倍(年56.9%)には届いていません。SOXLは年45.4%で、SMHの3倍(年82.6%)から37ポイント削られています。それでも原資産より高いリターンだったのは、この15年が歴史的な上げ相場だったからです。横ばいが2年続けば、指数が同じ位置に戻っても3倍ETFだけが2〜4割減っています。
いまどこにいるか(2026-08-10)
半導体はもう調整に入っている。NASDAQ全体はまだ入っていない
SMHは2026年6月22日の高値668.91ドルから14.9%下げています。SOXLは同じ日の高値300.77ドルから56.8%。一方でQQQは高値746.16ドルから3.4%しか下げていません。「AIバブルの調整」を指数全体で待っていると、半導体側の調整だけが先に終わってしまう可能性があります。あなたが賭けたい対象は半導体寄りなので、引き金は指数ではなく半導体で持つべきです。
| 銘柄 | 現在 | 52週高値 | 高値から | −20%の水準 | −30%の水準 |
|---|---|---|---|---|---|
| QQQ | $720.87 | $746.162026-06-02 | -3.4% | $596.93 | $522.31 |
| SMH | $569.41 | $668.912026-06-22 | -14.9% | $535.13 | $468.24 |
| SOXL | $130.00 | $300.772026-06-22 | -56.8% | $240.62 | $210.54 |
| TQQQ | $73.80 | $87.222026-06-02 | -15.4% | $69.78 | $61.05 |
待機資金1,320,784円に、価格の引き金と金額を割り当てる
いま決まっていないのは「いくら」と「どこで」だけです。過去5局面の実測から、−10%は早すぎ、−20%以降で買えばどの局面でも回復時にプラスでした。以下は歴史に合わせた配分案です。金額は変えて構いませんが、価格は先に決めてアラートを入れてください。
SMH が 568ドル以下(52週高値から−15%)
¥200,000半導体だけが先に調整している。指数全体を待つと、賭けたい対象の底を逃す。打診として最小単位を入れる段階
QQQ が 597ドル以下(−20%)
¥300,0002018年・2020年・2025年の3局面すべてで、−20%で買えば指数が高値を回復した時点でTQQQは+90〜101%だった
QQQ が 522ドル以下(−30%)
¥350,0002021-22年の本格的な弱気相場では、−30%で買えば回復時+113%。同じ局面で−10%で買っていたら回復時でも−20%だった
SMH が 401ドル以下(−40%)
¥250,000SOXLは2022年に−90.5%まで下げた。そこまでの下落は原資産が−45%級のときに起きる。最も痛い場所で最も効く弾を残す
使わずに残す
¥220,784想定より深いとき用と、読みが外れたときの余白。全部使い切る計画は、外れたときに次の手が無くなる
¥1,100,000
3倍ETFに投じる額
¥3,300,000
実際の市場エクスポージャー
¥4,237,063
既存リスク資産と合計
160.1%
投資可能資産に対する比率
4段階すべてが発動した場合、3倍ETFに110万円=実際の市場エクスポージャーは330万円になります。既存のリスク資産93.7万円と合わせると424.7万円で、投資可能資産264.7万円の160%。つまり全体としてはレバレッジがかかった状態です。前に計算したハーフケリー(152%)とほぼ同じ水準に着地します。直感で組んだ配分が、理論値の実務的な上限と一致しているのは偶然ですが、逆に言えばこれ以上は増やさないほうがいい線でもあります。
この戦略と、あなたの心理の相性
この戦略が要求する行動は、あなたが過去にできなかった行動そのもの
Q2で「トランプの脅しで売ってしまった」「上がったら高値に見えて入れられない」と書いています。暴落待ちの戦略は、全員が売っている日に買い注文を出すことを要求します。しかも買う対象は1日で−15%動く3倍ETFです。意思の力で実行するのはまず無理だと考えたほうがいい。
どうするか
価格でアラートを設定し、到達したら金額を機械的に入れる。判断はいま済ませて、当日は実行だけにする。
待つこと自体にコストがある
132万円は1年動いていません。その間に全世界株は16.8%、S&P500は16.0%上がりました。調整が来なければ、待った年数ぶんだけ機会を失います。ただしあなたはリスク資産も937,063円持っているので、上がり続けても完全に置いていかれる形にはなっていません。そこは設計として正しい。
どうするか
「いつまで待つか」も決める。例えば2027年末までに引き金に触れなければ、半分をインデックスに回す。期限のない待機は、意図がいつのまにか放置に変わる。
3倍ETFは、信用取引と違って追証が来ない
あなたが信用取引を使わないと決めているのは正しい判断です。3倍ETFはどれだけ下げても借金にはならず、投じた額が上限です。レバレッジを取りながら破産を避ける形として、この選択自体は理にかなっています。
どうするか
ただし「ゼロにならない」だけで、−90%は現実に起きています。2021年12月にSOXLを買った人が高値を取り戻したのは2026年4月10日、4年3ヶ月後です。
「当たった」と「勝った」を分けて記録する
バブルがはじけるという読みが当たっても、買う位置を間違えれば負けます。逆にはじけなくても、持っているリスク資産で勝てます。読みの正誤と損益は別物なので、混ぜて記録すると次に活かせません。
どうするか
引き金に触れた日と、実際に買った日と、そのときいくら入れたかを1行ずつ残す。年2回の答え合わせで、読みと実行を別々に採点する。
読みが外れる形(先に書いておく)
買った後に書き換えないために、いま書いておくもの。このどれかが起きたら「バブルがはじける」という読みは外れです。
- 1 調整が来ないまま2年が過ぎ、半導体のPERが利益成長で自然に下がっていく(バブルではなく成長だった場合)
- 2 調整は来るが−15%止まりで反発し、引き金に触れないまま高値を更新する
- 3 調整が来て買えたが、そこから横ばいが2年続き、3倍ETFのディケイで指数が戻っても自分だけ戻らない
- 4 AIの設備投資そのものが減速し、半導体が「安いまま長く低迷する」局面に入る(2022年の再来ではなく2001年型)
🔧 改善案を見る
リスク比率・ケリー基準・機関投資家との比較
🧠 投資家心理分析を見る
この戦略が要求する行動と、実際の行動の差
出典: Yahoo Finance 日次終値(2011-08-11〜2026-08-10)。再計算は node scripts/market/leverage-backtest.mjs。
過去の下落局面で有効だった買い方が、次も有効とは限りません。3倍ETFは日次でリバランスするため、横ばいが続くほど価値が目減りします。