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Column / World

2040年の未来から逆算する投資 — 世界編

何本持てば「世界を持った」ことになるのか。NEXT FUNDSと米国上場を実データで比べて3つの型に落とす

更新 2026-08-11

日本編・米国編では業界を選んだ。この記事はその手前の話で、そもそも国や資産クラスをまたいで何をどう持つかを決める。結論を先に言うと、世界を持つのに必要なのは1〜3本で足りる。増やすほど良くなるものではなく、増やすほど「自分が何を持っているか分からなくなる」ほうが問題になる。

① 世界を持つときの前提

✔ ほぼ確定

米国が世界の株式の約6割を占めている

「全世界に分散」と言っても、時価総額の比率で持てば中身の6割は米国になる。これは偏りではなく、世界の株式市場がそういう形をしているというだけ。全世界株を買った人が「思ったより米国株だった」と驚くのは、この事実を知らないため。

✔ ほぼ確定

人口が増える国と減る国がある

日本と欧州と韓国と中国は人口が減る方向、米国とインドと東南アジアは増える方向。国を選ぶというのは、突き詰めるとこの人口動態を選ぶこと。ただし人口が増える国の株が上がるとは限らない(統治と企業の質が伴わないと、経済が成長しても株主の取り分は増えない)。

✔ ほぼ確定

為替は長期では読めないが、短期では効く

円建てで海外資産を持つと、株価と為替の2つが同時に効く。10年20年で見れば為替の寄与は薄まるが、5年程度では為替のほうが大きいことがある。ヘッジありを選ぶかどうかは、この時間軸の問題。

⚠ 賭けになる

米国一極が続くかどうか

過去10年は米国が圧倒的に強かった。その前の2000年代は新興国が強く、1980年代は日本が強かった。「今の勝者が続く」という前提だけで組むと、入れ替わったときに全部外れる。

② 「全世界1本」は本当に1本で足りるのか

NEXT FUNDSには全世界を1本でカバーする商品が無い。だから選択肢は「米国上場のVTを1本」か「NFを3本組み合わせる」かの二択になる。この2つを実データで比べる。

持ち方コスト中身良い点面倒な点
VT 1本(米国上場)経費率 0.06%先進国+新興国+日本を約9,000銘柄以上1本で完結。リバランスも要らない。世界の時価総額の比率が自動で維持される。ドルへの両替が必要。分配金に米国で10%源泉徴収され、取り戻すには外国税額控除の確定申告が要る。
NF 3本(2513+2520+1306)加重すると概ね 0.10〜0.15%先進国(日本除く)+新興国+日本円のまま買えて特定口座で完結。確定申告が要らない。日本の比率を自分で決められる。3本の比率を自分で維持する必要がある。放っておくと世界の実際の比率からずれていく。
2559 MAXIS全世界株式 1本(東証)運用会社ページ参照MSCI ACWI(全世界)円で買えて1本で完結。NFではないが、東証で全世界を1本にできる数少ない選択肢。NEXT FUNDSで揃えたい場合は方針から外れる。

③ 3つの型から選ぶ

型① 一番シンプル

手間を最小にしたい人

VT 100%(または 2559 100%)

世界の時価総額どおりに持つ。米国が強ければ自動的に米国比率が上がり、新興国が伸びれば自動的に増える。「どの国が伸びるか分からない」に対する最も素直な答え。考えることが無いのが最大の利点。

※ VTなら確定申告が要る。それが嫌なら東証の2559。

型② NEXT FUNDSで組む

円で完結させたい・NFで統一したい人

2513(先進国・日本除く)60% / 1306(日本)20% / 2520(新興国)20%

2513の中身は約7割が米国なので、これで米国は十分に持てる。1306で日本を、2520で中国・インド・台湾・韓国を拾う。韓国単独のETFはNFに存在しないので、韓国はここで間接的に持つことになる。

※ 日本20%は世界の時価総額比(5〜6%)より厚い。生活と収入が円建てなら、その分だけ日本を厚くする理屈は成り立つが、意図的な偏りだと自覚しておく。

型③ 株以外も混ぜる

下落局面での目減りを抑えたい人

株 70%(型①か②)/ 債券 20%(2512 or 2648)/ 金 10%(1328)

株だけだと、下げ相場では全部が同時に下がる。債券と金は株と違う理由で動くので、全体の振れ幅が小さくなる。ただし2022年のようにインフレで株と債券が同時に下がる年もあり、万能ではない。

※ 金は利息も配当も生まない。持ち続けるほど機会損失が積み上がる点は理解した上で。

比率は考え方を示す例であり、推奨する配分ではありません。実際の配分は年齢・収入・他の資産で変わります。

④ 地域ごとに「単独で持つ意味があるか」

🇺🇸 米国 中心に置く

世界の株式の約6割。全世界を買っても、結局6割は米国になる。個別に足すかどうかは「米国比率を6割より上げたいか」という問いに置き換えられる。

該当ETF: 2633(NF S&P500・信託報酬0.066%)/ VOO(0.03%)

🇯🇵 日本 生活が円なら少し厚めでもいい

世界比率では5〜6%しかない。ただし生活費も収入も円なら、円建て資産を持つ意味はある。日本編で見たとおり、業界によって10年後の結論が真逆に割れるので、TOPIX全体で持つか業界を選ぶかで性格が変わる。

該当ETF: 1306(NF TOPIX・純資産34兆円超)

🇪🇺 欧州 個別に足す理由は薄い

2513(先進国)にすでに含まれている。あえて上乗せするなら、ASML・ノボノルディスク・LVMHのような「その分野で世界唯一」の企業を厚くしたいときだけ。NFの欧州は為替ヘッジありしか無い点にも注意。

該当ETF: VGK(0.06%・ヘッジなし)/ 2859(NF ユーロ・ストックス50・ヘッジあり)

🇰🇷 韓国 単独で持つ必要は薄い

NEXT FUNDSに韓国単独ETFは存在しない(全64本を確認済み)。日本上場の韓国株ETFも見当たらない。米国上場のEWYはあるが経費率0.59%と高く、中身はサムスン電子とSKハイニックスへの依存度が極端。事実上「半導体を韓国経由で買う」ことになるので、それなら半導体ETFを直接買うほうが目的に合う。

該当ETF: EWY(0.59%)/ または 2520(新興国)に含まれる比率で間接的に

🌏 新興国・インド 2520で丸ごと

中国・インド・台湾・韓国・ブラジルをまとめて持てる。インドを名指しで買う1678は信託報酬1.045%と、他のNFの5倍前後かかる。「インドだけを持つ理由」を説明できないなら2520で十分。

該当ETF: 2520(NF 新興国株式・0.209%)

🇨🇳 中国 単独で持つなら理由が要る

経済規模は世界2位だが、企業業績が良くても政策ひとつで業界ごと価値が消えることがある。他国と同じ物差しでは測れない。2520に含まれる比率で持つのが無難。

該当ETF: 2520に含まれる比率で

⑤ ここで挙げたNEXT FUNDSの実データ

コード名称最低投資額信託報酬純資産分配金利回り
1306TOPIX連動型上場投信4,276円(10口)—%344,830.4 億円1.86%
2513外国株式・MSCI-KOKUSAI指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信3,644円(1口)0.187%1,188.2 億円0.93%
2520新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信2,313円(1口)0.209%40.9 億円1.49%
2512外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジあり)連動型上場投信7,318円(10口)0.132%1,834.3 億円2.89%
2648ブルームバーグ米国国債(7-10年)インデックス(為替ヘッジあり)連動型上場投信3,357円(1口)0.143%393.2 億円4.18%
1328金価格連動型上場投信16,295円(1口)0.176%562.7 億円0.00%
1343東証REIT指数連動型上場投信19,375円(10口)0.1705%5,358.0 億円4.71%
1678インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信3,150円(10口)1.045%515.0 億円3.89%

出典: nextfunds.jp(野村アセットマネジメント)公式ページ

⑥ この見立てが壊れる条件

  • 米国一極が崩れる → 全世界株を持っていても6割が米国なので、無関係ではいられない。「分散したから安心」は成り立たない
  • 円高に大きく振れる → ヘッジなしの海外資産は、現地で上がっても円換算で目減りする
  • 新興国が長期停滞する → 2520の比率を厚くした型ほど効く。過去にも新興国が10年横ばいだった時期がある
  • インフレが再燃する → 株と債券が同時に下がる。型③の債券部分が期待どおりに働かない
  • そもそも10年以上先の話であること → 個々のETFは繰上償還や指数変更もありうる。定期的に中身を確認する必要がある

⚠️ このコラムは投資助言ではありません

資産クラスと商品性を整理するための個人の記録です。特定のETFの購入や配分を推奨するものではありません。