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Toushi Lab / Column

セール中の米国株セクター — 11セクターにセールは1つも無かった

GICSの11セクターETFと、その下の業種ETF28本を、日本株と同じ物差し(10年高値からの下落率)で測りました。

2026-09-03 時点 / Yahoo Finance 実測(10年・月足)

まず答え

11セクターでいちばん沈んでいる不動産(XLRE)でも高値から-15.6%。 セールと呼べるものは、セクターの単位には1つもありません。

11セクターのうち10個が2026年に10年高値をつけています。 S&P500(SPY)自体も高値から-0.2%のところです。

30%以上沈んでいるのは、セクターより1段細かい業種の中に4本だけでした (太陽光 -56.5% / ゲノム(アクティブ) -53.7% / クリーンエネルギー -41.7% / 油田サービス -34.6%)。 しかも3本は2021年の高値から戻っていません。

GICS 11セクター — 全部が天井の近くにいる

米国株を大きく11個に割ったもの。SPDRのセレクト・セクターETFで測っています。下落率の深い順。

ティッカーセクター価格高値から高値の年利回り価格1年価格5年総10年
XLRE不動産 米国REIT中心。金利に強く反応する。$43.73-15.6%20213.21%+3.8%-1.6%+97.8%
XLU公益 電力・ガス・水道。金利に強く反応する。$42.67-10.6%20262.80%-2.1%+33.6%+134.9%
XLI資本財 航空宇宙・防衛・機械・運輸。$172.78-6.7%20261.19%+12.0%+76.6%+256.8%
XLCコミュニケーション・サービス 通信+メディア+ネット広告。GoogleとMetaの比重が大きい。$112.42-6.4%20261.27%-5.0%+40.3%—
XLY一般消費財 車・小売・外食・ホテル。AmazonとTeslaの比重が大きい。$114.86-5.2%20260.79%-4.1%+28.0%+225.1%
XLP生活必需品 食品・飲料・日用品・小売。$85.53-5.0%20262.57%+9.1%+24.2%+110.6%
XLK情報技術 S&P500の情報技術セクター。半導体・ソフト・ハード。$183.6-3.9%20260.43%+30.3%+145.9%+756.7%
XLB素材 化学・金属・パッケージ。$52.95-0.9%20261.60%+18.2%+33.9%+175.2%
XLF金融 銀行・保険・証券・カード。$57.66-0.1%20261.40%+7.0%+53.6%+249.8%
XLVヘルスケア 製薬・医療機器・保険・サービス。$172.95+0.0%20261.46%+24.3%+35.9%+202.4%
XLEエネルギー 石油・ガス。原油価格に強く連動する。$65.1+0.0%20262.33%+45.7%+150.0%+183.1%
SPYS&P500(比較)$765.16-0.2%20260.98%+14.9%+78.3%+320.5%

XLC(コミュニケーション・サービス)だけは2018年に新設されたセクターなので、10年に満たず8.2年ぶんしかデータがありません。 だから「総10年」が空欄です。

発見

深く沈んでいる業種は、ほとんど2021年に高値をつけている

30%以上下げている4本のうち3本が2021年の高値です(太陽光・ゲノム(アクティブ)・クリーンエネルギー)。 2021年は太陽光・クリーンエネルギー・ゲノム・リチウムといったテーマに資金が集まった年で、 「米国株が下がった」のではなく「2021年に持ち上げられたテーマだけが戻っていない」という形になっています。 セクター(11個)で見ると何も見えず、業種まで割ると急に見えるのはこのためです。

例外は油田サービス(OIH)で、高値は2017年。 10年のトータルリターンが-8.0%で、この28本のうち総10年がマイナスなのは1本だけ、その1本がこれです。 9年近く戻っていません。

沈んでいる業種は、いま戻り始めているのか

30%以上沈んでいる4本のうち、直近1年でプラスなのは4本です。 ただし1年のプラスが「底を打った」ことの証明にはなりません。

TAN 太陽光 -56.5%

エネルギー/2021年の高値から

1年 +8.3% 5年 -40.9% 総10年 +168.9% 利回り 0.00%

2021年の高値から深く沈んだ。

ARKG ゲノム(アクティブ) -53.7%

ヘルスケア/2021年の高値から

1年 +69.8% 5年 -36.9% 総10年 +204.6% 利回り 0.00%

2021年の高値から最も深く沈んだ部類。

ICLN クリーンエネルギー -41.7%

エネルギー/2021年の高値から

1年 +12.2% 5年 -19.8% 総10年 +130.9% 利回り 1.06%
OIH 油田サービス -34.6%

エネルギー/2017年の高値から

1年 +68.0% 5年 +121.6% 総10年 -8.0% 利回り 1.12%

掘る会社ではなく掘らせる会社。

罠

下げているように見えて、1年では大きく上げているもの

2025〜2026年に高値をつけ、そこから10%以上下げ、しかも1年では20%以上プラス。 これは「沈んだ」のではなく「上げた後に戻された」形です。下落率だけを見ると取り違えます。

SMH 半導体 高値から-16.1% / 1年+68.7%GDX 金鉱 高値から-15.7% / 1年+27.8%

業種ETF 全28本

この記事の限界

業種28本は私が選んだ母集団

11セクターはGICSという公式の分類ですが、業種ETFの28本は網羅ではなく、 よく使われるものを選んだ集合です。ここに入れなかった業種のほうが深く沈んでいる可能性があります。

ETFはセクターそのものではない

XLKもXLFも時価総額で重み付けされているので、上位数社の値動きに強く引っ張られます。 「セクターが下がっていない」ことと「そのセクターの会社が全部下がっていない」ことは別です。

ドル建て。円で買うと為替が乗る

この記事の数字は全部ドル建てです。円から買う場合は、ここに為替の変動がそのまま乗ります。 分配金には米国で10%の源泉徴収があり、確定申告の外国税額控除を使わないと取り戻せません。

なぜ沈んだかは調べていない

測ったのは値動きだけです。太陽光やクリーンエネルギーが戻らない理由(補助金・金利・中国勢の価格)には踏み込んでいません。 いま買うのは「安いから」ではなく「これから戻ると思うから」です。この記事にその根拠はありません。

出典

Yahoo Finance 実測(10年・月足、調整後終値で総リターン)。2026-09-03 時点。 再生成は node scripts/gen-sale-us.mjs。